《櫻井ジャーナル》

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2013.01.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 2年前の1月、エジプトで大規模なデモがあった。チュニジアで体制が倒されたことに刺激を受け、ホスニー・ムバラク大統領に対する抗議が始まったと考えられている。そしてムバラクは権力の座から引きずり下ろされたが、まだエジプトは自由でも民主的でもない。左翼が分裂する中、大統領になったのはムハンマド・ムルシー。ムスリム同胞団の中でも右派に属すると言われ、サラフィ派からも支持されている人物だ。

 サラフィ派は武装グループでも中心的な位置にあり、殺戮を繰り返してきた。例えば、シリアのホウラでも住民を虐殺している。「西側」のメディアはシリア政府軍による虐殺だと宣伝していたが、 例えば、現地を調べた東方カトリックの修道院長も実行グループは政府軍と戦っているサラフィ主義者や外国人傭兵だと報告 している。

 そして今、 エジプトでは反政府デモが展開され、多くの人が死傷しつつある 。サッカー場の騒乱に関わった21名に死刑判決が出た26日、ポート・サイドで36名が死亡したようだが、新たな犠牲者が出て、4日目の段階で死者数は48名に達したという。

 これも「アラブの春」がもたらしたひとつの結果。普通の人びとが覚醒しつつあるのかもしれない。 反ムバラク運動で目立った4月6日運動のリーダーたちはアメリカ政府と接触 していたのだが、一般庶民が覚醒したならば、そうした「エリート」は革命をコントロールできなくなるだろう。それが「革命」の第2幕である。

 もっとも、バーレーンでも葬儀の参列者と警官隊が衝突、8歳の子どもが殺されたようで、人びとの怒りが膨らんでいるのはエジプトに限定されない。湾岸の独裁産油国でも不満のエネルギーは溜まっている。

 リビアやシリアで起こった「アラブの春」はNATOや湾岸産油国が仕掛けたものだったことがわかっている。不満のエネルギーが溜まっているところに、アメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタールなどが火をつけ、体制の転覆を目指して介入しているのだ。



 本ブログでは何度も書いていることだが、リビアで地上軍の主力だったLIFGはアル・カイダ。アルジェリア/マリで活動しているAQIMはこのLIFGと緊密な関係にある。両組織は2007年からアル・カイダに正式加盟している。つまり、リビアやシリアでNATOや湾岸産油国はアル・カイダと同盟関係にある。

 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年に書いた記事で、 アメリカ、イスラエル、サウジアラビアは協力関係にある としている。 ターゲットはイラクに続き、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンだったとウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官は語っている

 サウジアラビアだけでなく、ムスリム同胞団やサラフィ派もイスラエルと敵対関係にはない。2012年6月にはサラフィ派の宗教指導者、アブドラ・タミーミは「私たちの敵はイスラエルじゃありません。シリアの大統領が敵なんです」とイスラエルのテレビで語ったのだという。リビアやシリアの体制転覆作戦でアメリカ/NATOと手を組んだアル・カイダはイスラエルを攻撃したことがないという事実も興味深い。(重信メイ著『「アラブの春」の正体、角川書店、2012年)

 アルカイダの一派、LIFGの幹部たちはアフガニスタンでアメリカやパキスタンの情報機関などから訓練を受けているのだが、イギリスの場合、1996年にLIFGを手駒として利用している可能性が高い。 イギリスのMI6(対外情報機関)はムアンマル・アル・カダフィの暗殺を計画、総額で16万ドルをLIFGに提供 しているとMI5(イギリスの治安機関)の元オフィサー、デイビッド・セイラーも語っているのだ。

 LIFGを含め、イスラム武装勢力を支援してきたのがサウジアラビアとカタール。武器を提供したり、傭兵を雇ったりしてきた。動きにくいNATOに代わり、直接的な支援活動を続けてきたわけだ。そのサウジアラビアとカタールが対立しているという話が流れている。

 例えばシリアの場合、 サウジアラビアは傭兵を使ってシリアを徹底的に破壊しようとしているのに対し、カタールはムスリム同胞団に支配させようとしている というのだ。つまり、カタールはシリアの破壊を望んでいるわけではなく、ロシア、トルコ、エジプトの政府高官と会い、シリア問題を協議しているという。シリアの体制転覆に手間取っているうちに、NATO/GCC/アル・カイダの結束力が弱まってきたようだ。





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最終更新日  2013.01.28 11:51:41


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