《櫻井ジャーナル》

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2011.06.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 東北地方の太平洋沖で巨大地震が起こり、福島第一原発が事故を起こしてから3カ月余りになる。この事故によって大量の放射性物質が放出/流出し、多くの被曝者を出してしまった。迅速に避難すれば避けられた被曝もある。その責任は正確な情報を隠し、「安全デマ」を流した政府とマスコミにある。

 今回の事故でマスコミが単なるプロパガンダ機関にすぎないことを多くの人が知ってしまった。当日の午後3時42分に1号機から3号機で「全交流電源喪失」と東電が政府に通報した段階で、事故が破滅的だということは明らかだった。冷却ができないことを意味しているからである。

 事故の翌日、原子力資料情報室で開いた会見で元原子炉設計者の田中三彦氏は、格納容器の圧力が異常に高まっている重大な意味を指摘している。通常は1気圧弱で、設計上の緊急時でも4気圧にすぎないのだが、8気圧まで上昇していたわけで、とんでもない状況になっていることは明らかだった。それだけの圧力上昇をもたらせた蒸気がどこからきたのかを政府や東電は語らず、マスコミは質問しなかった。

 こうした現象が起こる理由として考えられるのは、給水配管が損傷/破断したのか、あるいは「主蒸気逃がし安全弁」が開いて閉じなくなったのかであり、いずれにしろ、圧力容器の水位が下がるという現象が起こっていることは明らか、つまり冷却材喪失事故が起こっていることを示していた。

 田中氏によると、問題の時点における原子炉の圧力は安全弁の開放設定圧力より低いため、通常なら開かない。つまり、配管が損傷/破断したと考えなければならないわけで、破局への道を歩き始めたのは津波がくる前、地震で揺れているときだった。(「科学」、2011年5月号)

 こうした状況になっていることは、田中氏だけでなく、海外の専門家も推測していたようだが、日本のマスコミは相変わらず「デマ」を流すだけ。3号機の大規模は爆発で使用済み燃料棒が飛び散った可能性などについても報道していない。

 圧力容器内の燃料棒が損傷していることも早い段階から知られ、溶融している可能性も指摘されていたが、政府が1から3号機で燃料が原子炉圧力容器の底に溶け落ち、一部は容器に開いた穴から外側の格納容器に落下している可能性があると発表したのは6月に入ってからだった。

 溶融物が圧力容器から格納容器へ落ちたとするならば、そのまま格納容器を突き抜けるても不思議ではない。何しろ、溶融物の温度は二千数百度、格納容器は融点が千数百度の鋼製で、しかも厚さは数センチしかないからだ。つまり、少なくとも溶融物の一部はコンクリートの中へ入っていると考えられるのである。

 マスコミが流している「デマ」の中で最もタチの悪いものは、放射線の人体への影響である。



 放射線の場合、広島や長崎に投下された原子爆弾の影響、あるいはチェルノブイリ原発の事故による影響を調べたり、細胞を使った実験で推測しているのだが、問題は政府や国際機関がデータを隠してきたこと。原子力発電は原爆と密接な関係にあるため、「軍事機密」として扱われてきた側面もあるだろう。

 とにかく、不明な点は多い。それをいいことに、「専門家」と称する人たちが被害をないかのごとく宣伝、それをマスコミは垂れ流してきた。こうした日本の姿勢は世界的な非難を受けることになり、そうした情報はインターネットを通じて日本にも伝えられている。政府、東電、マスコミの流す情報が信用できないことは広く知られるようになってきた。信頼されなくなったマスコミは人々から見向きもされなくなり、そうなれば、政府や財界に見捨てられるだろう。

 ところで、チェルノブイリで「134名の急性放射線傷害が確認され、3週間以内に28名が亡くなっている。その後現在までに19名が亡くなっているが、放射線被ばくとの関係は認められない。」と官邸は主張している。

 そうした数字の根拠にしたのはIAEA(国際原子力機関)やWHO(世界保健機構)などで編成された「チェルノブイリ・フォーラム」。このフォーラムでさえ「放射線被曝にともなう死者の数は、将来ガンで亡くなる人を含めて4000人である」としている。

 そのほか、チェルノブイリ事故によるガン死数をWHOは9000件、IARC(国際ガン研究機構)は1万6000件、キエフ会議は3万から6万件、グリーンピースは9万3000件と見積もっている。アメリカのニューヨーク科学アカデミーから出版された『チェルノブイリ:大災害の人や環境に対する結果』では、1986年から2004年までの間に98万5000名が亡くなり、その数は増え続けているとしている。

 このところ、自分たちのおかれたマズイ状況に気づいたマスコミの一部は少しずつ事実を伝えるようになった。今でもプロパガンダに徹している記者/編集者たちよりはマシなのかもしれないが、所詮は「アリバイ工作」にすぎない。現在はマスコミから逃げている人も含め、その責任は重い。





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最終更新日  2011.06.14 04:52:44


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