《櫻井ジャーナル》

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2014.04.20
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 バラク・オバマ米大統領がアジアを歴訪する途中、日本にも立ち寄るらしい。「国境なき巨大資本」の世界支配体制を実現するために前進することが目的のひとつ。TPP(環太平洋経済連携協定)で政治経済を支配、集団的自衛権を認めさせることで日本を「拡大版NATO」に組み込もうということだ。

 このタイミングで 防衛省は与那国島で基地建設に着手 、合計150名程度の部隊を駐留させるだけでなく、レーダーを設置するのだという。当然、中国の動向を監視することになり、相手を刺激することになる。これは中国を封じ込めようというアメリカの戦略に合致している。

 アメリカの軍事的な戦略が大きく変化したのは1991年のこと。ソ連が消滅し、アメリカが「唯一の超大国」になったという認識が広がったのである。そうした考え方をする人たちの中にネオコン(アメリカの親イスラエル派)も含まれていた。

 その翌年、ネオコンが作成した DPG(国防計画指針)の草案 では、軍事力で潜在的なライバルを潰すとされていた。その内容があまりに好戦的だったこともあって草稿がメディアにリークされ、書き直されたようだが、ネオコンが考え方を変えたわけではない。2000年にネオコン系のシンクタンク、PNACというネオコン系のシンクタンクが発表した「米国防の再構築」に反映されている。

 日本では1992年に「PKO法(国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律)」が公布/施行され、94年には武村正義官房長官が米国側の意向で排除されているが、軍事戦略が変化する節目になったのは1995年のこと。ジョセフ・ナイ国防次官補が「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を公表したのである。

 その前年に「日本の安全保障と防衛力のあり方(樋口レポート)」という報告書が発表されているのだが、これを読んだマイケル・グリーンとパトリック・クローニンは日本が自立しようとしていると考えて反発、友人のカート・キャンベル国防次官補を通じてナイに接触して彼らの考えを売り込み、「ナイ・レポート」につながった。

 1996年になると「日米安保共同宣言」が出され、安保の目的が「極東における国際の平和及び安全」から「アジア太平洋地域の平和と安全」に拡大する。1997年にまとめられた「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」では、「日本周辺地域における事態」で補給、輸送、警備、あるいは民間空港や港湾の米軍使用などを日本は担うことになり、99年の「周辺事態法」につながる。



 その間、1991年にアメリカはユーゴスラビア解体プロジェクトを開始、99年にユーゴスラビアに対して先制攻撃している。その際、中国大使館も空爆、アメリカ側は「誤爆」だと主張しているが、説得力はなく、CIAの意図的な爆撃だった可能性が高い。

 2001年9月11日になるとニューヨークの世界貿易センターや国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、この出来事を利用してアメリカ政府はアメリカのファシズム化を加速させ、自分たちの言いなりにならない国々を先制攻撃していく。その延長線上にリビアやシリアへの攻撃、そしてウクライナのクーデターがある。

 経済面では、1995年にGATT(関税貿易に関する一般協定)を引き継ぐ形でWTO(世界貿易機関)が創設されたことが大きい。この年にOECD(経済協力開発機構)の閣僚理事会はMAI(多数国間投資協定)の交渉を始めることを決定、投資の自由化を進め、投資保護の義務や紛争解決の手続きを規定、労働や環境基準についても定めることになる。

 巨大資本が自由に投資、問題が生じても投資は保護され、巨大資本に有利な形で紛争を処理、労働条件の悪化や環境の破壊を招くことが予想される内容だったため、批判を浴びて交渉は失敗したが、そのMAIを強化した形で復活させたのが現在進行中のTPP。MAIの失敗を反省し、TPPの交渉が秘密裏に進められている。

 この交渉内容を国民や議会は知ることができないが、アメリカの場合、巨大企業が送り込んだ約600名のアドバイサーは中身を知りうる立場にある。その交渉を担当する通商代表の マイケル・フロマン は、2009年にシティー・グループを退職する際に400万ドル以上を受け取り、商務次官に指名された ステファン・セリグ はバンク・オブ・アメリカを辞める際、900万ドル以上のボーナスを受け取ったという。言うまでもなく、金融機関の利益のために働くことが期待されている。

 NATOの拡大(集団的自衛権)にしろ、TPPにしろ、「国境なき巨大資本」が国を支配するということ。欧米の支配層は「近代封建制」の確立を目指しているという人もいる。1938年にフランクリン・ルーズベルト大統領は次のように語ったという。

「民主主義国家そのものより、私的な力が強くなることを人びとが許すなら、民主主義の自由は危うくなる。それは本質においてファシズム、つまり個人、グループ、あるいは何らかの私的な権力による政府の所有だ。」





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最終更新日  2014.04.20 22:16:52


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