書評日記  パペッティア通信

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Sep 5, 2005
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カテゴリ: 政治
gedai

(承前)

≪引用続き≫文中()は魚住注

本田
松尾さんが中川さん、安倍さんに会った後の印象は、下手な番組を出すと今年の予算は相当難航するという印象を受けた? 相手は本気だと?

松尾
それは思わなかった。

本田
ただの脅しと思った?

松尾
ただの脅しとは思ったけど、のは事実。私と吉岡(教養番組部長)と伊東(番組制作局長)と、(そこに)時々、野島(担当局長)が入ってきて、――あいつは戦後の歴史に詳しいというので呼んだ――、PD(プロデューサー)やデスクにもみんなで意見を聞きながら(話し合いを)やった。どれが正論というものもなく、みんなが不安になった。番組編成局が不安になるのが一番いけない。誰も責任をとれないという状態で放送がでるのはよくない。そこで何回もの詰め作業が行なわれた。明確に(番組の)これを切ろうとかいうのは結果論です。

<魚住氏は、この「つけ入るスキを与えてはいけない」の部分について、政治家との会談と番組改編の因果関係をしめす、核心的証言とみなしている>

本田
僕が聞いているのは永田町の党本部の中の、安倍さんは幹事長だったか(注・実際には官房副長官)、安倍さんの部屋に会ったと?

松尾
そう、党本部の、ちょっと広いところ。幹事長室です(注・実際は違う)。中川さんは議員会館。

本田
安倍さんに会って、その後に中川さんのところに行った?

松尾
安倍さんの方が忙しかったのではないか?

本田
ということは中川さんが先?

松尾
中川さんが先で、(その後が)安倍さん、だと思うな。なにしろ、もう一人、途中でどなたかにお会いしているので。一ヶ所で全部済むわけではなく、車で移動したという感じがする。党本部と議員会館と。

本田
放送日の夕方、吉岡部長に「3分削れ」と言ったのは、なぜ?

松尾
これは絶対マル秘。俺はあれ(43分版)でいいと思った。皆もそう思った。ところがある人が不安そうになった。「どうしても」と言って仲間に聞いて回った。するといろんな意見が出た。それで改めて(再カットの話が)出てきた。

本田
伊東律子さん?

松尾
そうだ。俺は「いいやん、もう」と言ってるのに、「ダメか」と聞くと、律ちゃんは「私は心配だ」「ここまで総局長、やったなら、もうちょっと公平性ということを考えようよ」と言った。そう言われると、(番組作りは)番制局長の責任だから。

本田
伊東さんはなんで突然言いだしたのか。誰かに言われたとか。

松尾


本田
海老沢会長に言われたとか。

松尾
そんなことはない。

「そうなんだ。この問題はいろいろ意見があるからな。なにしろ慎重にお願いしますよ」 と言われたらしい。その後、松尾総局長と話しているうちに、「本当にこのまま放送していいのか。もう一度考えなくてはいいのか」「総局長と二人で再度番組の内容を確認していった結果、やはりこれらのシーンを削除するのが妥当ではないかという話になった」>

本田
松尾さんが国会議員に会ったのは29日の夕方だけ?

松尾
そのときです。それ一回きり。

本田
でも(後で)「どうなったんだ」と電話がかかってきたでしょう。

松尾
かかってきたかもしれない。 電話でも「わかりました。はいはい」とガチャンとやればいい

本田
中川さんからですか。安倍さんからですか。

松尾
知らない。電話があったことは全然覚えていない。

本田
野島さんには?

松尾
それはあったかもしれない。野島は(議員の)窓口なので。

本田
松尾さんが最高責任者なのに、野島さんがお目付け役みたい。

松尾
野島も悪い人間ではないのだが。 野島が言うことで先生方も「それなら、この訳のわからない男を信用しよう」ということになればいい。(29日に永田町に行く前)野島には「頼むぞ、俺を裏切るなよ」と言った。野島も「わかりました。ガチャガチャ言ったら僕が言いますから、最後には頭を下げてください」と言った。野島は国会の顔役。俺は俺なりに彼を利用した と思う。

本田
これまでも国会議員に呼ばれて番組について言われたことは?

松尾
あります。選挙のときはしょっちゅうです。

本田
放送前に呼ばれることは?

松尾
だいたい作った後です。

本田
放送前は異例か?

松尾
大河(ドラマ)とかはあるけど、(今回のような)ETVの特集的要素で事前にというのはなかった。

本田
今回は(放送の)後(に呼ばれた事実)はない?

