《櫻井ジャーナル》

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2015.03.12
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 EUやアメリカ支配層の一部も全面核戦争を懸念し始めるほど、アメリカの好戦派、つまりネオコン/シオニスト、キリスト教系カルト、戦争ビジネスなどは暴走している。世界制覇のプランが揺らぎ、予定が狂い、焦っているのかもしれない。ウクライナで和平交渉が進む中、アメリカ/NATOの好戦派は軍事的にロシアを挑発、軍事的な緊張は高まっている。

 好戦派の世界制覇プランが DPGの草案 という形で現れたのは1992年のこと。この草案はリチャード・チェイニー国防長官の下、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官、I・ルイス・リビー、ザルメイ・ハリルザドが中心になり、国防総省のアンドリュー・マーシャルONA(ネット評価室)室長から助言を得て作成されたとされている。

 この草案は一端、封印されたのだが、2000年にネオコンコンシンクタンクのPNACが「米国防の再構築」という報告書で復活させた。この年に行われたアメリカ大統領選挙で勝利したジョージ・W・ブッシュを担いでいたのは、この報告書を作成したグループと重なる。そのひとりがロバート・ケーガン。ウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを現場で指揮したきたビクトリア・ヌランド国務次官補の結婚相手だ。

 ケーガンはロナルド・レーガン大統領の時代にメディア操縦の手法も学んでいる。その師にあたる人物がCIAのプロパガンダ担当オフィサーで1982年からNSC(国家安全保障会議)のスタッフになっていたウォルター・レイモンド。

 この年、レーガンはイギリス下院の本会議で「プロジェクト・デモクラシー」という用語を使ったが、勿論、真の意味で民主化しようというわけではない。民主化という名目で体制を転覆させ、自分たちの傀儡国家にしようというプロジェクト。1983年にSPGなるグループをNSCの内部に設置、偽情報を流して混乱させ、文化的な弱点を利用して心理戦を開始する。(Robert Parry著『Secrecy & Privilege』The Media Consortium、2004年)

 この当時、アメリカの有力メディアにも気骨あるジャーナリストは少ないながら、存在した。そうしたひとりがニューヨーク・タイムズ紙のレイモンド・ボンナーで、1982年1月にはエルサルバドル軍による虐殺事件を記事にした。その直前、1981年12月にエルサルバドル北部で約1000名が住む村で女性や子供を含む約800名の村民が殺されたのである。

 ワシントン・ポスト紙のアルマ・ギラーモプリエト記者も同じ内容の記事を書き、首都サン・サルバドールのアメリカ大使館が派遣したトッド・グリーントゥリーとジョン・マッケイも虐殺の事実を確認している。

 ところが、アメリカ政府は大使館の報告書を無視、国務次官補のトーマス・エンダースとエリオット・エイブラムスは虐殺に関する記事を誤報だと非難した。ジーン・カークパトリック国連大使に言わせると、「右翼独裁者は人権を守り、難民を生み出さない」らしい。(John Prados著『Safe For Democracy』Ivan R. Dee、2006年)

 このエリオット・エイブラムズの下でケーガンは活動、さまざまな思想戦の手法を学び、ネオコンの世界制覇プランにも活用、妻のヌランドの言動にも影響しているのだが、その一方でボンナーのようなジャーナリストは有力メディアの世界から排除されていった。今は見る影もない。日本のマスコミがいかに無惨な状態かを欧米のジャーナリストに説明すると、異口同音に「どこも同じだ」と言われる。

 ポーランドの労組「連帯」は1980年に創設されているので「プロジェクト・デモクラシー」に先行している形だが、関係はしている。この労組を含む東欧の「民主化勢力」はCIAと緊密な関係にあり、西側の反核団体から体制を越えた運動を持ちかけられた際、ソ連を破壊するためには核兵器が必要だとして拒否している。

 ソ連消滅後、アメリカは旧ソ連圏を分割、支配していき、1999年にはNATO軍がユーゴスラビアを先制攻撃しているが、このときには偽情報を流し、「人道」という看板をアメリカは掲げていた。ウクライナやグルジアなどで行われた「カラー革命」、最近では地中海沿岸の国で実施された「アラブの春」、そして昨年2月にウクライナでネオ・ナチを使って実行されたクーデター、いずれもメディアを使ったプロパガンダを使っている。

 現在、ヌランドやケーガン、あるいはフィリップ・ブリードラブNATO欧州連合軍最高司令官/在欧米空軍司令官のような好戦派はウクライナでの軍事的な緊張を高め、和平交渉を壊そうとしている。

 マレーシア航空17便撃墜を利用してロシアを悪魔化、軍事的な圧力を強めようとしたのだろうが、この旅客機は北へ大きくコースを逸脱、ロシア側の主張だけでなく、現地住民も旅客機の周辺をキエフ軍の戦闘機が飛んでいたと証言、この事実は BBCロシアの取材チーム も確認している。この報道をBBCは慌てて削除したようだが、コピーされた映像がインターネット上を流れている。

 MH17が飛行していた高度は1万メートルのあたりで、キエフ政権と戦う人民共和国軍の地対空ミサイルは届かない。そこでブーク防空システムを使ったという話が出てくるのだが、 キエフ政権のビタリー・ヤレマ検事総長は、軍からの情報として、反キエフ軍がこうしたミサイルを奪取したことはないと発表す る。そこで、ロシア側から持ち込まれたというシナリオがアメリカ政府やキエフ政権は主張するのだが、ブークが使われれば明確な痕跡が空中に残り、住民に目撃され、撮影されているだろう。つまり可能性はきわめて低い。

Buk-1 ブーク・ミサイル発射直後の痕跡

buk-2

ブーク・ミサイルの痕跡(2)


 以前にも書いたが、MH17が戦闘機に撃ち落とされた可能性が高いことは残骸に残された穴が示している。入射穴と出射穴があるなど銃撃されたことを示す痕跡が残っているのだ。 OSCE(欧州安全保障協力機構)の調査官 も榴散弾ではなく左右から銃撃された可能性が高いと語っている。

 12月25日付けの コムソモルスカヤ・プラウダ にウクライナ空軍の「アレキサンドル」と名乗る人物がMH17が撃墜された当日の様子を証言している。この人物は部隊から逃げ出し、コムソモルスカヤ・プラウダを訪れたということだが、親戚がまだウクライナにいるので、報復を避けるため匿名にしているとしている。

 その「アレキサンドル」によると、当日の午後、3機のSu-25が基地を離陸、そのうち1機には空対空ミサイルが搭載されていたが、戻ってきたときにミサイルはなくなっていたという。

 ここにきて、SU-25の主任設計者だったというウラジミル・ババクがドイツのメディアのインタビューで、SU-15攻撃可能な高度は3000メートルから4000メートルで、MH17を撃墜することは不可能だと語ったという。

 しかし、戦闘機を製造した スホイによると、SU-25は7000メートルまで 使え、ロシア系テレビ局RTによると、ロシア軍は1万0500メートルまで上昇することを許可していると セルゲイ・ボリシュク少将 が語っている。少将本人も実際に何度か1万2000メートルまで到達したことがあり、1万4000メートルまで上った同僚もいるということだ。

 繰り返しになるが、ババク証言を信頼できるかどうかに関係なく、ブークでMH17が撃墜されたとは考え難い。この事実に変化はない。






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最終更新日  2015.03.13 17:09:31


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