《櫻井ジャーナル》

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2011.07.04
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 金融システムを利用した略奪に苦しんでいるギリシャ。そのギリシャがイスラエルによるガザ攻撃を支援するような動きに出ている。ギリシャの港に終結したガザ支援船の出港を禁止しているのだ。昨年5月31日には公海上で支援船の「マビ・マルマラ」をイスラエル海軍の特殊部隊「シャエテット13」が襲撃、支援船の9名が殺害されている。

 犠牲になった9名のうち5名は至近距離から頭部を撃たれていることから「処刑」だった可能性が高いと考えられている。例えば、19歳のアメリカ人、フルカン・ドーガンの場合、後頭部を至近距離から5発撃たれ、2発は足、そして背中にも1発撃たれていた。5名に撃ち込まれた銃弾の数は合計すると30発になる。

 昨年の場合、イスラエル軍はジャミングで支援船団と外部との連絡を妨害、船団側が撮影していた映像などは押収して事実を隠そうとしたのだが、それでもイスラエルに対する非難の声は大きくなり、イスラエルは苦しい立場に陥った。

 その1年以上前、2008年12月から1月にかけて実行された軍事侵攻でイスラエル軍はガザの経済的、あるいは社会的な基盤になる施設を破壊しただけでなく、国連施設や医療関係者や医療施設を攻撃、住民の住まいを破壊している。その際に化学兵器とも見なされている白リン弾も使用、1300名以上の住民を殺し、4000名以上を負傷させた。

 このときの破壊と殺戮でイスラエルに批判的な人を増え、イスラエルの「防御装置」も働かなくなっていた。世界的に見ると、支援船を襲撃したことに対するイスラエルの代償は大きいと言える。

 イスラエルはガザを日常的に「兵糧攻め」にしている。軍事侵攻はその合間に実行される残虐行為だ。アラブ系住民がこの地区から逃げ出すか、死に絶えるまでイスラエルは攻撃を続けるつもりだろう。同じことはヨルダン川西岸でも言える。

 こうしたパレスチナ問題を生み出した原因は1917年に出された「バルフォア宣言」にあるとも言われている。イギリスのアーサー・バルフォア外相(当時)がロスチャイルド卿宛ての書簡で、「イギリス政府はパレスチナにユダヤ人の民族的郷土を設立することに賛成する」と約束したのだが、このバルフォア宣言を実際に書いたのはアルフレッド・ミルナーである。

 パレスチナに「ユダヤ人の国」を作るという近代シオニズム運動を始めたとされている人物はセオドール・ヘルツル。1896年に『ユダヤ人国家』という本を出版、翌年には第1回シオニズム会議をバーゼルで開いている。その延長線上にバルフォア宣言はあるというストーリーだが、パレスチナに「ユダヤ人国家」を作るというアイデアはヘルツルの前から存在する。

 例えば、1838年にイギリスはエルサレムにイギリスは領事館を建設し、その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査、1840年になるとイギリスのタイムズ紙は、イギリス政府がユダヤ人の復興を考えていると報じている。



 テンプル騎士団の伝説、あるいは1620年にアメリカ大陸へ上陸したピューリタンの中に「ユダヤ人の国」をパレスチナに建設するべきだと考える人たちがいたという話を別としても、近代シオニズムが始まる半世紀以上前からイギリスの支配層はイスラエルの建国を計画していたことを軽視するべきではない。シオニズム運動を作り出し、ユダヤ人を利用してイスラエルなる国をパレスチナに建国しようとしたのは誰なのか?

 現在、 ナトーレイ・カルタ などユダヤ教の一部宗派は、イスラエルやシオニズムをユダヤ教と対立する存在だと主張、パレスチナ人と連帯する活動を続けている。この宗派もシオニズムの胡散臭さを感じているのだろう。

 さて、今回計画されていたガザ支援活動は、ギリシャ当局によって妨害されている。その命令を無視してガザへ向かおうとしたアメリカの船はすぐ沿岸警備隊に阻止され、ジョン・クラスマー船長は逮捕されている。弁護士のリチャード・レビによると、ベッドもトイレもない留置場の中、食べ物や飲み物も提供されずに拘束されているという。

 そのギリシャは現在、財政破綻で苦境にある。巨大金融機関、ゴールドマン・サックスがギリシャの腐敗した支配層と手を組んで国を借金漬けにした。借金の急増を国民やEUに知られないようにしつつ、投機集団からカネを受け取り、その代償として公共部門の収入を差し出すという構図で、庶民を劣悪な環境でこき使おうしている。

 そう言えば、テンプル騎士団を史上最初の巨大金融機関と表現する人もいる。





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最終更新日  2011.07.04 15:12:22


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