《櫻井ジャーナル》

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2014.03.04
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ある国の反政府勢力を経済的に支援し、その国のファシスト集団を軍事訓練、さらに国外から傭兵を送り込んで争乱を演出、選挙で成立した政権を倒し、自分たちに都合の良い「暫定政権」を作ること、つまりクーデターを容認、しかもそのクーデターに対抗するために軍隊を使おうとする国に「軍事介入の中止」を求める人たちがいる。

 ウクライナの状況に関し、アメリカの ジョン・ケリー国務長官はCBSの番組でロシア批判を展開、「理由をでっち上げて他国を侵略する19世紀のような行為を21世紀にすべきでない」と主張しているが、これは物笑いの種 になっている。

 嘘だと承知で「大量破壊兵器」の話をでっち上げ、イラクをアメリカが侵略したのは21世紀に入ってからのこと。イラクの前のアフガニスタン、後のリビアやイラクも「でっち上げ」の口実で他国を侵略したことは明確だ。こうしたアメリカの行為を人びとは忘れたと持っているのか、自分が忘れてしまったのか・・・

 今回、ウクライナのクーデターで最前線にいたスボボダやUNA-UNSOのようなネオ・ナチはOUN(ウクライナ民族主義者機構)の流れをくんでいる。前にも書いたことがあるが、このOUNの中でも暴力的な人びとがステファン・バンデラを中心に集まり、いわゆるOUN-Bを結成、そして現在のネオ・ナチに至るわけだ。ウクライナのクーデターでもバンデラの肖像画が掲げられていた。

Bandera

 OUNの創設にはアメリカやイギリスの巨大資本が関係していると考えられている。つまり、第1次世界大戦の終盤、1917年2月にロシアで「二月革命(グレゴリオ暦では3月なので三月革命とも呼ばれる)」があり、資本家を中心とする臨時革命政府が作られた。その背後にはイギリスの影が見え隠れするのだが、その体制を嫌ったドイツがウラジミール・レーニンなどボルシェビキの活動家を亡命先からロシアへ戻し、「十月革命(あるいは十一月革命)」につながる。「西側」の巨大資本からみると、帝政ロシア乗っ取りに失敗したということだ。

 そして1920年代の半ばからアメリカやイギリスはヨーロッパのナショナリストを組織化し、その中からOUNも誕生、そのOUNをイギリスの情報機関MI6が雇っている。その後、ナチ体制下のドイツがウクライナも占領するが、そのときにOUN-Bはナチと手を組んでいる。この侵略で約300万人のウクライナ人が殺され、そのうち約90万人はユダヤ人だったとも言われている。

 OUN-Bは1943年に「反ボルシェビキ戦線」を設立、世界大戦後の46年にABN(反ボルシェビキ国家連合)になり、APACL(アジア人民反共連盟、後にアジア太平洋反共連盟に改名)とともにWACL(世界反共連盟)の母体になった。WACL創設の黒幕はCIAである。

 ドイツが降伏した後、アメリカがナチ残党の逃走を助け、保護し、雇用していることは広く知られている話。OUNのようにウクライナを中心とする地域にネットワークを持っていた組織は特に重要視されたはずだ。



 この秘密部隊の存在は1970年代から知られていたのだが、公式に認められたのは1990年。この年の10月、イタリアのジュリオ・アンドレオッチ首相が「いわゆるパラレルSID - グラディオ作戦」という報告書を発表したのである。

 NATO加盟国には必ずこの秘密部隊が存在、ジャーナリストのフィリップ・ウィランらによると、NATOへ加盟するためには秘密の反共議定書に署名する必要があり、「右翼過激派を守る」ことを義務づけているという。UNA-UNSOもそうした秘密部隊の一部だとする人もいる。

 こうした秘密部隊のネットワークを編成したのはソ連との軍事衝突を想定してのことだとされているが、それだけでなく、西ヨーロッパの左翼勢力を壊滅させることも重要な目的。1960年代から80年頃までの間、イタリアでは「極左」を装って爆弾攻撃を繰り返して左翼のイメージを悪化させ、治安体制を強化したのは一例。

 それだけでなく、1961年にあったシャルル・ド・ゴール仏大統領の暗殺未遂や63年のジョン・F・ケネディ米大統領暗殺にもこの組織の名前が浮上した。

 1966年にフランス軍はNATOの軍事機構から離脱、翌年に欧州連合軍最高司令部をパリから追い出した背景にはそうした出来事があった。1991年にはフランソワ・ミッテラン仏大統領とヘルムート・コール独首相は「ユーロ軍」を創設しよう計画、潰されているが、そうした計画を立てた背景にもなっている。

 こうした暴力的な装置を築く理由はカネ儲けである。ウクライナのクーデターでも背後には欧米の「国境なき巨大資本」と国の資産を盗んで富豪になった「オリガルヒ」がいる。今回のクーデターもそうした勢力がスポンサー。「黒衣」では飽き足らないのか、オリガルヒの中には要職に就く人物もいる。例えば、東部の工業都市ドニエプロペトロフスクの市長になったイゴール・コロモイスキー、やはり東部の工業都市ドネツクの市長になったセルゲイ・タルタ、内務大臣になったアルセン・アバコフ。

 また、ウクライナ国立銀行の総裁を務めた経験のある アルセニー・ヤツェニュク暫定ファシスト政権首相は国有財産、特にエネルギー部門を「私有化」し、IMFから融資を受けようとしている 。IMFが登場すると、融資で借金が肥大化、「緊縮」の強要で庶民の生活は破壊され、巨大金融資本など「1%」の富裕層だけが豊かになるだけのこと。ウクライナの西部に住む人たちが憧れているらしいEUでも繰り返されたことである。

 略奪を狙う人びとにとってエネルギー分野は魅力的。ウクライナの体制を転覆させるひとつの目的がここにあった可能性は高い。昨年12月13日、体制転覆工作の資金として50億ドルをウクライナに投入していることをヌランドは明らかにしているが、その際、 演壇の後ろには巨大石油企業、シェブロンの看板 も掲げられていた。





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最終更新日  2014.03.04 19:30:36


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