ジョエル・ロブションのすべてという本を最近買いました。厚さが5センチもある本で、700ものレシピがのっています。買ったばかりでもちろんまだ全部読んでいる暇が無かったんですが、20世紀最高と言われたシェフのレシピは意外にもシンプルでオーソドックス。基本に忠実で、科学的にも理にかなったものでした。
写真がほとんどなく、ひたすらレシピばかりなんですが、ちらほらと食材の歴史や由来、知られざる性質、間違った常識、ちょっとした料理のコツなどが散りばめてあって実に勉強になるのだが、特に素晴らしいのが、別冊で付いているオレンジ色の副読本だ。
調理器具の説明や、調理法の説明が丁寧にに書かれていてとても役に立つ。食に対する博物学者とでも呼びたくなるくらいのあふれんばかりの深い教養を感じますね。
さすがに私もこの仕事を30年やっているのでほとんどは既に分かっていることなのだが、仮に素人に仕事を教えるとしたらここまで丁寧にに書けるだろうかと思う。
野球の選手などにも言えることだが、名選手が必ずしも名監督や名コーチになるとは限らない。長嶋さんのように「グーッと引きつけてパンっと打つ!」みたいな、何言っているんだかよくわからない?指導もあるわけで、料理人の多くもここまで丁寧に理詰めに料理について書ける人はいないだろう。
この本は音楽でいうと、、、分厚い700のレシピ本がいわば譜面集で副読本が楽器と演奏法に関する解説とでもいえるだろう。実は薄い副読本のほうが大事だったりするかもしれない。つまりオレンジ色の副読本に書いてあることをすべてマスターすれば、どんなレシピにも対応できる技術を持てるだろう。まあ、軽く20年くらいかかるでしょうが、、、(笑)
しかしこれだけの本が、¥7000しないというのは、実に安い!厚さから言って、この手の専門書は2~3万するのが普通だ。誰が読んでもためになるとは言わないが、料理というものを真剣に考えてみたい人には必見かもしれない。
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