音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年07月02日
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 ザ・クラッシュ(The Clash)と聴けば、パンクというイメージが強いという人も多いかもしれない。事実、1976年、ロンドンのパンク・シーンから姿を現したバンドであり、10年ほど存続した。しかし、時の流れとともに、結果的にはパンクという言葉では括れなくなっていったバンド、そんな形容がザ・クラッシュにはぴたりと当てはまる。

 そもそもパンク・ロックはニューヨークのアンダーグランドな動きがロンドンにも飛び火し、一気に盛り上がったものだった。その分、ブームが引くのも早かったということにもなるのだろうが、そもそもパンクのコンセプトにあまり永続的な側面は見られなかったように思う。従来のロックが古典化し、技術的にも高度化する中で、演奏面でのシンプルさ、思想面での過激さ(反体制・左翼的発想)を伴って生まれてきた。当初はパンクの影響が強かったが後にそうではなくなっていったバンドが多かったのも、一つには流行りとしての一過性、もう一つにはコンセプトの限界があったのではないだろうか。

 そう考えてみると、ザ・クラッシュがパンクにとどまりきれなかったのも、ある意味、必然と言えるかもしれない。ちょうどこのサード・アルバム『ロンドン・コーリング(London Calling)』以降、ザ・クラッシュの作風は普遍的なロックへと向かっていく。曲進行のシンプルさという点では、パンクからの流れもあるのだろうし、政治的メッセージという点では、ある意味パンク的である。だが、鳴っている音を聴けば、R&B、ロカビリー、レゲエ、スカ、HRといった多ジャンルな要素が織り込まれていることがすぐにわかる。少々大げさな言い方をすれば、パンク・ロックのムーヴメントがいったん解体にかかったロックというものを早くも再構築し、新たな骨太のロックを目指した作品と位置付けられるかもしれない。

 なんだかんだ言って、本盤はザ・クラッシュの代表作として有名だし、筆者自身も聴いたことのある彼らの盤の中ではこれが一番気に入っている。ボリュームとしては2枚組み19曲(CDでは1枚に収録)という結構な分量に見えるが、シンプルながらも抑揚が付いており、しかも短い曲がたくさん並んでいる感じなので見た目(ずらりと並んだ全19曲)のわりにはとっつきやすいと思う。全編に亘り、概ね上で述べたようなサウンドのヴァリエーションとソングライティングのよさが際立っている。

 個人的な好みで何曲かおすすめを挙げておきたい。1.「ロンドン・コーリング」、3.「ジミー・ジャズ」、6.「スペイン戦争(スパニッシュ・ボムズ)」、8.「ロスト・イン・ザ・スーパーマーケット」、12.「死か栄光か(デス・オア・グローリー)」、15.「ラヴァーズ・ロック」、18.「レヴォリューション・ロック」、19.「トレイン・イン・ヴェイン」。シリアスから軽いものまで多彩なテーマで、こうして何曲か取り上げて聴いただけでも、多ジャンルな色付けが見てとられる。だがその根幹にあるのは、あくまでもシンプルでかつ骨太のロックの音である。

 確かにそれなり長さなので、クラッシュ節になじまないと最後まで通して聴くのは疲れる、という人もいるかもしれない。けれども、上で書いたように、元々本盤は2枚組であった。LP当時の形式からすれば、4つのパート(A面=1.~5.、B面=6.~10.、C面=11.~14.、D面=15.~19.)に分かれていたものである。CD化によって今ではCD1枚に収まってしまったが、そういう聴かれ方は制作当時には意図されていなかったわけだ。ということなので、別にこのアルバムに限ったことではないが、CD化で長尺アルバムに見えるようになってしまった過去のアルバムについては、現在リリースされる70分、80分の1枚もののアルバムとは根本的に違う聴き方を意識すべきだと思う。早い話、元々どこで区切れていたかの情報をできれば入手して、休み休み聴くという、それだけのシンプルなことで“長くて疲れる”という印象はだいぶ変わってくるだろうと思う。




[収録曲]

1. London Calling

3. Jimmy Jazz
4. Hateful
5. Rudie Can't Fail
6. Spanish Bombs
7. The Right Profile
8. Lost in the Supermarket
9. Clampdown
10. The Guns of Brixton
11. Wrong 'Em Boyo
12. Death or Glory
13. Koka Kola

15. Lover's Rock
16. Four Horsemen
17. I'm Not Down
18. Revolution Rock
19. Train in Vain








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