ChooChooTrainの部屋

ChooChooTrainの部屋

December 2, 2003
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主人がIUC病棟に移された頃、会社関係の人で某大学病院にコネのあるという人が現れる。 某大学病院はこのエリアではトップクラスの病院なので、そこの病院で治療が受けられるならばそれに越したことはないので、当たってみていただいた。 が、夕方遅くに連絡があり、そちらの病院の脳外科チームは明日の朝の手術のためのメンバーがそろえられないとのこと。 この病気は早く処置したほうが助かる見込みが高いので、いたずらに時間を過ごすことはできないと思い、当初運ばれた病院で手術を受けることにしました。

ところが、夜11時半過ぎに、たまたま昼間電話しておいた数少ない知り合いの一人のアメリカ人から電話があり、他の病院を当たったのかと聞かれる。 某大学病院で断られたことを話すと、じゃあXX大学は、というので、私はこのエリアでどこの病院が良くてどこが良くないのかとか何も知らないし、知り合いもいないので何もしていない、と伝える。 すると彼女、「とにかく今から病院に行くから待ってて」といって深夜に病院に駆けつけてくれました。

彼女のだんなさんは中東の出身で、中東のお金持ちがアメリカで高度な医療処置を受けられるよう手配するようなことを仕事にしています。 よって、この病気ならこの病院のこのドクターが一番、などという情報に詳しく、彼女が駆けつけた時に手にしていた紙切れには3人の脳外科ドクターの名前が。 一人は最初に断られた病院の人なのでボツ。 もう一人(二人だったかな?)はXX大学病院に所属。 彼女に、主人を移送する意思があるかどうか聞かれる。 私は意識ももうろうとしかけている主人と相談し、もし自分たちが日本にいたならばたまたま運ばれた救急病院でなく、少しでも優れた病院で手術を受けるであろうことを考え(しかも盲腸などではなく脳の手術!!)、移転を希望。 深夜に彼女がXX病院の宿直の脳外科のドクターと相談し(そう、そこの病院には脳外科の専門医が常駐しているのです)、翌朝手術の手配を付けてくれる。

深夜の患者の移送手続きも病院間でしてくれる。 XX大学病院はヘリポートも備えているので、ヘリで移送、ということになりそうだったのに、こちらの病院にはヘリポートがないのでヘリは使えない。 そこで夜中の3時過ぎに救急車が到着し、そこから夜間で約30分離れたXX病院へと引越し。

XX病院の脳外科のICUでは良くなりかけた患者さんを普通病棟に移して部屋を空けてくれたばかりなので、なんと当直の先生自ら掃除を手伝って準備してくれていたとのこと。 こちらの病院は脳外科のICUだけで10室ほどあり、スタッフも皆プロフェッショナルな様子。 午前4時半頃に一段落したので私は主人の会社の人と待合室で仮眠することに。

午前7時過ぎ、主人は手術室へ運ばれていく。 開頭手術に当たるのは、学会では世界的にも名の知られたドクターM。 ちょっと神経質そうで、クールな感じのハンサムなドクターです。 手術には3~4時間かかるとのことなので、待合室で待機。 カフェテリアで昼食を取り、もうそろそろかな、と待ち続けたものの誰も何も言いに来ないので不安が募る。 結局5時間ぐらい待ったところで手術に立ち会ったナースが来て、手術は無事終わったのでしばらくしたら主人が部屋に戻ってくるとのこと。 まずはホッと胸をなでおろす。

それからしばらくしてついに主人とご対面となる。 白い包帯で頭をぐるぐる巻きにされている。 私が誰で、どこで今何をしているのか、はっきりはわかっていない様子。 看護婦さんが何度もここはどこ、今日は何日、といった質問を繰り返しているが、日付についてはたまに間違えてしまう。 そんな主人の様子を見ていると涙が止まらない。 手術前は痛がりながらもきちんと話ができたのに、今はすべてが混乱しているみたい。 看護婦さんやドクターはこういう状態は術後には良くあることなので心配要らない、と言うが、もしこのまま良くならなかったらどうなるのだろう、という不安は消えない。 その日はとりあえず10分ぐらい病室にいただけで帰る。

一方日本からは主人の母が病院に直行で駆けつけてくれたので、息子をピックアップして3人で一緒に家に戻る。 何もわからない赤ちゃん。 平日の昼間だと1時間はかかる距離にある病院の集中治療室にいる主人。

翌日からは毎日昼ごはん時に病院に到着し、夕方のラッシュの前に病院を出る生活が続く。 日本では脳の手術を受けた患者さんにどういった接し方をするのか知らないけれど、この病院の看護婦さんたちは主人を病人扱いせず、単なるけが人のように扱う。 だから、ご飯も自分で選んで注文し(さすがアメリカの病院、アメリカンフードのメニューの種類は豊富で、前菜、メイン、デザート、飲み物の種類まですべてこまかく選べるようになっており、また選ばなければならないのです)、自分で食べなければなりません。 主人は食欲がないといって食べたがらないけれど、看護婦さんはたんぱく質だけでも食べろと言ってサラダの上に乗ったグリルドチキンを勧める。 主人は元気なときでもこういった食事はあまり好まないので、この先こんなものばっかり食べろ食べろと言われてもかわいそうだなと思い、果物やおにぎりを毎日持っていったのだけれど、それすら食べさせるのに一苦労。 おにぎりも一口かじっただけで放置されてしまう。 みるみる骸骨のようにやせていく主人。

