《櫻井ジャーナル》

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2014.12.19
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ブレント原油の価格が1バレル60ドルを切った。6月中旬には115ドルをつけていたので、半値近くまで売られたことになる。

 アメリカとサウジアラビアがロシアを攻撃する目的で仕掛けていると言われているのだが、ロシアだけが相場下落の影響を被るわけではない。マーガレット・サッチャー政権以降のイギリス経済を支えてきた 北海油田 、あるいはアメリカのシェール・オイルやシェール・ガスが採算割れしているはずで、産業自体が崩壊する可能性も出てきた。

 OPEC加盟国政府が今年、予算を組む際に想定していたのはイランが140ドル、ベネズエラが121ドル、イラクが106ドルというように100ドルを超し、ペルシャ湾岸の産油国でもサウジアラビアが93ドル、クウェートが75ドル、アラブ首長国連邦が70ドル、カタールが65ドルといった具合になっているようだ。こうした数字を下回る水準になっている。

 サッチャー政権でイギリス経済が安定したのは彼女の政策が原因ではなく、北海油田が利益を出すようになったからだ。むしろ、サッチャーの政策は国の仕組みを破壊するもので、その影響は現在も暗い影をイギリス社会に落としている。すでに北海油田の採掘量は減少、イギリスにとっては深刻な事態になっているのだが、相場下落は状況をさらに悪化させる。

 北海油田が利益を出すようになった理由は原油相場の上昇にある。この値上がりは人為的なものだった。サウジアラビアで長い間、 石油鉱物資源相を務めたシェイク・ヤマニによると、1973年5月にスウェーデンで開かれた秘密会議でアメリカとイギリスの代表が400%の原油値上げを要求 した結果だというのだ。値上げに反対したサウジアラビアに対し、イラン国王はヘンリー・キッシンジャーに聞けと答えたという。この秘密会議を開いたのはビルダーバーグ・グループ。アメリカとヨーロッパの支配層が利益を調整するために設立された集まりである。

 ビルダーバーグ・グループは2012年にアメリカのバージニア州で会議を開き、そこでロシアの体制転覆を話し合ったと言われている。ウラジミル・プーチンを排除し、ボリス・エリツィンのような傀儡を大統領にしようというわけだ。

 昨年7月末にサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官(当時)は秘密裏にロシアを訪問、シリアから手を引くように求めた。その際、同長官はプーチン大統領に対し、チェチェンの武装勢力をサウジアラビアはコントロールしたうえで、ソチ・オリンピックの襲撃を止めさせられると語ったという。つまり、シリアから手を引かなければオリンピックを襲撃させると脅したわけだ。この脅しは逆にプーチンを怒らせることになった。



 その際にビルの屋上から狙撃があったが、スナイパーを指揮していたのはアンドレイ・パルビーというネオ・ナチだった可能性が高いことは本ブログでも書いてきた。アメリカ/NATOが後ろ盾になっている勢力が狙撃したことは エストニアのウルマス・パエト外相がEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)へ報告 している。憲法の規定を無視してビクトル・ヤヌコビッチ大統領の解任が強行されたのは2月23日、ソチ・オリンピックが閉幕した日。ロシアが動きやすくなる前日とも言える。

 その後、アメリカ/NATOが挑発してもロシアは自重、そこで存在しないロシアの侵攻部隊の話を西側メディアは流すが、嘘はすぐにばれ、事実を見る能力や見ようとする意思のある人からアメリカは信用されなくなっていく。今でも偽情報を信じているのは西側メディアへの信仰心の厚い人か、根っからのロシア嫌いくらいだろう。

 言うまでもなく「アメリカ国家は嘘の上に成り立っている」のだが、それを甘受しているアメリカ人や日本人は少なくない。その事実に気づかない、あるいは気づかないふりをしている「リベラル派」だか「専門家」もいる。自戒を込めてい言うのだが、「好き嫌い」で物事を見るのは情報の素人である。ゴールデン街あたりをたむろしていた「全共闘崩れ」にはこうした人が多かったように記憶している。

 「アメリカ国家の嘘」を広げる役割を負っているのは、言うまでもなくアメリカの有力メディア。これまで何をしてきたかを振り返れば自明のことだが、それでも疑問があるなら、手始めに、ウォーターゲート事件を調べた記者のひとりとして知られるカール・バーンスタインがローリング・ストーン誌に書いた「CIAとメディア」という記事(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)を読むように勧める。

 そして夏から石油価格の急落が始まる。今年9月に紅海の近くでアメリカのジョン・ケリー国務長官とサウジアラビアのアブドラ国王が秘密裏に会談、下落のピッチはあがった。事実は明確でないが、原油相場の急落にアメリカとサウジアラビアが関係していると多くの人は推測している。

 ロシアを追い込むことが目的だとしたら、これは失敗だ。原油価格とロシアの通貨が下落する中、ロシアは中国との関係を深めている。しかも相場下落の影響はロシアよりも北海油田に頼っているイギリスやアメリカが推進しているシェール・ガスやシェール・オイルの産業に重くのしかかる。産油国はサウジアラビアやアメリカに冷たい視線を送っていることだろう。この2カ国にイスラエルを加えた「三国同盟」が中東/北アフリカだけでなく旧ソ連圏で体制転覆プロジェクトを進めているが、この3カ国は孤立しつつあり、アメリカの足下は揺らいでいる。





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最終更新日  2014.12.20 15:07:49


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