《櫻井ジャーナル》

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2011.09.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ジョージ・W・ブッシュ政権が中東で始めた戦争は収拾がつかない状況になっている。アフガニスタンとイラクを先制攻撃、イランやシリアに対する工作も水面下で進められてきた。1990年代からネオコン(アメリカの親イスラエル派)はイラクのサダム・フセイン体制を倒し、パレスチナ和平の破壊するべきだと1990年代に主張していたわけで、現在の状況は思惑通りなのだろうが、アメリカは現在、窮地に立っている。

 先日、エジプトでは数千人のデモ隊がイスラエル大使館を襲ったことをうけ、 政府は非常事態を宣言 、テレビ局のアル・ジャジーラを家宅捜索している。ホスニ・ムバラク大統領が辞任した後も「ムバラクなきムバラク体制」が続いている、つまり支配体制は基本的に変化していないと不満を持つ人がいても不思議ではない。

アフガニスタンではアメリカ大使館が攻撃されている 。武装勢力や警察による人権侵害が問題になっているが、それ以上に問題なのがNATO軍による市民の虐殺。「消火活動」と称して「放火」を続けているようなものである。イラクの情勢も好転する兆しが見えない。戦争ビジネスや石油産業が儲けているだけのことだろう。

 リビアの内戦も、結局は英仏米による体制転覆作戦にすぎなかった。「反政府派」もムアンマル・アルカダフィ体制を倒すために作られた集団。コロンビアの「死の部隊」に所属していた人物や、カタールやアラブ首長国連邦の人間、あるいはチュニジアの失業者やカダフィ体制に不満を持っていたリビア人が集められたとも言われている。

 それ以上に問題視されているのがLIFG(リビア・イスラム戦闘団)。 アルカイダと緊密な関係にあることは本人たちも認めている 。リビアの反政府軍を指揮している アブデル・ハキム・ヘルハジはLIFGのリーダーだが、「テロリスト」としてCIAから拷問を受けた過去 がある。要するに、「テロとの戦争」というストーリーは完全に崩壊している。

「西側」が劣化ウラン弾を使用した疑い があり、問題になっている。アメリカのシンクタンク「FPIF」のコン・ハリナンが指摘しているほか、 イギリスの反核活動家、ケイト・ハドソンも同じ趣旨の発言 をしている。今後、大きな問題に発展する可能性もある。

 より深刻な問題がパレスチナの国連加盟。パレスチナ自治政府は国連加盟を申請する意向なのだが、これに対してアメリカ政府は拒否権の行使を宣言している。これをアメリカの「警告」と考えるのは正しくないだろう。「勘弁してくれ」とアメリカが泣きを入れていると言うべきだ。

 ガザ支援船をイスラエル軍が襲撃、多くの死傷者を出した事件でアメリカやイスラエルに肩を持つような行動に出た結果、パレスチナ人をはじめ、多くの人から批判された自治政府としては、後に引くことはできないだろう。

 もしアメリカが拒否権を行使したなら、イスラム諸国での影響力が大きく損なわれることになる。中東支配のカギを握る国、サウジアラビアとの同盟関係にもヒビが入ることは間違いない。拒否権を行使したアメリカと友好的な関係を維持しようとしたなら、サウジアラビアの体制が大きく揺らぐ可能性があるからだ。

 イスラエルが自治政府の国連加盟を望まない最大の理由は、 自分たちのパレスチナ人弾圧が「戦争犯罪」として裁かれる可能性 が出てくるからだという。それだけのことを行ってきたわけで、イスラエルが懸念するのは当然だろう。アメリカとしても難しい局面だ。ここでシリアやイランに手を出したなら、本当に命取りになる。





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最終更新日  2011.09.14 01:31:21


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