数日後、歩行訓練を開始。 バランス感覚がまだあまりよくないのでまっすぐ歩けない。 病院の廊下を一周して終わり。 その後、徐々に歩く距離を延ばしたり、階段の上り下りを練習する。

術後の経過はまずまずだったがまだ安心はできない。 手術後3~5日目(だったかな?)に起こりやすい合併症のような症状(血管の収縮が起きるらしい)がでる危険性があって、手術がうまくいってもこの合併症によって命を落としたり体の機能が麻痺してしまう人がいる。 毎日多量の痛み止めと吐き気止めと血管を広げる薬を大量に飲む。 自律神経も狂い気味なので極度に寒がったり、食事をすぐにもどしてしまったり、また、血液が少量脊椎に入り込んだことによる腰の痛みもひどいらしい。 マッサージしたり、ベッドのマットレスをエアマットに変えたりするが、始終愚痴が耐えないので、病人のわがままとわかっていても、看護する側にとっても結構辛い。

8日目に一般病棟に移る。 ICUでは患者2人につき1人の看護婦さんがいるので、呼べばすぐに対応してくれるが、一般病棟では1人の看護婦さんが10人近くの患者さんの面倒を見ているため、呼んでも薬を頼んでもすぐには来てくれない。 主人は「僕はまだ重病人なんだぞ、ICUに戻してくれ」と言うが、ICUは生命に危険のある人が入るところなので、危険が去った以上は置いてくれない。 が、2日目の午後、合併症が起きていないかどうかを見る検査の結果が芳しくないので急遽ICUへ戻ることに。 本人も私もちょっと安心。 結局危機は乗り越え、17日の入院後、退院。

退院して家に帰るその足で家具屋に行って、安楽いすを注文する。 なんだか病院をこっそり抜け出してきたかのような風貌で顔から頭にかけて傷のある客を接客した店員はきっと内心びびっていたに違いないが、主人がいろいろないすに座ってみて試した結果、結構なお値段のリクライニングチェア―を買うことになるが、これから1ヶ月間、寝たきりにならないようにリビングルームで座って過ごすためのいすだからケチるわけにはいかない。

会社の東京にいる上司は仕事のことは一切心配要らないからリハビリに最善を尽くしてくれとのこと。 その言葉に感謝しながら、自宅でのリハビリ生活が始まる。 最初のうちは寝ている時間が多いし、文字も読みたがらないが、それでも階段の上り下りも自分でするし、シャワーも自分で浴びるので立派なものだ。

そんなリハビリ生活が10日目に入った頃、今度は別の大問題が発生。

続く… 





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Last updated  December 3, 2003 07:52:31 AM
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Re:主人の生死を分けたその病気とは?! その(12/2)  
OKAー3  さん
いやあ大変だったんですねえ。<br>まだ続きがあるようですが・・・。<br><br>小さい子供がいて、大黒柱のご主人に倒れられたら、どうしていいかわからなくなりますね。 (December 3, 2003 05:10:34 PM)

Re:主人の生死を分けたその病気とは?! その(12/2)  
れあっぴ  さん
こんばんは!ホント、大変だったんですね・・・。読んでいて、どっ・・・どうなっちゃうの!と、心配になりましたよぉ!(今お元気なのでホッとしてます)<br><br>アメリカの病院食はいいですよね~。栄養士の地位も日本とじゃ雲泥の差ですしね。私も栄養士なんですけど、アメリカ帰りの講師にいろいろ習って少しだけ(サボっていなかった部分だけ?)知っています。なので、その部分を真剣に読んじゃいました★<br><br>ご主人・・・またトラブル発生?明日の日記が心配・・・。って、今は元気だってね!よかったよかった。 (December 3, 2003 05:10:40 PM)

Re:主人の生死を分けたその病気とは?! その(12/2)  
halric  さん
昨日お邪魔した時にもレスつけしようかと思っていたのですが<br>色々まとまらなくなってしまい、今戻ってきました。<br><br>ChooChooTrainさんとご主人様、よく乗り越えられましたね。<br>振り返っておられるということは、落ち着いて<br>今は元気にされているということですよね?よかったです。<br><br>比べ物にならないんですけど、私が学生時代ある田舎に留学していた時<br>2回も救急病院に行ってしまったのです。<br>交通事故と、スポーツ事故で・・・<br>異国で病院に行くと大した怪我でなくても格別にヒヤヒヤするのに<br>そのような生死に関わる疾患だったなんて<br>本人もご家族も激しく疲労されただろうな、と思います。<br><br>======<br><br>ところで今引越し準備大変でしょうね!<br>私は荷物出しの日に児童虐待してしまいました(汗)<br>どうにもこうにも終わらなくて、1歳8ヶ月だった長男を<br>おもちゃを入れたプレイペンの中に放置し、ビデオの前に置いて<br>半日ほど・・・歩き回ると何でも口に入れるので<br>最後の手段に走ってしまいました。<br>あいにくいつものシッターさんも都合が悪くて・・・<br>その合間に3ヶ月の次男に授乳もしていたんです。<br>文字通りの修羅場でした。<br>海外にはまた生きたいけどあの思いはもうカンベンです(笑)<br> (December 4, 2003 02:01:02 PM)

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