書評日記  パペッティア通信

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Sep 21, 2005
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左翼を結集して、小泉政権にも民主党にもかわる、第三勢力を。
最近、こうした声が目立ちます。

もともと、社・共両党の主張は、「護憲」「平和」「再分配」と極めて似ている。となると、誰ともなしに、統一戦線だの、人民戦線だの、いいはじめるようです。 「違いは棚上げ」にして、たがいに「主張が同じ」部分について、手を組んで戦えばいいじゃないか。 それは、社民・共産には止まりません。ヘタすれば、その「共闘を結べ!!」とされる対象範囲は、民主党の旧・社会党系の護憲派から、共産党の左、つまり極左まで、含まれてしまうことが多いようです。社民党と共産党のちがいを知らない、脳天気な右の人たちが言うのなら、まだいい。微笑ましい誤解について、笑って許せます。ところが、ちがいを知っているはずの古参の左翼まで、主張するものもいるのです。ほとんど確信犯であろう。許し難い。

てか、どうして提携しようとする「相手側」の都合というものを
この人たち、誰も考えようとしないのだろうか。

だいたいだね。
そもそも統一戦線、人民戦線なんてのは、 「小さい左」が「大きな右」をのっとるための運動論 最終的には、いつも「喧嘩別れ」 して右が出て行くことによって、その試みは終わった。


1937年、国共合作で、抗日民族<統一戦線>は、どうなったか。
1945年、「労働戦線の統一」で出発した日本社会党は、どうなったか。
1960年代、社会・共産両党の<社共共闘>は、どうなったか。

共産党と同調して戦争したら、戦後、台湾に追い出されてしまった国民党。

「労働戦線統一の夢を壊すな!」
そのため嫌々、戦前の最左派、鈴木茂三郎などの労農党系を受け入れた、日本社会党。そうしたら社会党は、議会制民主主義を前提としない、彼ら左派にのっとられた。最右派だった社会民衆党系は、1959年、「西尾統制問題」で党外にたたき出されてしまう。彼らは民主社会党、民社党を経由して、民主党に合流にしている。今をときめく西村真吾代議士と、その父、西村英一は、そんな代表的な人物です。

因果はまわる。

「革新自治体」を創り出した社共共闘。山村工作隊がたたって見る影もなかった共産党は、60年代を通して、それまで社会党の支持基盤だった低所得者層の組織化に成功する。低迷する社会党に、躍進する共産党。1970年代、全野党共闘路線は、共産党の躍進のみを生んでしまい、共産党への不満感から崩壊してしまう。社会党は、公明党との提携に舵をきって、社公民路線がはじまる。

事情を良く知らない、右の論者が脳天気に言うのならいい。
事情を良く知っているはずの、左の論者まで言う始末。


いったい、提携相手のあなたより「右」の方々は誰なのでしょう。
社民?
民主の左?

提携してほしいはずの「相手」は、全員、「統一戦線」「人民戦線」によって、痛い目にあった人たちばかり じゃないの。どの面さげて、こんな「小さな左」にとってのみ都合のよい運動論に、「目を向けよ」なんて言えるんでしょうか。かつての甘い汁が忘れられない。党勢拡大のため、またしても「大きな右」をのっとろうとして、「統一戦線」という甘い言葉をかけているつもりなんでしょうか?

だいたい、よく考えてみればいいのですよ。
むしろ「大きな右」は、「より大きな右」との提携に、傾きがちになりやすい 。社民の支持者は、民主党の動向に目が向くしエールをおくる。極左は、議会では共産党の活躍にエールを贈るでしょう。しかし民主の支持者は、社民にエールを贈ることはないし、共産党は極左を毛嫌いしています。つねに呼びかけるのは、「小さな左」が「大きな右」に対してのみ。それでやってきたことは、ほとんど「引っかき回し」ばかりとくれば、一体、だれが統一戦線だの人民戦線だのに振り向いてくれるんでしょうか。

おまけに、この 「小さな左」は、無茶苦茶タチが悪い
「統一戦線・人民戦線」を組まないと、今度は別のアプローチで誹謗中傷が用意されている。自分たちの「統一戦線論」に 従わない相手には、「社会ファシズム」論を源流とする悪罵が投げつけられる のです。

「社会ファシズム」論というのは、いったい何かご存じでしょうか?
「統一戦線」論は、トロツキーに由来するものらしいですが、
「社会ファシズム論」は、スターリンが使ったレトリックなのです。

ぶっちゃけ分かりやすくいえば、
あの2つは対立しているように見えるけど、実は同じ
というものです。ワイマール共和国では、ドイツ共産党はナチスと提携しながらドイツ社民党を攻撃して、ワイマール共和国崩壊に一役買う。なぜなら、社会主義者たちはナチスと対立しているようにみえるけど、実は同じだから(社会ファシズム)。日本では、さまざまなバリエーションに変奏されていて、数えきれないくらいです。一昔前、革命的な労働運動を思考する人は、「民社党は、自民党と同じ」とやっていた。過激派は、「共産党は自民党と同じ」とやって、「代々木打倒!!」をとなえた。今回の総選挙でも日本共産党は、「社民党は民主党と同じ」「民主党は自民党と同じ」とやって、相手を叩きまくったのです。

融通無碍に「統一戦線論」と「社会ファシズム論」を使い分け、やりたい放題。 悪罵を投げつけながら、手をむすべとせまるのです。いや、手をむすばせるために悪罵? どっちでもいいですけど、 どうして昨日までの罵倒対象と手を結べるんですか ? まさか相手が非を認めた、とプロパガンダする訳ではありますまい?

