《櫻井ジャーナル》

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2014.04.04
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したクーデターの実態を「西側」の有力メディアは隠してきたものの、インターネットを通じて情報は漏れている。アメリカ政府要人の謀議やEU幹部の現地報告が盗聴され、外に出されたことも「国境なき巨大資本」にとっては痛いだろう。

 例えば、2月25日にキエフ入りして調査したエストニアのウルマス・パエト外相は、その翌日にEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)へ電話で次のように報告したことが発覚している( この会話をパエト外相は本物だと認めている ):

 「 全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。 」「 新連合はもはや信用できない。

 この報告以上に問題なのは、アシュトンが「議会を機能させなければならない」と応じたこと。「国境なき巨大資本」のプランを実現するため、事実を隠蔽して議会を守るべきだと言っているわけだ。

 クーデターまでSBUの長官を務めていたアレクサンドル・ヤキメンコによると、最初の狙撃はアンドレイ・パルビーなる人物が制圧していたビルから。このパルビーはネオ・ナチの「ウクライナ社会ナショナル党」を創設したひとり。この政党は後に党名を「スボボダ(自由)」へ名称を変えている。今は国家安全保障国防会議(国防省や軍を統括する)の議長だ。

 キエフでクーデターの拠点になった広場への出入りを管理していたのはパルビーで、武器の持ち込みも彼の許可が必要だったことから、スナイパーが彼の指揮下にあったことは間違いないと見られている。ヤキメンコによると、狙撃部隊のメンバーにはウクライナの特殊部隊員も含まれていたようだが、ユーゴスラビアなど他国からやって来た傭兵が主力で、狙撃チームはアメリカ大使館を根城にしていたという。パルビーもアメリカの特殊部隊と接触していたと言われている。ヤキメンコの話の方が遥かにリアルであり、パエト外相の話と合致する。



 ところで、アバコフはオリガルヒのひとり。クーデターで中心的な役割を果たしたネオ・ナチに属する右派セクターのリーダー、率いていたアレキサンダー・ムージチコを射殺させた責任者だと言われ、右派セクターはアバコフ内相の解任を求めている。

 また、ナリバイチェンコは2月24日にSBUの長官となった人物。それまではSBUの第1副長官を務めていた。ヤキメンコは、ナリバイチェンコが部下の個人ファイルをCIAに渡していたと語っている。公然とCIAに協力していたというわけだ。

 狙撃で多くの死者が出始めるのは2月22日から。議会の議長を務めていたボロディミール・リバクを「EU派」が脅迫して辞任させ、アレクサンドル・トゥルチノフを新議長に据え、さらに憲法の規定を無視して議会が大統領代行に任命したのはこの日だ。

 その前日、21日にヤヌコビッチ大統領と反ヤヌコビッチ派が平和協定に調印していたのだが、話し合いでの解決を拒否し、暴力的に実権を握ろうとしていた勢力が存在する。ビクトリア・ヌランド米国務次官補のようなネオコン(アメリカの親イスラエル派)だ。

 18日頃からネオ・ナチはチェーン、ナイフ、棍棒を手に、石や火炎瓶を投げ、ブルドーザーなどを持ち出し、中にはピストルやライフルを撃つ人間も出始めたが、狙撃の犠牲者は格段に多かった。

 ウクライナに対する「西側」の影響力が一気に高まったのは2004年から05年にかけて展開された「オレンジ革命」。これによって、ビクトル・ユシチェンコが大統領に就任した。そのパトロンは「西側」の「国境なき巨大資本」やロシアで国の資産を略奪することで巨万の富を得たオリガルヒのひとり、ボリス・ベレゾフスキー。

 この「オレンジ革命」でウクライナは新自由主義の道を歩み、経済は破綻するのだが、EUとの「連合協定」締結という形で、その政策は継続される流れになっていた。そのための協議を停止するとビクトル・ヤヌコビッチ大統領が発表したのは昨年11月21日のことだった。ロシア側から天然ガス価格の30%値下げ、150億ドルの支援をロシア政府が提示したのである。

 EUとの協定は主権の放棄に等しく、その先にはギリシャのような状況が待ち受けているのだが、「EU幻想」を抱く人もいて、抗議活動が始まる。勿論、その黒幕は「国境なき巨大資本」とその手下たちだ。「西側」の手口に精通している人びとは、正しい判断だと考えた。

 この決断がクーデターで潰された後、 3月27日にウクライナ議会は「危機対策法」を承認 した。IMF、つまり巨大金融資本の代理人が140億ドルから180億ドルの融資をする条件としていたもので、緊縮政策の受け入れ、通貨フリブナの対ドル相場をこれまでより自由に変動できるようにし、天然ガス価格の引き上げ、エネルギー部門の財務見直しなどが求められている。とりあえず庶民の年金を半減させるようだが、いつものように国の資産は私有化され、「国境なき巨大資本」やその手下の食い物になる。「西側」の金融資本はまず、 ウクライナ政府が保有していた金のインゴットをアメリカへ秘密裏に運び去った





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最終更新日  2014.04.04 23:50:10


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