《櫻井ジャーナル》

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2015.03.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 沖縄県名護市辺野古への新基地建設をめぐって政府と県が対立している。日本に駐留しているアメリカ軍は約4万5000人。そのうち半数以上が沖縄にいて、県の面積が日本全体の0.6%にすぎない場所に在日米軍基地の74%が集中、そこへ新しい軍事基地を建設しようというのだから、反対されて当然だ。

 守りという視点から考えると、基地を狭い地域に集中させることは得策でない。一気に破壊されてしまうからだが、先制攻撃という視点から考えると違ってくる。爆撃だけならともかく、東アジア、つまり中国や朝鮮半島へ地上部隊を送り込むことを考えると沖縄に基地を置く意味がある。

 ネオコン/シオニスト系シンクタンクのPNACが2000年に出した報告書『アメリカ国防の再構築』は東アジアを重視、オスプレイの必要性を強調しているが、その理由は部隊の行動範囲、つまり軍事侵攻できる地域が広がることにあり、中国侵略が視野に入っていると考えるのが自然だ。

 本ブログではアメリカの好戦派が第2次世界大戦が終わって間もない段階からソ連に対する先制核攻撃を計画していたことを指摘してきた。 テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると 、1957年には具体的な作戦が動き始め、先制核攻撃に必要なICBMを準備できるのは1963年の終わりだと好戦派は考えていたという。好戦派の前に立ちはだかっていたジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されたのは1963年11月22日だ。

 ケネディ大統領と対立していたアメリカの好戦派にはジョン・フォスター・ダレス国務長官(ドワイト・アイゼンハワー時代)とアレン・ダレスCIA長官の兄弟や、キューバに対する偽旗作戦の中心的な存在だったライマン・レムニッツァー統合参謀本部議長やカーティス・ルメイ空軍参謀総長が含まれている。

 ダレス兄弟はウォール街の大物弁護士で、ジョン・フォスターは戦後日本の支配構造を昭和天皇(裕仁)が協議した相手であり、ルメイは大戦の終盤、日本の大都市に焼夷弾を落として住民を皆殺しにする作戦を指揮、広島や長崎へ原爆を投下させた人物。1945年3月から8月の間に彼が殺した日本の民間人は100万人以上だと言われている。

 大戦後、1948年から57年にかけてルメイはSAC(戦略空軍総司令部)の司令官を務めているが、このSACが1954年に立てた計画によると、600から750発の核爆弾をソ連に投下、2時間で約6000万人を殺すことになっていた。

 その間、1950年6月から53年7月にかけて朝鮮戦争があり、アメリカ空軍は大規模な爆撃で朝鮮の78都市と数千の村を破壊した。この作戦を指揮していたのもルメイ。彼自身の話では、3年間に人口の20%にあたる人を殺したという。



 OPC/CIAはラオスにいた国民党軍を再編成し、1951年4月に約2000名の部隊がCIAの軍事顧問団とともに国境を越えて中国領内に侵入して片馬を占領したものの、人民解放軍の反撃にあって追い返されている。翌年の8月にも国民党軍は中国に侵攻して国境から約100キロメートルほど進んだが、この時も人民解放軍の反撃で失敗に終わった。この作戦でOPC/CIAは、中国の民衆が「毛沢東打倒」に立ち上がると想定していたようだが、そうしたことは起こらなかった。

 1953年7月に朝鮮戦争は休戦になるが、その翌年の1月にジョン・フォスター・ダレス国務長官はNSC(国家安全保障会議)でベトナムにおけるゲリラ戦の準備を提案、それをうけてCIAはSMM(サイゴン軍事派遣団)を編成した。この段階でアメリカ支配層はベトナム戦争へ足を踏み入れている。流れから考え、朝鮮戦争とベトナム戦争は中国の支配を狙ったひとつの戦争だと考えるべきだろう。

 こうした中、アメリカは沖縄を軍事基地化していく。朝鮮戦争が勃発する前年、1949年9月、昭和天皇はアメリカによる沖縄の軍事占領が「25年から50年、あるいはそれ以上にわたる長期の貸与(リース)というフィクション」のもとでおこなわれることを求めるという内容のメッセージを出していた。(豊下楢彦著、『安保条約の成立』、岩波書店、1996年)

 1951年1月末、ジョン・フォスター・ダレスはダグラス・マッカーサーや吉田茂と会った。その3日前にアメリカの使節団は会議を開き、そこで「日本に、我々が望むだけの軍隊を望む場所に望む期間だけ駐留させる権利を獲得」することを確認しているが、その前に天皇はアメリカへ沖縄を差し出していたわけだ。

 アメリカ軍は基地化推進のため、1954年7月に人民党中央委員の林義己と畠義基に退島命令を出し、10月には同党の瀬長亀次郎書記長らを逮捕した。それを不当だと抗議した二十数名がさらに逮捕されている。弁護士のいない裁判で瀬長は懲役2年の判決を言い渡された。

 1955年から57年にかけて琉球民政長官を務めた軍人が後の統合参謀本部議長、ライマン・レムニッツァー。好戦派のひとりで、議長時代にはアメリカ軍のキューバ侵攻を目論んで偽旗作戦を計画した。アメリカの諸都市で「偽装テロ」を実行し、最終的には無人の旅客機をキューバの近くで自爆させ、あたかもキューバ軍が撃墜したように演出して軍事侵攻を正当化しようとしたのだ。これが「ノースウッズ作戦」。なお、レムニッツァーが琉球民政長官だった1956年10月、比嘉秀平琉球主席が55歳の若さで急死している。

 テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、アメリカ軍がソ連に対する先制核攻撃計画をスタートさせたのは1957年の初頭。先制核攻撃に必要なICBMを準備できるのは1963年の終わりだとルメイなどの好戦派は推測していた。そうした計画の前に立ちはだかっていたジョン・F・ケネディ大統領がテキサス州ダラスで暗殺されたのはその年の11月22日。暗殺の直後、CIAはソ連やキューバが黒幕だという情報を流したが、これは嘘だということをFBIがリンドン・ジョンソン新大統領へ伝え、核戦争は回避された。

 沖縄問題に日本側の利権や思惑が関係しているだろうが、それはアメリカ側の都合を利用してのものだと考えるべきだ。その「アメリカ」はロシアや中国を武力で脅している好戦派であり、現在はネオコンや戦争ビジネスが核になっている。

 アメリカの好戦派は中東/北アフリカでアル・カイダ/IS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)を使い、ウクライナではネオ・ナチを使って軍事制圧をしようとしている。ロシアや中国に対しては軍事力で周囲から圧力を加えつつ、内部に張り巡らせた傀儡勢力を利用して体制を転覆させようとしている可能性が高い。

 アメリカの好戦派は武力で脅して屈服させるという手法を使ってきた。ロシアや中国に対しても同じ事をしているが、この両国に脅しは通じない。脅しの通じない相手を脅し続ければ、戦争になる。その相手がロシアや中国なら核戦争を覚悟しなければならず、EUも核戦争の勃発を恐れる事態になっている。辺野古の問題もこうした動きと無縁ではないだろう。





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最終更新日  2015.03.26 14:31:37


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