《櫻井ジャーナル》

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2013.07.09
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 エジプトの状況が悪化しているようだ。武装したムスリム同胞団が反対勢力を襲撃して殺害する一方、軍の銃撃でモハメド・ムルシを支持する勢力にも犠牲者が出ているようだ。

 親ムルシ派と対立している勢力を「暫定政権支持派」と表現する人もいるようだが、正しい表現とは言い難い。アメリカ政府がムルシの排除に乗り出し、暫定政権を作ろうと決意した原因はムルシ政権に対する抗議活動が大規模化したことにある。その抗議活動は勿論、「暫定政権支持派」によるものではなかった。あえて言うなら、「反ムルシ政権派」だ。

 反ムルシ派が掲げるバナーやプラカードには反米のほか、汎アラブ、ナショナリズム、社会主義などを支持するフレーズが書かれていた。ガマール・アブドゥン・ナセルの考え方が広がっている兆候が見られるたとも言える。

 ナセルはアラブ諸国の団結を訴え、非同盟運動に参加した人物であり、少なからぬ欧米の支配層が彼を危険視していた。こうした運動をコントロールするため、早い段階でムルシの排除を決断したのだろう。

 しかし、当初、ムルシは自分がアメリカ支配層から支持されていると主張していた。アメリカの許可なく軍は動かないから、自分は安泰だということだったのだが、実際はアメリカに見捨てられ、排除されることになった。

 しかし、ムスリム同胞団は引き下がらない。「虐殺を止めさせるため」だとして「国際社会」に介入を要請、 暫定政権と戦うために蜂起するようにも呼びかけ ている。それだけでなく、アル・カイダの幹部、アイマン・モハメド・アル・ザワヒリもムルシを排除したことへの報復を口にしている。

 アル・カイダの訓練施設でリーダーを務め、エジプト、パキスタン、スーダンでザワヒリと行動を共にしていた シェイク・ナビル・ナイイム によると、ザワヒリはアメリカの二重スパイ。シリアで反政府軍の主力になっているアル・カイダ系のアル・ヌスラを率いるモハメド・アル・ジャウラニはCIAの工作員だともナイイムは推測している。アメリカ支配層の内部にムルシを支持する勢力がいるのかもしれない。



 先日もイスラエルはシリアの武器庫を爆撃したという噂が流れた。この攻撃があったかどうかは不明だが、今年の1月と5月にイスラエルはシリア領内を空爆している。イスラム武装勢力に化学兵器が渡ることを恐れてのことだという「解説」も聞かれた。

 しかし、その可能性は小さい。シリアの宗教指導者でサラフィのアブドラ・タミーミもテレビで「私たちの敵はイスラエルじゃありません。シリアの大統領が敵なんです」と発言したという。(重信メイ著『「アラブの春」の正体』)つまり、イスラエルはシリアの体制転覆を目指し、直接的な軍事介入をしている可能性が高い。

 リビアやシリアでは、「西側」、湾岸産油国、そしてイスラエルの支援を受けた勢力は「政府による虐殺」を口実にして軍事介入をはじめたが、その主張は嘘だといことが後にわかる。実際は、体制転覆派が外部から「死の部隊」を潜入させ、殺戮をはじめたと言われている。

 同じ手口をムスリム同胞団やサラフィが使っても不思議ではないのだが、今回のクーデター/革命の背後にいるアメリカ政府がその手口を持ち込んだ張本人。今後、反米、汎アラブ、ナショナリズム、社会主義といった主張を「暫定政権とムスリム同胞団の戦い」を利用して押さえ込めればアメリカ政府の勝利。ただ、内戦に発展する可能性もあり、そうなるとアメリカにとって厄介なことになる。





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最終更新日  2013.07.09 17:12:55


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