音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2014年10月21日
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“バブル世代”よりはちょっと早かったかもしれないが、世の中が高度成長からバブル景気へと向かっていく頃、それとはまったく逆行する道を自ら選んだ若者がいた。SION(本名、藤野秀樹)というシンガーソングライターである。以前、 「俺の声」 を取り上げた時にも似たようなことを書いた気がするのだけれど、“魂の声”をそのまま赤裸々に聴かせる彼のデビュー当時のスタイルは、おそらくはそれを照れ隠しのごとくカムフラージュしようとする“イカツイ見かけ”(眉毛はなかった)とともに、筆者の記憶に鮮明に刻まれている。





 上の曲を聴いていただければ一瞬でわかるのだけれど、この人は自ら“楽ではない人生”(けれども自分が行きたいと思う人生)を歩もうとし、その足跡をそのまま歌にしている。その典型がこの「街は今日も雨さ」という曲。1985年の自主制作盤『新宿の片隅で』に収録され、翌86年のメジャー・デビュー盤にも再録版が収められた。

 “知らない街でポリバケツをかぶって、それでも笑っていたさ、怖いもんなんて何にもなかったから”、“朝から晩まで指紋が擦り切れるほど皿を洗い続けて”、“何が都会の気ままな暮らしだ、まったくそれどころじゃねえ”、“立ってることがやっとの街で、いったい何が掴めるんだ”…。まったくもって散々な暮らし。そんな中、久々に話した母が電話越しに言うセリフ、“静かな声で、たった一言、「生きてなさい」、そう言った”。飾り物ではない、赤裸々なシンガーソングライターの姿がそこにはあったという気がする。

 余談ながら、こういうアーティストがちゃんと陽の目を浴びる音楽業界というのがあれば、それはある種の理想になるのだろうと思う。その意味では、メジャー・シンガーの福山雅治がSIONの曲を積極的に取り上げてきたのは、ある意味、いい傾向のように思える。





 いやはや、一部ファンからは“陰気くさい”と言われてしまうのかもしれないけれど、もっと聴かれて欲しい、というのが、昔も今も正直なところ。




SION / 新宿の片隅で(自主制作盤、1985年)
SION / SION(1986年)






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Last updated  2014年10月21日 06時31分37秒
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