《櫻井ジャーナル》

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2015.11.01
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカ政府は他国の体制や政権を自分たちに都合良く作り替える権利があると思っている。その一例がシリアで、バシャール・アル・アサド大統領の退陣を公然と要求、そこにはシリア国民の意思が入り込む余地はない。民主主義の理念を投げ捨てたことを隠していないわけだが、そのアメリカ政府の主張を当然であるかのように伝える西側のメディアも反民主主義者だと言える。

 それに対し、 国連の潘基文国連事務総長は、アサド大統領の未来を決めるのはシリアの人びとだと語った 。要するに「民意」の尊重。潘事務総長はアメリカの影響下にあると言われている人物だが、それでも民主主義の基本を破る発言はできなかったということだろう。

 2011年3月にシリアで始まった戦闘をアメリカなどが仕掛けたと報告されているが、その手先がアル・カイダ系武装集団やそこから派生したIS(ISIS、ISIL、ダーイッシュなどとも表記)だということは公然の秘密。2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIAが作成した文書の中でも、 反シリア政府軍の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQI で、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとしている。

 シリアでは「アル・ヌスラ」という名前が出てくるが、これはAQIがシリアで使っているだけで、実態は同じ。アル・カイダ系武装集団の戦闘員は多くがサラフ主義者やムスリム同胞団だと言われている。アメリカ軍がイギリス軍などを率いてイラクを先制攻撃した翌年、AQIは組織された。2006年にはAQIが中心になってISIが編成され、今ではISと呼ばれている。AQI、アル・ヌスラ、ISの実態は同じだ。その武装集団をアメリカ、イギリス、フランス、トルコのNATO加盟国、サウジアラビア、カタールといったペルシャ湾岸産油国、そしてイスラエルが支援してきた。

 2007年3月5日付けのニューヨーカー誌では、 アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3カ国がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始 したと調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが書いている。

 この戦略で中心的な役割を果たしているとされている人物は副大統領だったリチャード・チェイニー、副国家安全保障補佐官だったエリオット・エイブラムズ、イラク駐在大使から国連大使へなろうとしていたザルメイ・ハリルザド、そしてサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン王子。



 シリアと並行してリビアでも戦闘があり、2011年10月にムアンマル・アル・カダフィが惨殺されて以降は破綻国家で、破壊と殺戮が続いている。 リビアでNATOと手を組んでいた地上軍の主力、LIFGはアル・カイダ系 で、その後、 戦闘員は武器を携えてシリアなどへ移動 していく。

 武器は戦闘員が持ち出しただけでなく、NATOが輸送したとも伝えられている。 マークを消したNATOの軍用機がシリアとの国境に近いトルコの軍事基地へ武器と戦闘員を運んだ というのだ。必然的にシリアの戦闘員はアル・カイダ系が多くなる。

 ハーシュによると、 武器や戦闘員をリビアからトルコ経由でシリアへ運ぶルートはラット・ライン と呼ばれ、リビアから送りだす拠点がベンガジの米国領事館で、2011年9月から12年11月までCIA長官を務めたデービッド・ペトレアスが指揮していたとも言われている。2012年9月にベンガジの領事館が襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使らが殺害されているが、この事件に武器の輸送が関係していたと考える人もいる。

 チェイニー、エイブラムズ、ハリルザドと同じようにネオコン/シオニストのペトレアスはロシアがアル・カイダ系武装集団やISを本当に空爆して大きなダメージを与えたことに危機感を持ったようで、 「穏健派アル・カイダ」をISと戦わせるために使うべきだと主張 している。「穏健派アル・カイダ」が存在しないことは本ブログで何度も指摘してきた通りだ。





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最終更新日  2015.11.01 16:11:12


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