《櫻井ジャーナル》

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2013.07.05
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 エジプトの支配層は「西側」の傀儡だらけだ。選挙を行えば、そうした人間の政府ができあがる。アメリカ支配層の「ご機嫌」を損ねない限り、公約などかなぐり捨て、身勝手な政策を推進できる。場合によっては、アメリカの命令で公約をかなぐり捨てる。 モハメド・ムルシも自分をアメリカ政府の手先だと自覚

 ムルシが属するムスリム同胞団は歴史的にイギリスやアメリカと関係が深いのだが、ムルシ個人もアメリカとつながっている。1982年に南カリフォルニア大学で材料科学の博士号を取得、82年から85年までカリフォルニア州立大学で助教授を務めた後、航空宇宙局(NASA)のエンジニアになったという経歴の持ち主なのだ。

 このムルシを排除した軍最高評議会のアブデル・ファター・エル・シーシ議長もアメリカの手駒。1992年にイギリスの統合指揮幕僚大学で、また2006年にはアメリカの陸軍大学で学んだ経験がある。

 ということで、アメリカの支配層にしてみれば、ムルシでもシーシでも個人的には大差がない。問題は庶民の怒り。選挙で騙しても抗議行動で自分たちの計画を壊されてはかなわない。「西側」は「選挙の正統性」とか言って、選挙を絶対化しようとする。が、選挙で自分たちの意に沿わない政権ができたなら、勿論、抗議行動を仕掛け、場合によっては軍事クーデターで大量殺戮。

 反ムルシの抗議活動では、デモの参加者が掲げたバナーやプラカードに汎アラブ主義、ナショナリズム、社会主義などを支持するフレーズが書かれていた。ガマール・アブドゥン・ナセルの考え方が広がっていることをうかがわせる。これは懸念材料。で、ムルシはアメリカ支配層の「ご機嫌」を損ねてしまったのだろう。

 ナセルは非同盟運動を推進したひとりであり、「西側」、特にイギリスやフランスから敵視されていた。そのナセルを暗殺しようと何度も試みたのがムスリム同胞団だ。ナセル主義の広がりを「西側」は嫌がるだろう。

 前回も書いたように、今回の騒動は シリア情勢が関係 しているという見方がある。かつて、外国の軍事介入に反対するようなことを言っていたムルシだが、反シリア政府軍の劣勢が明らかになると、反政府軍への肩入れを公然と口にするようになった。これが自らの足下を脅かすことになる。



 以前にも書いたことだが、アル・カイダの訓練施設でリーダーを務めていたシェイク・ナビル・ナイイムは、アル・ヌスラのリーダー、 モハメド・アル・ジャウラニ はCIAの工作員だと推測している。ムルシがアメリカと反シリア政府軍につながっていても不思議ではない。

 エジプトからパキスタン、そしてスーダンへとナイイムはアイマン・モハメド・アル・ザワヒリと行動を共にした人物。エジプト軍によってムルシ政権が潰されたことに関し、アル・カイダの幹部としてザワヒリは報復を宣言しているが、このザワヒリはアメリカの二重スパイだとジャウラニは言う。

 シリアをはじめ、中東の作り替える計画をアメリカのネオコンがたてたのは1990年代の初頭。その後、イギリス、フランス、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタールも中東や北アフリカに「新秩序」を築こうと動き始める。

 ところが、トルコではエジプトより前から政府の政策に反対する運動が盛り上がり、政権は揺らいでいる。六月にはサウジアラビアではクーデター騒動があり、ハリド・ビン・スルタン・ビン・アブドゥル・アジズ元副国防相が自宅軟禁になった。カタールではハマド・ビン・ハリファ・アル・タニが首長の座を息子のタミム・ビン・ハマド・アル・タニへ譲っている。アメリカの圧力だったという。

 バラク・オバマ政権は中東/北アフリカでの戦略を軌道修正しつつあるのかもしれない。





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最終更新日  2013.07.06 04:45:09


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