《櫻井ジャーナル》

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2013.06.14
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 エドワード・スノーデンの内部告発でアメリカの電子的な情報収集活動が問題になる中、北アイルランドでG8が開催される直前、 アメリカのバラク・オバマ政権は6月13日、シリア政府が化学兵器を使用したとして、反政府軍、つまりアル・カイダを主力とする武装勢力へ武器を直接供与すると表明

 反政府軍の内部に「善玉」と「悪玉」が存在しているわけではない。統一されているとは言えないようだが、アル・カイダを中心とする傭兵集団だとは言える。そうした戦闘集団に武器を渡すことになるのだが、飛行禁止空域の設定/空爆を実施するわけではなく、傭兵を増派することはできないようなので、どの程度、効果があるかは疑問である。

 ジョージ・W・ブッシュ政権はイラクを攻撃する際、「大量破壊兵器」を口実に使っていた。今回は「化学兵器」。イラク攻撃の前には攻撃を正当化するために偽情報を流していたが、今回も同じことをしている可能性が高い。

 シリアで化学兵器が使用されたと最初に発表したのはバシャール・アル・アサド政権。アル・カイダ系のカーン・アル・アッサルが化学兵器で攻撃したとシリア政府は3月19日に発表、国連に対してすみやかに調査するように要求、ロシアは事態に懸念を示している。

 これに対し、反政府軍は政府軍が使用したと反論、「西側」も反政府軍を支持しているのだが、 イスラエルのハーレツ紙は反政府軍側の主張に疑問を投げかけている 。攻撃目標はシリア政府軍の検問所であり、死亡したのはシリア軍の兵士だということ、また症状から見て使われたのは塩素ガスの可能性が高く、反シリア軍も簡単に手に入るということだ。アメリカ政府も塩素を入れた弾頭が撃ち込まれたと見ていた。

 ただ、リビアで保管されていた化学兵器をシリアの反政府軍が入手しているという情報もあり、サリンなどを反政府軍が使う可能性は否定できない。カタール政府がイギリスのセキュリティ会社、 ブリタム防衛 に対して送ったという電子メールも公開されている。真偽は不明だが、シリア政府が化学兵器を使ったと見せかける工作を依頼してきたことを示す話が書かれている。ホムスに化学兵器を持ち込み、ロシア語の話せるウクライナ人を使ってロシアを巻き込むことも要求に含まれていたという。

国連独立調査委員会メンバー、カーラ・デル・ポンテは反政府軍が化学兵器を使った疑いは濃厚であり、政府軍が使用したとする証拠は見つかっていないと発言 している。

 また、ジョージ・W・ブッシュ政権でコリン・パウエル国務長官の首席補佐官を務めた ローレンス・ウィルカーソン退役大佐 はこの件に関し、イスラエルが「偽旗作戦」を実行した可能性があるとしている。シリア政府が化学兵器を使ったからリビアの時とようにNATO軍が空爆して体制を転覆させるというシナリオには無理がある。

 すでに本ブログでは書いたことだが、オバマ米大統領が新たな安全保障問題担当の大統領補佐官(NSA)に国連大使のスーザン・ライスを指名、ライス大使の後任にサマンサ・パワーを選んだのは、アメリカ政府が方針を変えたのではないかと注目されていた。

 これまでNSAを務めてきたトム・ドニロンが軍事力の行使に消極的だったのに対し、ライスとパワーは「人道」の看板を掲げながら大量虐殺を推進するというタイプだからなのだが、シリア国民に支持されていない反政府軍の配色は濃厚で、武器を供与しても戦況に大きな変化はなさそうだ。

 サウジアラビアやカタールは大金を使って傭兵を雇ってきたが、最近は戦闘員が足りていないようで、空爆が難しいなら、体制転覆を目指す国々は自国の特殊部隊を増派するしかないかもしれない。





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最終更新日  2013.06.15 12:14:41


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