《櫻井ジャーナル》

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2013.08.15
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 エジプトが混乱の度合いを深めている。8月14日には治安部隊とハメド・ムルシの支持者が衝突し、多くの死傷者が出ているようだ。正確な数字は不明だが、死者は数百名、負傷者は数千名に達すると伝えられている。

 この衝突では、アメリカ以上に大きな役割を果たしている国があるという。ムルシ/ムスリム同胞団の後ろ盾であるカタールと、軍最高評議会のアブデル・ファター・エル・シーシ議長を支援しているサウジアラビアだ。

 カタールの首都、ドーハにはムスリム同胞団の精神的な指導者、ユスフ・アルカラダウィが数十年間住み、活動の拠点視してきた。そのカタールでは6月下旬、首長がハマド・ビン・ハリーファ・アールサーニーから息子のタミーム・ビン・ハマド・アールサーニーへ交代になっている。一方、サウジアラビアでは4月にハリド・ビン・スルタン・ビン・アブドゥル・アジズが国防副大臣を解任され、6月には自宅軟禁になったという。

 そうした中、サウジアラビアで情報活動を統括しているバンダル・ビン・スルタンが7月末にロシアを訪問した。シリアのバシャール・アル・アサド大統領の退陣について話し合われたという報道もあったが、ロシア側は否定している。エジプトの情勢について話し合った可能性もあるだろう。

 カタールとサウジアラビアは北アフリカや中東で体制転覆を仕掛けた「同志」なのだが、シリアで手間取っているうちに両国の関係が微妙になってきたのかもしれない。当然、ここにイギリス、フランス、アメリカ、トルコ、イスラエルなどが絡んでくる。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相もムスリム同胞団と結びついている。

 現在、ムスリム同胞団は「非暴力」で抵抗しているように伝えられているが、現段階では断定的なことを言えない。何しろ、「アラブの春」では嘘のオンパレード。ムルシ体制では少数派が弾圧され、決して平和的でも、民主的でもなかった。(暫定政権は ムルシ派/ムスリム同胞団の中に武装し、治安部隊に発砲している人間がいると主張 、その 映像 も流れている。)

 軍が動く直前、ムルシ政権下のエジプトでは大統領の権力が強化され、キリスト教徒など少数派が襲撃されて少なからぬ犠牲者が出ていた。そこで、ムスリム同胞団の影響力拡大を懸念する人たちが抗議活動を始めたのだが、そうした人びとがデモで掲げるバナーやプラカードには、汎アラブ主義、ナショナリズム、社会主義などを支持するフレーズが書かれていたという。



 そこで、シーシ議長から退陣を勧告されたムルシはアメリカとの緊密な関係を強調し、 バラク・オバマ政権がクーデターを許さないとムルシ側は語っていた 。自分はアメリカがついていると過信していたようだ。

 アメリカに操られていると見られているシーシ議長だが、オバマ政権はコントロールできていないとも言われている。アメリカの軍事援助にしても、30年の間増えていないようで、影響力の低下は否めない。

 現在、ムルシ支持派は反米を唱え始めているようだが、反ムルシ派も反米色が鮮明だった。中東/北アフリカにおけるアメリカの影響力が急速に低下している可能性もある。





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最終更新日  2013.08.16 14:21:19


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