《櫻井ジャーナル》

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2011.08.21
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カテゴリ: カテゴリ未分類
リビアの反政府派がNATOの軍事支援を受けながら首都のトリポリに迫り、市内に反政府派も蜂起して激しい戦闘になっていると伝えられている

 しかし、 こうした報道を否定する証言 もある。「中東和平のためのアメリカ人」という団体の代表を務め、トリポリにいるフランクリン・ラム博士はRTに対し、反政府軍がトリポリに入ったという事実はないと語っている。ジャーナリストのリジー・フェランによると、反政府軍の狙撃兵が何人か潜入して発砲しているようだが、散発的に聞こえる銃声の大半は政府軍が勝利を祝って撃っているのだという。

 政権転覆が近いとする報道の情報源は反政府派のようだが、これまでも反政府軍が勝利しているという偽情報、あるいは誇張した情報を流してきた。政府派をパニックに陥れる心理戦だとする説明も無視はできない。

 ただ、NATO軍がリビア政府軍に対して空爆を続けていることは事実。武器も供給していると言われ、4月3日に インデペンデント紙 は西側の軍事顧問がベンガジで目撃されたと報道、5月31日に デイリー・メール紙 はイギリスの特殊部隊SASの隊員が潜入しているのではないかと伝えている。7月1日に ロシアのドミトリー・ロゴジンNATO特使 は、地上軍を派遣する動きが出ていると発言している。

アムネスティー・インターナショナル は空爆による犠牲を調査するように求めている。

 つまり、「飛行禁止空域」を設定して「市民を守る」という建前はとっくの昔に崩壊している。アフガニスタンでの戦闘を考えても、NATOが民間人の犠牲を避けようとしているとは思えない。

 米英仏軍が劣化ウラン弾を使用している疑いも出ている。すでに4月の段階でコラムニストの コリン・ハリナン さんが指摘しているほか、イギリスの反核活動家、 ケイト・ハドソン さんも同じ趣旨の発言をしている。

 リビアの内戦はフランス政府とリビアの元政府高官による接触から始まったとする情報を本ブログでも紹介したことがある。イタリアのジャーナリスト、フランコ・ベキスによると、リビアで儀典局長を務めていたノウリ・メスマリが昨年10月、機密文書を携えてパリへ亡命。イギリスの情報機関や特殊部隊も深く関わっている。

 米英仏の思惑通りにリビアの体制が転覆、アフリカ中南部の自立が妨げられたとしても大きな問題が残される。反政府派には元内務大臣のアブデルファター・ユニス将軍をはじめとする軍からの離反組、サヌーシ教団(王党派)、NCLO(リビア反体制国民会議)/NFSL(リビア救済国民戦線)、そしてLIFG(リビア・イスラム戦闘団)などが含まれている。

 西側の息がかかっている勢力が多いのだが、問題はLIFG。 アルカイダと緊密、あるいは一心同体の関係にあることは本人たちも認めている 。2004年2月にジョージ・テネットCIA長官(当時)もLIFGをアルカイダにつながる危険な存在だと上院情報委員会で証言している。

 体制転覆を成功させたとして、反政府軍は同床異夢の勢力が参加している。「カダフィ後」に安定した政権ができると考えるのは、あまりにも楽観的すぎる。リビアのケースでは、「飛行禁止空域」の設定を認めるという形で国連は事実上、欧米の支配層が嫌う体制を軍事的に転覆させる道筋を作ってしまった。国連の受けたダメージも大きい。





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最終更新日  2011.08.22 05:02:11


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