《櫻井ジャーナル》

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2014.05.17
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ウクライナの東部と南部では住民投票を経て独立の意思が明確になり、反クーデター派は5月15日、キエフのクーデター政権に対し、派遣した部隊を24時間以内に撤退させるように通告した。「国境なき巨大資本」から東部の制圧を命令されている以上、キエフの暫定政権が制圧軍を引き揚げることはできない。そうしたことを承知の上で行った意思表明だろう。

 クーデター軍は「西側」から支援を受け、ウクライナ軍が保有していた大半の装備を使える状況にあるわけで、本来なら軍事力は反クーデター派を圧倒しているはず。住民の半数程度から支持されていればクーデター軍は容易に制圧できるはずだが、実際はそうなっていない。

 既存の軍、情報機関、治安組織などの内部にクーデターを認めず、離反する者がいるうえ、東部や南部では住民の大半がキエフの政権を認めていない。反クーデター派が組織した自衛軍には離反者や退役軍人が参加しているようだが、現地から伝えられている映像を見ると、住民の強い意思が大きな意味を持っている。

 こうした場合、アメリカの支配層は「恐怖(テロ)」を利用して押さえ込もうとしてきた。ラテン・アメリカの軍事クーデターでは「死の部隊」を編成、ベトナム戦争では反米的と見なされた村を襲って皆殺しにしたり都市部で爆弾攻撃を行う「フェニックス・プログラム」、イタリアでは左翼を潰すため、「NATOの秘密部隊」に属すグラディオが「極左」を装って爆弾攻撃を繰り返している。

 本ブログでも書いたように、ウクライナではオデッサで住民が血祭りに上げられた。非武装の反クーデター派住民を襲撃、虐殺したのである。メディアでは50名近くが殺されたとされているが、住民側によると、実際は120名から130名が殺されたという。300名という数字も流れている。数十名は秘密裏に埋められたというのだ。

 虐殺までの流れは次のようになっていると見られている:

アレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行、アルセン・アバコフ内相、バレンティン・ナリバイチェンコSBU長官、アンドレイ・パルビー国家安全保障国防会議議長が秘密会談を開催 、その席上、アバコフ内相がサッカーのフーリガンを利用するという案を出し、採用された。事件の数日前、 パルビーは数十着の防弾チョッキをオデッサのネオ・ナチへ運んでいる



 つまり、ウクライナではアメリカ/NATOに支援された「オリガルヒ」やネオ・ナチが選挙で成立した政権をクーデター、つまり憲法を無視して違法な手段で破壊し、自分たちに反対する人びとを既存の軍や治安機関だけでなく、ネオ・ナチ、そしてアメリカの傭兵会社から派遣された戦闘員(実態は特殊部隊員)を動員して制圧しようとしている。その過程で非武装の住民を虐殺しているわけである。

 そうした実態を知りながら報道しないのが「西側」のメディアであり、日本の「リベラル派」や「革新勢力」も知らん振りしている。クーデターの実態を見ず、「抗議行動に参加している市民の大半は、ウクライナ大統領選の不正に対するオレンジ革命と同じく、無党派の、民主主義を求める人々である。」と言い切り、結果としてファシストに声援を送っている人もいる。

 歴史捏造、改憲、集団的自衛権などで暴走する安倍晋三政権を批判する際、日本の「リベラル派」や「革新勢力」はアメリカという「権威」を持ち出している。その「権威」はウクライナでも民主主義を破壊しているわけだが、気にしていないようだ。彼らも安倍政権と同じように、アメリカ政府を「水戸黄門の印籠」のように使っている。

 作家の高見順は『敗戦日記』の中で、日本人は「権力を持たせられないと、小羊の如く従順、卑屈」と書いているが、安倍一派と同じように、「リベラル派」や「革新勢力」もそうした日本人だということだろう。





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最終更新日  2014.05.17 17:49:12


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