《櫻井ジャーナル》

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2011.08.19
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 福島第一原発の事故以来、電力会社と経産省との密接な関係が問題になっているが、日本の場合、巨大企業が監督官庁の幹部を役員として高給で受け入れることは珍しくない。いわば「日常の風景」。だからこそ「天下り」という言葉が存在するわけだ。この構造が日本の支配システムを腐敗させ、国は朽ち果てようとしている。

 しかし、似たようなことがアメリカでも行われてきた。政府、法律事務所、巨大企業をクルクル移動することから「回転ドア」とも表現されている。つまり、アメリカでも政財官の癒着は根の深い問題なのだが、ここにきてSEC(証券取引委員会)の天下りが注目されている。

ローリング・ストーン誌 によると、相場操縦やインサイダー取引などの不正行為に関する調査資料が大量に廃棄されているようだ。SECの捜査官、ダーシー・フリンの告発によると、遅くとも1993年から9000件以上の資料が廃棄されている可能性があるという。当然、そうした資料の中には2008年の金融スキャンダルと関係するものも含まれていた。

 資料の廃棄が横行している背景には、SECで捜査を担当している法務執行局の歴代局長と金融機関との癒着があるとフリンは主張している。例えば、1985年から89年にかけて局長を務めたゲイリー・リンチは弁護士としてドイツ銀行のロビー活動を行い、多額の報酬を得ている。

 リンチの後任であるウィリアム・マクルーカスは1998年にウィルマーヘイルというウォール街の法律事務所へ入り、その後任であるリチャード・ウォーカーは2001年にドイツ銀行の主任法律顧問として雇われ、2004年になるとドイツ銀行はロバート・クザミという連邦検事を入行させている。

 リンチがSECを離れる前、ドイツ銀行をフリンは内偵していた。同銀行のロルフ・ブロイアーCEOはシュピーゲル誌にバンカーズ・トラストの買収を考えていないと語っていたのだが、この発言は嘘だった。安値でバンカーズ・トラストの株式を買い取るために嘘をついたのではないかということで、捜査の対象になっていたのである。

 この捜査が打ち切られたことを知らせる手紙がドイツ銀行に送られたのは2001年7月23日のことだが、その13日前にリンチは自分自身の意志で担当を離れている。リンチがドイツ銀行に雇われたのは同じ年の10月1日のことだ。こうした経緯をフリンが伝えた相手がクザミだった。勿論、このケースは一例にすぎない。

 金融機関と監督官庁との癒着問題は投資/投機の監視や富裕層/巨大企業への規制と課税が結びついている。人数としては小さな集団に莫大な富が集中する仕組みを維持するのか、あるいは規制するのかということであり、金融市場へ少なからぬ影響を与えることになる。タックスヘブンへの規制も議論の対象になっている。



 富の集中は富裕層のカネ余りと庶民の貧困化を招き、資金は投機市場へ流入、社会に循環する比率は減少している。資金の供給を増やそうとしても、現在の仕組みでは投機市場へ流れていくだけで、失業問題も深刻化していく。経済活動は機能不全になりつつあるということだ。

 経済が行き詰まれば、富裕層/巨大企業も困る。すでにラテン・アメリカでは庶民が目覚めつつあり、中東や北アフリカの支配構造を揺るがし、ヨーロッパでも抗議行動が激しくなっている。こうした庶民の声を圧殺するために憲法の規定を無視する形で監視システムや治安対策を強化している、つまりファシズム化しているのがアメリカ(言うまでもなく、日本はアメリカの後を追っている)だが、力での抑さえ込みには限界がある。

 そこで、ウォーレン・バフェットのような大富豪は議員に対し、富裕層や大企業への増税を主張しているのだが、現段階では少数派にすぎない。ただ、支配層の内部で意見の対立が生じているとは言えるだろう。

 それに対し、共和党の「経済アナーキスト」、ティー・パーティーは「小さい政府」なる看板を掲げながら、富裕層/大企業を優遇する政策を推進すべきだと主張している。その背景にはキリスト教系カルト(キリスト教原理主義者)が存在し、環境汚染の規制にも異を唱えている。

 カルトの狂信的な信者は「ハルマゲドン」での最終戦争で人類が死滅した後に救世主が再臨し、自分たちは天国へ行けると信じているようなので、地球の環境などに興味はないのかもしれない。





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最終更新日  2011.08.19 15:04:47


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