音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年06月11日
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 アメリカでのザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のデビュー作がこの『イングランズ・ニューエスト・ヒット・メーカーズ(England’s Newest Hit Makers)』。1964年4月にイギリスで『ザ・ローリング・ストーンズ』というセルフ・タイトル・アルバムでストーンズはデビューした。本盤はそのデビュー作と若干曲の異同があるが、おおむね同じ内容で、約1か月遅れで米国向けにリリースされたもの。英国では『ウィズ・ザ・ビートルズ』を抑えてチャート1位を記録したが、米チャートでは11位にとどまった。余談ながら、日本盤は『これがリヴァプール・サウンドの決定盤!! ザ・ローリング・ストーンズ』なる、笑えないタイトルで当初リリースされたらしい。

 まだ何をやりたいのかがしっかり定まっていなかった頃のアルバムという悪い見方をしてしまえばそれまでなのかもしれないが、個人的にはデビュー当初数枚のストーンズも案外気に入っている。それは、頂点を極めた作品だからという意味ではなく、いわば成長期の子供、その成長過程を傍らで眺めているかのような気にさせてくれるという意味において興味深いからである。

 雑にかき鳴らされるギターひとつとっても、本質的にただ雑いのではなく、なんだか意図的に雑くしているように聞こえる。かと思うと、コーラスをする部分では頑張って声をあわせ、意外に慎重に歌おうとしているように見受けられる部分がある。こうしたばらつきが意味するところは、自身のサウンドをどうやって確立していくかという、彼らの努力と苦悩の反映に他ならないような気がする。不良な印象で自分たちを売り込むことになったストーンズだが、自身のバンドとしての音をどう確立しようかと腐心する真面目な若者たち(?)であった様子が垣間見られる。ジャケット写真もちゃんとした服装だし(笑)。

 そうした努力やチャレンジは全編にわたって垣間見られるのだが、いくつかの曲で顕著に見られる。3.「恋をしようよ(アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー)」は、ウィリー・ディクソンの曲を“シカゴ・ブルースの父”マディ・ウォーターズが1954年に録音したもので、既に知られた曲であった。よくストーンズに影響を与えたアーティストの中にマディ・ウォーターズの名も挙げられるが(そもそもバンド名がこの人物の曲にちなんでいる)、いかにストーンズが努力して憧れるアーティストたちに接近しようとしていたかが、この手の演奏からは感じ取られる。あと、個人的な好みから言えば、8.「キャロル」も外せない1曲。

 ストーンズの過去を遡るという4回の連載はこれでひとまず終了。不定期更新と言っていたとはいえ、4ヶ月以上もかかってしまったが、他のストーンズ盤もそのうち徐々に取り上げたいと考えているので、興味のある方は気長にお待ちください(笑)。



[収録曲]

1. Not Fade Away
2. Route 66

4. Honest I Do
5. Now I've Got A Witness
6. Little By Little
7. I'm A King Bee
8. Carol
9. Tell Me
10. Can I Get A Witness
11. You Can Make It If You Try
12. Walking The Dog

1964年リリース。






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Last updated  2011年07月01日 06時50分27秒
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