《櫻井ジャーナル》

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2013.07.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 60年前の7月27日、朝鮮戦争の休戦協定が成立した。戦争が勃発したのは1950年6月25日。当初は朝鮮軍が圧倒的に優勢で、国連軍(事実上のアメリカ軍)は釜山まで追い詰められている。アメリカ軍が山岳地帯の戦いに不慣れだったことが劣勢になった大きな理由で、旧日本軍の将校がアドバイスのために合流したとする関係者もいる。同年9月に仁川上陸作戦を成功させてから反撃を開始した。

 第2次世界大戦で敗北した日本だが、軍の将校や特務機関(情報機関)員の一部はアメリカや台湾の軍や機関と結びついて活動する。日本を占領していたGHQ/SCAPにも少なからぬ日本人が協力、有末精三陸軍中将、河辺虎四郎陸軍中将、辰巳栄一陸軍中将、服部卓四郎陸軍大佐、中村勝平海軍少将、大前敏一海軍大佐らは特に有名。いわゆる「KATO機関」だ。

 台湾との関係では岡村寧次大将が知られている。最初に接近してきたのは台湾側。岡村も1949年1月、共産党軍が来る前に帰国、GHQ/SCAPの保護下に入っている。4月になると蒋介石が密使を派遣、岡村のほか富田直亮少将と会談し、「台湾義勇軍」を編成することで合意した。この「義勇軍」は富田少将が「白鴻亮」の名前で指揮することになり、「白団」と呼ばれるようになる。

 この白団は1950年初頭に台湾へ渡るが、このグループに協力していた軍人もいた。例えば、陸軍の服部卓四郎大佐、西浦進大佐、堀場一雄大佐、あるいは海軍の及川古四郎大将や大前敏一大佐たちだ。服部大佐と大前大佐はKATO機関のメンバーで、GHQ/SCAPの中でも情報部門、G2を統括していたチャールズ・ウィロビー部長に近い。なお、白団メンバーのうち23名が後に自衛隊へ入ったという。

 ところで、日本では、北からの攻撃で朝鮮戦争が始まったことになっている。おそらく「右」も「左」もそう信じている、あるいはそのように振る舞っている。が、日本以外では、単なる「公式見解」にすぎない。

 1950年6月25日より前から38度線の付近では1日に何度も軍事衝突が起こっていて、緊張は極度に高まっていた。元特務機関員の中島辰次郎によると、「開戦」の数カ月前からアメリカ側の命令で秘密工作を始めている。北への帰順兵を装って内部に入り込み、将校を殺害するという工作を繰り返していたという。「開戦」の2日前から、韓国空軍は北側を空爆、地上軍は海州(ヘジュ)を占領している。

 また、その当時、ダグラス・マッカーサーに同行して日本にいた歴史家のジョン・ガンサーによると、半島からマッカーサーに入った最初の電話連絡は「韓国軍が北を攻撃した」というものだった。

 朝鮮戦争でもカーチス・ルメイが登場、大規模な空爆を実施している。日本で非武装の住民を焼き尽くす作戦を展開した軍人で、後にジョン・F・ケネディ大統領と衝突する人物だ。アメリカ軍の空爆でで朝鮮の78都市と数千の村が破壊され、ルメイ自身の話では、3年間に人口の20%にあたる人を殺したという。この記憶は今でも朝鮮国民の記憶に残っていることだろう。

 中島は朝鮮での工作を始める直前、中国で共産党幹部の暗殺計画に参加していたと語っている。アメリカが支援していた国民党軍の敗北が見えてきたことから、共産党幹部を暗殺し、混乱の中、偽装帰順させていた部隊を蜂起させるというプランだったようだが、途中で計画が露見、中止になっていた。



 朝鮮戦争が休戦になると国民党軍は東南アジアへ移動した。アメリカでは1954年1月、ジョン・フォスター・ダレス国務長官がベトナムでのゲリラ戦を準備するようにNSC(国家安全保障会議)で提案し、ベトナム戦争につながる。アメリカの動きを見ると、朝鮮戦争とベトナム戦争は一体のものであり、そのターゲットは中国だと言わざるをえない。中国を武力で制圧するという戦略を放棄した時点で、ベトナム戦争を続ける意味もなくなったはずだ。

 1972年2月にリチャード・ニクソン大統領が中国を訪問、1973年1月にアメリカとベトナムとの間で和平協定が成立している。





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最終更新日  2013.07.27 18:32:18


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