《櫻井ジャーナル》

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2014.05.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 5月24日、 日本と中国の軍用機が数十メートルの距離まで接近

 日本側は「公海上」、中国側は軍事演習にともなって飛行禁止を通告した空域の内側と主張している。そもそも、この空域は両国の航空識別圏が重なっているわけで、日本側としてもそうした事情を承知で中国の主張する防空識別圏の中へ入ったはず。スクランブルをかけることは予想していただろう。

 自衛隊がそうした空域へ情報収集機(偵察機)を飛ばしたのは、言うまでもなく、中国とロシアが5月20日から始めた合同軍事演習「海上協力-2014」に関する情報を収集するためである。

 この演習にロシアから参加しているのは、太平洋艦隊の旗艦であるミサイル巡洋艦のほか、大型対潜哨戒艦、駆逐艦、大型揚陸艦など。中国側からは駆逐艦3隻、護衛艦2隻、補給艦などが参加、両国の艦船が混合編成されている。ひとつのグループとして情報伝達手段の互換性から言葉の壁までをクリアする必要があるわけだ。演習内容は複雑化し、長距離の目標物に対する攻撃も行われるという。

 アメリカ/ネオコンは中東の制圧にもたつき、ウクライナへ戦線を拡大したが、ここでも思惑通りに進んでいない。アル・カイダ(イスラム教スンニ派の武装集団)やネオ・ナチを手先として使っていることを知られてしまっただけだ。

 こうした流れからすると、アジア東部を新たな戦線にする可能性はあり、4月22日から29日にかけて行われたバラク・オバマ米大統領の日本、韓国、マレーシア、フィリピン歴訪は中国やロシアの封じ込めを前提にしたものであり、中国とロシアはその準備をしているようにも見える。

 アメリカの世界制覇戦略はNATOの拡大と結びついている。旧ソ連圏への拡大だけでなく、地中海沿岸(アルジェリア、イスラエル、モーリタニア、チュニジア、エジプト、ヨルダン、モロッコ)、ペルシャ湾岸の産油国(サウジアラビア、バーレン、カタール、クウェート、UAE)、太平洋(日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド)などだ。これらを連携させ、中国、ロシア、イランなどを締め上げようとしている。

 それに対し、ロシアと中国はSCO(上海合作組織/アルメニア、ベラルーシ、中国、カザフスタン、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタン)やBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)で結束しようとしている。



 日本では尖閣列島(釣魚台群島)の問題で、中国と日本が軍事衝突した際、アメリカ軍は中国と戦うかどうかと議論されているが、それは状況次第。安保条約の条文に拘束されるわけではない。戦闘に参加した方が利益になると考えれば参加し、利益にならないと考えれば参加しないだろう。今回の合同軍事演習は、アメリカ軍が出てくれば、ロシア軍も出るというメッセージだとも言える。

 ロシアと中国は軍事的なつながりの前に、経済的な関係を緊密化している。その象徴的な取り引きが5月21日に結ばれた天然ガスの供給契約。今後30年間にロシアは中国へ毎年380億立方メートルを供給するという内容で、総額は約4000億ドルになる。

 すでにアメリカの製造業は崩壊、金融と称する博奕ビジネスに社会の富が吸い取られる状況になっている。ロシアがドル離れしていることは明らかで、財務省証券をアメリカの連邦銀行が買い支えているようだ。中国がロシアに追随すれば、SCOやBRICSなども連動する可能性が高く、金へシフトする動きもある。その結果、アメリカへ預けていた金が行方不明になっていることも判明した。

 アメリカの終焉は近いかもしれないが、そうなったとき、支配者の地位から落ちることを恐れ、核戦争を始めようとする手合いが出てくるかもしれない。

 例えば、ウクライナの元首相で投機家のジョージ・ソロスの配下、 ユリア・ティモシェンコは、国家安全保障国防会議のネストル・シュフリチ元副議長との電話で核兵器の使用に言及 している。シュフリチからウクライナにいる800万人のロシア人をどうすべきかと尋ねられ、核兵器で殺すべきだと答えているのだ。彼女はロシア人を核兵器で殺したいということで頭が一杯で、自分がウクライナを核攻撃すると言っていることを理解できていないのだろう。

 1980年代に東ヨーロッパで体制転覆運動を繰り広げていた「民主化勢力」もソ連を核攻撃で破壊するべきだと主張、「西側」の反核運動を批判していた。ロバート・ゲーツ元国防長官の回顧録『任務』によると、リチャード・チェイニーはジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領を務めていたとき、ソ連やロシア帝国が消滅するだけでは不十分で、ロシアという存在自体を抹殺するべきだと話していたというが、この発想にも通じる。ネオコンもティモシェンコと同じようなものだろう。(Robert M. Gates, “Duty,” Alfred A. Knopf, 2014)

 日本が集団的自衛権を認めると言うことは、こうした核戦争カルトの仲間入りをするということでもある。





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最終更新日  2014.05.26 03:02:58


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