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2015.10.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
シリアからイラクへ向かうIS(ISIS、ISIL、ダーイシュなどとも表記)の戦闘員を攻撃することでイラクとロシアは合意

 イラクのハイデル・アル・アバディ首相が同国もロシアに空爆を頼みたいという意思を今月初めに見せたことにアメリカ政府は危機感を持ち、ジョセフ・ダンフォード米統合参謀本部議長を10月20日にイラクへ乗り込んだ。 同議長はイラク政府からロシアへ支援要請をするなと恫喝 したようだが、今回の合意はイラクへ向かうISの戦闘員をシリアで攻撃するということのようだ。ロシア、シリア、イラン、イラクの連携をアメリカ政府は止められそうにない。

 追い詰められたアメリカ、トルコ、サウジアラビアはウィーンでロシアと10月23日に外務大臣クラスの会談を実施、バシャール・アル・アサド大統領を排除したいという意思を伝えたのに対し、ロシアは国家主権を主張して拒否したという。

 アメリカ、トルコ、サウジアラビアの主張は内政干渉であり、侵略とも言える。それを日本のマスコミもわかっているようで、シリアの戦闘を「内戦」と表現するが、これは嘘だと本ブログでは何度も書いてきた。反シリア政府軍で戦っている戦闘員の大半は外国人だ。かつてはサウジアラビアが多かったが、最近はチェチェン出身者が増えていると言われている。

 反政府軍の実態はアメリカ軍の情報機関DIAも明らかにしている。例えば、2012年8月に作成した文書の中で、 反シリア政府軍の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQI で、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとしている。この文書が作成された後、こうした武装勢力/戦闘員の中からISは生まれたわけだが、その支援国にはアメリカ、トルコ、サウジアラビアも含まれている。

 シリアで体制転覆を目指す戦闘が始まった当時からAQIは反政府軍側。彼らはアル・ヌスラという名前を使い、シリア各地で軍事作戦を展開したとも説明している。そこから派生したISと最も密接な関係にあるのはトルコ政府である。ISの最も重要な兵站ラインはトルコからのもので、それをトルコ軍が守ってきた。

サウジアラビアやカタールが反政府勢力へ資金を提供していると2014年3月に両国を批判 している。

 その直後、4月に行われた選挙でアル・マリキを支える「法治国家連合」が第1勢力になり、全328議席のうち92議席を獲得した。ムクタダ・サドルが率いる勢力の34議席とイラク・イスラム革命最高評議会の31議席を加えたシーア派連合は157議席に達し、スンニ派連合の59議席、クルド連合の55議席を大幅に上回る。本来ならマリキが次期首相に指名されるのだが、それを大統領は拒否している。マリキがアメリカを批判、ロシアへ接近したことが原因だと見るべきだろう。

 そして6月、ISがモスルを制圧して西側メディアも大きく取り上げるが、その際、アメリカ政府は傍観していた。スパイ衛星、偵察機、通信傍受、地上の情報網などで動きはつかんでいたはずだが、反応していない。武装集団がトヨタ製の真新しい小型トラック「ハイラックス」を連ねてパレードするのも許した。

 ISやアル・カイダ系武装集団の勢力拡大をアメリカ政府が支援していることは自国の軍情報機関も指摘している事実。それを示す文書も公開され、「穏健派」の反シリア政府軍など事実上、存在しないことも西側メディアは知っていなければおかしい。知った上で、ロシア軍の空爆を西側メディアは批判的に報道している。ロシア軍はISやアル・カイダ系武装集団を本当に攻撃、大きなダメージを与えているからだ。

 勿論、ISやアル・カイダ系武装勢力に苦しんでいる国々はそうしたロシア軍の攻撃を歓迎しているが、それはアメリカ批判に直結する。ISやアル・カイダ系武装集団の後ろ盾がアメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタール、イスラエルといった国々で、その中心にアメリカがいることは公然の秘密だからだ。

 コンドリーサ・ライス元国務長官はFOXニュースのインタビューの中で、 控えめで穏やかに話すアメリカの言うことを聞く人はいない と語ったことがある。脅さなければ誰も言うことを聞かないと自覚しているのだろうが、ロシアの登場でその脅しがきかなくなっている。





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最終更新日  2015.10.26 16:49:53


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