まともな感性をもつ人間なら、こんな奴らへの答えは決まっています。
「小さな左」とは関わりあいをもたないようにする こと、これでしょう。それ以外に、どんな対応策がありますか。

提起するのならかつての自分たちの運動ついて、
そして、自分たちの原理・主義を振りかざして、引っかき回したことなどについて、反省されるべきだと思うのですがいかがでしょう。

すくなくとも、それが 「誠実」というもの ではないでしょうか。
そして、その誠実さこそ、迂遠ではありますが、目的達成のために必要なことなのではありませんか?

あ。そんなもの運動には邪魔になる、ですか。
それは失礼致しましたね。

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Last updated  Sep 26, 2005 04:32:46 PM
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※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


いつも拝読しています。  
remke さん
反証するつもりはないのですが、社共共闘が必ず、したたかな左派にしてやられたという図式は、70年代から80年代にかけてのフランスの社共共闘はこの事例には当てはまらないのでは。ミッテランその他の当時のフランス社会党の指導者の力量才覚が不足していたのだと思います。私としては、Webmasterがあえて捨象した理由を知りたいです。 (Sep 21, 2005 11:07:43 PM)

Re:いつも拝読しています。(09/21)  
remkeさん
>反証するつもりはないのですが、社共共闘が必ず、したたかな左派にしてやられたという図式は、70年代から80年代にかけてのフランスの社共共闘はこの事例には当てはまらないのでは。ミッテランその他の当時のフランス社会党の指導者の力量才覚が不足していたのだと思います。私としては、Webmasterがあえて捨象した理由を知りたいです。

うわ!レスが付いてしまった。
どんどん内容が膨らんだので、再投稿しようと思ったので…

フランス社会党は、もともと労働組合の政党ではないこと(戦前もそうですが急進社会党はブルジョア・リベラリスト政党ですし)、とくに2回投票制のもつ「政党連合」化と、フランスではソ連を支持した唯一の政党の負い目、があるのではないかと。

失礼致しました。 (Sep 21, 2005 11:18:56 PM)

手厳しいご意見ですね。  
アッテンボロー さん
 「小さな左」が「大きな右」を引っかき回すだけの統一戦線は確かに問題があるかと思います。どちらにとっても支持を拡大できる統一戦線という物が形成できない物か、無い知恵を絞りたいと思います。 (Sep 22, 2005 09:00:42 AM)

へえ~X100回!  
かんべえ さん
よく読ませてもらってますが、非常に勉強になります。

(最近、「溜池通信」がブックマークに入っているのに気づいて驚きました)。 (Sep 22, 2005 04:10:12 PM)

「反省」の形式なき左翼ですな  
TAMO2 さん
はじめまして。アッテンボローさんのところに貼られているTBを見てやってきました。

見事ですね。日本の左翼ってのは、自らの観念の中のイデアに従わないものは基本的に敵という感じですね。他人には他人の事情がある、という想像力が働かない、というか。そこから、利用主義が発生すると思います。

 小生の好きな言葉に、「人間にとっての根元は、しかし人間自身である。」(マルクス;『ヘーゲル法哲学批判序論』)というのがありまして、これはとりもなおさず人間の目的は人間であると読み替えて然るべきだと思うんですよね。左翼の多くがマルクスに依拠しているはずなら、本来利用主義にはならないはずなのですが。変な話ですよね。

 ここに正義とやら理想とやらの怖さを小生は見ます。 (Sep 22, 2005 09:22:46 PM)

「小さい左」が「大きな右」のために「一歩譲る」寛容さも必要  
まこと さん
はじめまして。
こちらのブログは時折拝見しますが、今回初めてコメントします。

>どの面さげて、こんな「小さな左」にとってのみ都合のよい運動論に、目を向けよなんて言えるんでしょうか。

>むしろ「大きな右」は、より「大きな右」との提携に、傾きがちになりやすい。

ご指摘のように、「小さな左」"のみに"都合の良い運動論では「大きな右」が連帯しようという気になるはずもありませんね。

けど、例えば「小さな左」たる共産党が「大きな右」である民主党の躍進のために、自・民候補者の接戦が予想される小選挙区において"自主的に"候補者擁立を見送るような状況が生まれたらどうでしょうか?

「統一戦線」という言い回しが適切かどうかという問題はともかく、政策的に「大同小異」の人達が党派の違いを超えて連携するためには、「小さな左」が「大きな右」の躍進のために「一歩譲る」ことも、互いの信頼醸成のためには肝要だと思っています。 (Sep 22, 2005 10:33:23 PM)

訂正  
まこと さん
>政策的に「大同小異」の人達が

↑の箇所は

「政策的観点では「大同小異」で一致点を見出せるはずの人達が」

に訂正します。 (Sep 22, 2005 10:40:14 PM)

問題の前提は  
酔生夢死浪人 さん
 切り口の鋭さには、いつも感心しています。私など<第三の極>形成を願う、笑われるべき対象でしょうが……。
 <統計>でも<実感>でも、日本は今後、アメリカ的な階級社会に移行するでしょう。ニューオーリンズは日本の未来かもしれません。<竹中―小泉路線>で創出される<負け組>の不満に、民主党が応えられればいい。私自身、民主党が先進国の社民党、労働党的な存在になることを期待しています。
 もし、民主党がアメリカ的な保守2党制の一翼を担うのなら――その可能性は高いのですが――、水面下で喘ぐ声を代弁する勢力が必要になってくる。そういう状況を想定して、<第三の極>形成を主張する声が上がっていると思います。



   (Sep 23, 2005 10:22:56 AM)

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