《櫻井ジャーナル》

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2011.02.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 リビアでカダフィ体制が崩壊する中、ロッカービーの爆破事件を思い出す人も少なくないようだ。この事件が起こったのは1988年12月のこと。ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港へ向かってロンドンのヒースロー空港を飛び立ったパンナム103便が南スコットランドのロッカービー上空で爆破され、243名の乗客と16名の乗員が死亡、地上にいた11名も犠牲になっている。

 オランダで行われた裁判によると、爆破に使われたのは東芝製ラジオカセットに仕掛けられたプラスチック爆弾。このラジオカセットが入れられたスーツケースはマルタのルカ空港でフランクフルト行きのマルタ航空機に積み込まれ、フランクフルトでパンナム103便へ移されたとされている。「持ち主」は搭乗していない。

 しかし、マルタ航空の記録では該当機に積み込まれた荷物は全てフランクフルトで下ろされたことになっているほか、パンナムのフランクフルトでの担当者も持ち主がいないカバンが103便に積まれてロンドンまで運ばれた事実はないと証言している。その当時、フランクフルト空港とロンドンのヒースロー空港にはX線装置による検査が行われていた。

 パンナムが独自に調査した結果によると、事件の数週間前から旅客機を爆破する計画があるとする警告が何度かなされたという。

 まず、12月5日にはヘルシンキのアメリカ大使館に「今後2週間以内にフランクフルト発ニューヨーク行きのパンナム機に爆弾が仕掛けられようとしている」とする内容の電話がかかり、8日にはイスラエル軍がレバノンにあったPFLP GCのキャンプを急襲した際、パンナム機攻撃に関する文書を発見したという。また、18日にパンナム103便の爆破計画に関する警告を受けたBKA(ドイツ連邦警察)はこの情報はボンの米国大使館に伝え、さらに20日にもモサド(イスラエルの情報機関)は同じ内容の警告を伝えたという。

 パンナム103便に複数の米情報機関員が乗っていたことも謎を深めた。中でも注目されたのがDIA(米軍情報局)のチャールズ・デニス・マッキー少佐とCIAのベイルート支局次長だったマチュー・ギャノン。ふたりは、レバノンで拘束されていたアメリカ人を救出する目的でDIAとCIAが編成した混成チームの中心メンバーだった。このふたりに絡んだ麻薬調査に関する話も伝わっているのだが、真偽不明なので、ここでは触れない。

 ロッカービー爆破事件が起こったとき、多くの人は5カ月前の7月に起こったイラン航空機の撃墜を思い出したはずだ。アメリカ軍のミサイル巡洋艦(イージス艦)「ビンセンス」がイラン航空の655便をホルムズ海峡上でミサイルによって撃ち落としたのである。乗員乗客290名が死亡した。ちなみに、この艦船は海上自衛隊とも浅からぬ関係にある。

 当初、アメリカ側はイラン機がコースを外れ、飛行高度が約2700メートルと低かったと弁明したが、コースから外れていたのは7キロメートル前後にすぎず、離陸して7分後だということを考えれば高度が低すぎるとも言えない。

 アメリカ政府は6180万ドル(乗客ひとりあたり約21万ドル)を支払うことになるが、撃墜の責任は認めず、謝罪もしていない。状況から考え、きわめて不誠実な態度だと言えるだろう。



 こうしたアメリカ側の態度にイラン側が激怒するのは当然のこと。そこで、ロッカビー事件の直後、多くの人が「イランの報復」を連想したわけである。

 誰が実行したにせよ、事件の根にイラン機撃墜事件があると考えている人は多い。リビア政府にロッカビー事件に関する証拠があるならば、全てを公表すべきだ。

 今回、リビア政府はジャミングで通信を妨害したと言われているが、1978年にリビアへジャミング装置を売ったのは「元CIA」。この頃には武器の売却も行われていた。つまり、遅くともこの頃からリビアとアメリカの情報機関はつながっている。こうした関係も明らかにしてもらいたいものだ。リビア側は「保険」として隠すだろうが・・・。





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最終更新日  2011.02.25 13:59:08


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