《櫻井ジャーナル》

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2011.10.12
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカでは「強者総取り」という「剥き出しの資本主義」に対する抗議運動が広がっているのだが、その内容にも変化が見られる。金融機関/投機集団が富を独占するシステムに対する批判だけでなく、戦争ビジネスという収奪システムにも矛先が向けられ、ここにきて 「強欲な経営者」に対する抗議

 金融/投機や戦争のほかにも富を収奪する仕組みはある。例えば原子力。核兵器という軍事的な思惑はあるが、そうした背景を利用して支配層はカネ儲けしてきた。福島第一原子力発電所で深刻な事故が起こってからドイツやイタリアでは明確に「脱原発」の方向へ動いている。原子力発電の依存度が高いフランスでさえ、原発に批判的な声が高まっている。

 こうした中、日本政府は原発にしがみついているわけだが、似たような姿勢を見せているのがアメリカ、イギリス、あるいはロシアといったところだろう。いずれも石油を戦略の基盤に据えている国だ。

 アメリカやイギリスが中東/北アフリカで民主化の流れ、民族主義的な動きを暴力的に潰し、独裁者を擁護してきた大きな理由のひとつは石油にある。原子力と石油を対立させる議論は根本的に間違っていると言わざるをえない。原子力/石油利権派の術中にはまっている。

 9月には イギリスの原子力規制局はマイク・ウェイトマン主任検査官の報告書を発表 、原発に「基本的な安全上の弱点はない」とした上で、原発を推進するべきだと強調している。福島原発の事故で原発の安全性に疑問を持つ人が増えているが、小手先の改善で安全性を確保できるというのだ。

 日本では原発事故を引き起こした人びと、つまり原子力政策を推進してきた歴代の政治家、官僚、電力会社幹部、原発の建設や運転にかかわってきた巨大企業の重役、原子力推進のプロパガンダを担当してきた学者やマスコミなどは責任をとろうとしていない。

 こうした人びとは、福島第一原発の事故後も原子力の利権システムを守ることのみに熱心で、国民の被曝には無頓着である。1979年にアメリカのスリーマイル島原発で事故があった際には被害の相当部分を隠すことに一応、成功しているのだが、1986年にソ連のチェルノブイリ原発(現在はウクライナ)で起こった事故では、被害を隠しきれなくなっている。それほど深刻な事態だということだ。

ロシア科学アカデミー評議員のアレクセイ・V・ヤブロコフ氏たちのグループがまとめた報告書『チェルノブイリ:大災害の人や環境に対する重大な影響』 では事故が原因で死んだり生まれられなかった人や胎児は98万人に達するとしている。

 日本の経営者や官僚は組織の影に隠れて責任を回避してきた。そうした行為を容認してきたマスコミの記者/編集者も「匿名記事」で逃げている。体面上、体制を批判しなければならない場合、マスコミは社員でなく、外部の人間を使うことが多い。問題が起こったら使い捨てにできるからだ。

 原子力に限らず、富を独占する仕組みは社会の利益に反する。放射能汚染がなくても、貧困が深刻化して経済活動は破綻することは避けられない。 アメリカでは石油や天然ガスの採掘やパイプラインの建設で100万人の雇用が新たに生まれるとする宣伝が流されている が、「強者総取り」の仕組みを変えない限り、貧困化の促進と環境破壊がもたらされるだけだ。

 19世紀以来、イギリスをはじめとする資本主義国は経済活動の行き詰まりを侵略と略奪で乗り越えてきたが、今の世の中で同じことを繰り返すことはできないだろう。本ブログでは何度か書いたように、リビアのムアンマル・アル・カダフィ政権を倒した理由のひとつはアフリカの資源利権にあるのだが、それでイギリス、フランス、アメリカが復活するとは思えない。

 ところが、日本にも侵略で何とかしたいと思っている人はいるらしい。琉球処分から台湾、朝鮮半島、中国を次々に侵略していった過去を反省しないのも、「夢よもう一度」と思っているからだろう。 豊臣秀吉の朝鮮半島侵略、東アジア支配計画を肯定的に考えている人 が少なくないことを見ても、侵略志向が消えたとは思えない。





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最終更新日  2011.10.12 14:33:12


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