松尾


本田
でも、呼ばれて行かないわけにはいきませんからね。

松尾
呼ばれていかないとどうなるか。 ものすごい圧力。3倍、4倍の圧力 です。放送中止になったかもしれない。(番組内容を詳しく)知らないのに誇大妄想に支配されて力でガンと押されれば本当に予算を通さないという話になる。そういう駆け引きをやる。(NHKの)国会対応の人(職員)たちは番組の内容を知らないから不安だけ増してしまう。 先生の言われた通りに走り始めて必要以上に圧力を感じてしまう。これはものすごく危険 だと思った。だから「お前ら余計な説明するな。俺がやる」と。説明が悪いうえに誤解を受けて尾ヒレがついて帰ってきてしまう。対応のしようがない。

本田
中川とか安倍に呼びつけられてガンガンやられるのはガス抜き?

松尾
そう。意図的にやったわけではない。 ガス抜きは。圧力は絶えずある と思っていた。国会の圧力は目に見えないことも含めて相当感じることが多いので 聞き流す

本田
今回呼ばれたことも圧力と感じたわけですね。

松尾
圧力とは感じる。圧力とは感じるけれど、だからといってそれがどうしたのかと言えば、それは一つの意見だった。 それは視聴者にでもなんでも全部あります 。右翼にもあります。

本田
中川さんと安倍さんに説明されたとき、「若手議員の会」の代表と事務局長の肩書きとして(行ったのか)。

松尾
いや、違う。行く前から野島が説明してくれた。周りの人間たち(から)も「そういう会ですよ」、なぜそこがぐちゃぐちゃ言っているのかを聞いていた。しかしわれわれが会ったのは安倍幹事長(注・官房副長官の誤り)であり、中川…。中川さんは役職(は)何だったか。まあ自民党の有力政治家というか。

本田

安倍さんは幹事長だった?

松尾

まだなってなかったかな。何か役職はやってました。森さん(の政権)のとき、副幹事長とか。(安倍氏に会ったのは)広めの応接間です。

本田
中川さんは農水大臣?

松尾
大臣ではないだろう。なってても副大臣くらい。大臣室みたいなところであった覚えはないから。

本田
中川さんは議員会館?

松尾
そう、議員会館

本田
決して副大臣室みたいなものじゃないわけですね。

松尾
そういう感じじゃない。広かったら安倍さんみたいに覚えている。

<魚住氏によれば、1月9日午後1時、埼玉の松尾氏の自宅ではじまったインタビューは、午後2時50分に終ったという。1月19日NHKで放映された松尾武会見の「1 安倍氏にはあったが、中川氏には会っていない」「2 何度も『政治的圧力を感じただろう』と決め付けられ、その度に否定したのに逆の内容になった」「3 安倍・中川両氏が認めたかのようにウソをついた」という内容が、まったくのデタラメであると断言している>

≪引用終了≫

ここまでみてくると、「安倍晋三・中川昭一」VS「朝日新聞」の図式を成立させた松尾武と本田雅和の見解の差は、世間で思われているほどあるわけではないことがみえてくる。


<私たちは国会が何を言おうが右翼が何を言おうが戦う>
<迎合ではない。壁になって番組を守ろうとすることだ>
<(圧力が)あるのは当たり前だから、どう対抗するか。>
<対象そのもの(に密着)でもいいんです。ただしNHKの責任者がいないとダメ>
<相手が何を言おうと「僕に任せてください」と言って帰る>
<電話でも「わかりました。はいはい」とガチャンとやればいい>


政治圧力の中で番組を守りぬくには、責任がとれるものを現場につくらせ、上司が「壁」になってそれを守ることの必要性を、記者に伝えたかったに違いない。

それが伝わらなかったのは、なにも本田雅和記者の責任ではないだろう。
告発を受けて取材にきた本田記者は、政治家の「圧力の有無」を確認すること以外、できるはずがなかった。

かくて、両者の希有の邂逅は、朝日新聞の「番組改編報道」後、別々の軌跡を描くことになり、一方は、NHKの組織防衛のために、本来の敵、「安倍・中川陣営」に与することになる。

そのハザマにあって、奇跡的に残された「熱い証言」。
今も、選挙報道にからみ、非難続出の電波メディア。
メディアの「公平性」は、今も我々に未解決の難題をつきつけている。

(続く)

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Last updated  Dec 3, 2005 08:35:06 PM
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