《櫻井ジャーナル》

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2011.08.03
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 リビアの内戦が泥沼化する一方、シリアが内戦状態に入りつつあり、エジプトで政府に対する抗議活動が再び活発化、民主化要求が高まっているバーレーンではサウジアラビアなどが送り込んだ軍隊の力も借りて民主化を要求する人々への弾圧が続き、イスラエルでは「民族浄化」を推進する法律が成立するなどファシズム化が進んでいる。中東/北アフリカは混迷の度を深めている。

 イラクやアフガニスタンで戦争の終結が見通せないことは勿論、そのほかの国々も安定しているとは言い難いわけだ。そうした中東に対する欧米各国(日本はアメリカに指示されて動いているだけ)の対応が「民主化」や「人権」などでない基準で決まっていることは明白である。こうした基準で動いているなら、バーレーンなど湾岸の産油独裁国家に対して制裁を加えると言わなければならない。

 例えば、バーレーンではデモに参加した13名が治安部隊に殺され、そうした抗議活動に参加していた7名に死刑判決が出され、政府の民主化弾圧を批判した野党の政治家が逮捕され、デモで負傷した人を治療したとして多くの医師や看護師も逮捕されているが、大して問題視されていない。市民の犠牲に敏感なはずのイギリスやフランスもバーレーンの件では鈍感だ。

 イギリスとフランスが主導、アメリカも後押ししていて内戦が始まったリビアの状況は悪化、イギリスの リアム・フォックス国防相 は反政府軍だけで勝利することは難しいと発言、政府側の寝返りを期待するとしている。 ウィリアム・ハーグ外相 も内戦の先行きを見通せないことを明らかにした。

 言うまでもなく、イギリスやアメリカをはじめとする欧米諸国は、中東やアフリカから富を奪い続けてきた。石油、金、ダイヤモンド、最近はレアメタルを求めて巨大資本が蠢いている。こうした事情を抜きにして、この地域で続いている戦争や飢餓を語ることはできない。リビアやシリアに対して米英仏などが不安定化工作を続けてきたことは本ブログでも書いた通りだ。

 第二次世界大戦後、こうした欧米の支配から抜け出して独立しようという動きが強まった。イランのムハマド・モサデク、パレスチナのヤセル・アラファト、エジプトのガマール・ナセルなどのナショナリストは象徴的な存在だ。こうしたナショナリストに対抗する形で登場してきたのが「イスラム原理主義者」。エジプトで大きな影響力をもっているイスラム同胞団もそうした勢力の中に含まれている。

 同胞団は一九二八年、ハッサン・アル・バンナによって創設されているのだが、その際にスエズ運河会社から資金が提供されている。当時、スエズ運河はフランスからイギリスに支配権が移動済みで、イギリスによる中東支配の象徴的な会社になっていた。



 エジプトでは民族自決の象徴、ナセルが1970年に52歳の若さで急死、後任はアンワール・サダトに決まった。サダトは「元ムスリム同胞団」で、大統領に就任するとムスリム同胞団をカイロへ呼び戻している。さらにサウジアラビアとの同盟を打ちだし、左翼を弾圧し、イスラエルやアメリカとの関係を修復した。

 最近の中東情勢を歴史と見比べると、欧米各国がかつての利権構造を再建しようとしているようにも思える。それだけ欧米の経済状況は厳しいということであろう。





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最終更新日  2011.08.03 12:55:43


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