《櫻井ジャーナル》

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2011.02.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 エジプトの支配層は「衣替え」に忙しいようだが、その実態は「ムバラクなきムバラク体制」の安定化にほかならない。真の民主化など目指してはいない。そんなことをすれば庶民から富を吸い上げる仕組みが崩れてしまう。エジプトを中東支配、つまり中東から富を吸い上げる仕組みの要にしてきたアメリカ、イスラエル、ヨーロッパにとっても都合の悪い事態になる。日本にとっては中東が民主化してもマイナスにはならないと思うが、何しろ支配層はアメリカの言いなりなので、少なくとも日本の支配層も民主化には消極的だ。

 チュニジアやエジプト、最近ではイエメン、ヨルダン、そしてバーレンでも民主化を求める抗議行動が繰り広げられ、 バーレンでは民主化を唱えていた人が射殺され、国王が謝罪する事態 になっているようだが、こうした行動のエネルギーは「生命活動」に根ざしている。人間として生きることを否定された人々の怒りだ。

 アメリカやイギリスの親イスラエル派が主導した中東への軍事攻撃で社会基盤が破壊され、多く(おそらく100万人以上)の住民が殺されている現実、そうした事態に何ら有効な手を打てない親米/親イスラエルの独裁国家に対する反発だけではなく、新自由主義経済の導入による支配層への富の集中と庶民の貧困化への怒りが根底にある。そうした意味で、新自由主義経済への完全復帰を求めるイランの反政府行動は異質なのだ。(現政権も新自由主義経済からの完全な離脱は困難なようだが。)

 イラクを先制攻撃する前、アメリカ政府は「大量破壊兵器」の存在を声高に叫んでいたのだが、その情報源のひとつとされたのが「カーブボール」という暗号名で呼ばれていたラフィド・アーメド・アルワン・アリジャナビ。 彼はガーディアン紙のインタビューで、嘘をついた理由として「民主化」を挙げていた 。アメリカ政府も民主化をもたらすようなことを言っていた。

 しかし、アフガニスタンやイラクが民主化されたなどとは到底、言えない。破壊と殺戮と腐敗の国になってしまった。フランクリン・ルーズベルトやジョン・F・ケネディは本気で民主主義を願っていたようだが、これは例外。基本的にアメリカの支配層はカネ儲けにしか興味はなく、民主主義を嫌っている。だからこそ、民主的なプロセスを経て成立した政府を暴力的に倒し、独裁体制を樹立させてきたのだ。エジプトもそのひとつ。今回のエジプト革命(現在進行形だが)でアメリカやヨーロッパが掲げる「民主化」の欺瞞性も明確になった。

 エジプト革命はもうひとつ、大きな影響をアメリカやイスラエルに及ぼしたとする指摘がある。 イラン攻撃が難しくなった というのである。もっとも、これはアメリカにとっても朗報かもしれない。何しろ国家としてのアメリカは戦費負担で沈没しそうなのだから。





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最終更新日  2011.02.16 13:58:49


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