《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2015.11.17
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 シリアのバシャール・アル・アサド体制を倒すために送り込まれた傭兵集団、つまりアル・カイダ系のアル・ヌスラ/AQIやIS(ISIS、ISIL、ダーイシュなどとも表記)が 9月末から行われているロシアの空爆

 襲撃されたのはパリのバタクラン劇場などで、ISが犯行声明を出したようだが、実際に誰が作戦を立て、実行したのかは明確でない。今年9月に中東/北アフリカからEUへ向かう難民を西側メディアは大きく取り上げ始めた直後から難民の中に戦闘員が紛れ込んでいると指摘され、何らかの「テロ」がEUで引き起こされる可能性は高いと見られていた。

 アメリカの好戦派は1990年代にユーゴスラビアを先制攻撃して国を解体したが、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されると、この出来事を利用して無関係の国々を侵略しはじめる。アフガニスタンに続いてイラク、リビア、シリアを侵略し、旧ソ連圏では「カラー革命」で傀儡政権を樹立させ、昨年2月にはネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を使ってクーデターを成功させた。

 本ブログでは何度も指摘しているが、こうした侵略の元になるプランがアメリカの国防総省でDPGの草稿という形で作成されたのは1992年の初頭。1991年12月にソ連が消滅したことからアメリカは「唯一の超大国」になったと考え、潜在的なライバルを潰すと同時に新たなライバルを生み出すエネルギー資源が眠る西南アジアを制圧しようと目論む。プランの作成で中心的な役割を果たしたポール・ウォルフォウィッツ国防次官の名前から「 ウォルフォウィッツ・ドクトリン 」とも呼ばれている。

 ソ連を消滅させる上で重要な役割を果たしたのがボリス・エリツィンで、1990年代には大統領としてロシアに君臨、私有化や規制緩和という名目で国の資産を一部の人びとが盗むのに協力する。国民の資産を略奪するシステムの中心にいたのはエリツィンの娘、タチアナ・ドゥヤチェンコだ。そして「オリガルヒ」と呼ばれる富豪が誕生、今では多くがロンドンやイスラエルへ逃亡している。

 その間、1993年9月にエリツィン大統領は憲法を無視する形で議会を強制的に解散、抗議する議員が議会ビル(ホワイトハウス)に立てこもると、エリツィン大統領は戦車に議会ビルを砲撃させて100名以上、議員側の主張によると約1500名を殺害した。

 このようにロシアは西側支配層の傀儡に支配される属国になるが、21世紀に入るとウラジミル・プーチンがエリツィン派を排除し、ロシアの再独立を実現する。状況は大きく変化したのだが、それでもアメリカの好戦派はロシアを過小評価していた。ネオコン系シンクタンクのPNACは1992年のDPG草案に基づき、2000年に「米国防の再構築」という報告書を発表し、その中で東アジア重視を主張している。ロシアは脅威でなくなったと認識していたのだろう。

ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できると書いた のだろう。

 東アジアを戦争で破壊する引き金としてアメリカの支配層が考えているであろう場所は朝鮮半島。最近は尖閣諸島(釣魚台群島)や南沙群島(チュオンサ諸島、あるいはスプラトリー諸島)が話題になっているが、アメリカの好戦派はウォルフォウィッツ・ドクトリンが作成されて以来、朝鮮半島での戦争を想定してきた。

 例えば、1998年に作成された「OPLAN(作戦計画) 5027-98」は朝鮮に対する先制攻撃、体制転覆、傀儡政権の樹立を目的にしていた。その翌年には朝鮮の「金体制」が崩壊した場合を想定した「CONPLAN(概念計画) 5029」も作成され、黄海では朝鮮と韓国の艦船が交戦している。(その後、5029はOPLANになったとされている。)このほか朝鮮への核攻撃を想定した「CONPLAN 8022」も存在していた。

 ブッシュ・ジュニア政権は2003年3月にイラクを先制攻撃、空母カール・ビンソンを中心とする艦隊を朝鮮半島に派遣、6機のF-117を韓国に移動させ、グアムにはB-1爆撃機とB-52爆撃機が配備させた。当時の韓国政府やアメリカの旧保守派がブレーキをかけなければ、核戦争に発展していた可能性があるとも言われている。この年の7月には朝鮮の軍事施設700カ所を「ピンポイント」で攻撃するという「OPLAN 5026」が作成された。

 CONPLAN 8022の草案が書き上げられたのは開戦直後の4月、同じ年の11月にはできあがり、翌年の6月にドナルド・ラムズフェルド国防長官はこの計画を承認し、先制攻撃がはじめて認められた。

 2010年3月には、韓国と朝鮮で境界線の確定していない海域で 韓国の哨戒艦「天安」が爆発して沈没 する。米韓が合同軍事演習「フォール・イーグル」を実施している最中の出来事だった。この沈没に関して5月頃から韓国政府は朝鮮軍の攻撃で沈没したと主張し始めるのだが、CIAの元高官でジョージ・H・W・ブッシュと親しく、駐韓大使も務めたドナルド・グレッグはこの朝鮮犯行説に疑問を投げかけている。そして11月には問題の海域で軍事演習「ホグク(護国)」が実施され、アメリカの第31MEU(海兵隊遠征隊)や第7空軍が参加したと言われている。そして朝鮮軍の大延坪島砲撃につながる。

 ここにきて話題になっているのは「 OPLAN 5015 」。特殊部隊(正規軍よりCIAに近い)を使った局地戦を想定しているようだが、その目的は朝鮮の「大量破壊兵器」を破壊したり政府高官の暗殺や誘拐を実行することにある。「核攻撃が差し迫っている」とアメリカ政府が勝手に考えれば国連の決議など関係なく先制攻撃するということだ。

 アメリカのネオコン/シオニストは1980年代にイラクのサダム・フセイン大統領を排除すると主張、 1991年にはネオコンのポール・ウォルフォウィッツ国防次官はイラクに加えてシリアとイランを殲滅すると語っていた

コリン・パウエル国務長官は2002年3月28日に書いたメモの中で、イギリスのトニー・ブレア首相はアメリカの軍事行動に加わると書いている 。その1週間後、米英両国の首脳は会談した。

 この当時、ブッシュ・ジュニア政権はイラク攻撃を決めていたが、統合参謀本部は戦争に正当性がなく無謀だとして抵抗、約1年間、開戦が延期されたと言われている。そうした中、2002年9月にブレア政権は「イラク大量破壊兵器、イギリス政府の評価」というタイトルの報告書、いわゆる「9月文書」を作成、その中でイラクは45分でそうした兵器を使用できると主張している。

 この報告書をパウエル国務長官は絶賛したが、大学院生の論文を無断引用した代物で、内容もイラクの脅威を正当化するために改竄されていたことが後にわかる。その直後に文書の内容がリークされ、サン紙は「破滅から45分のイギリス人」というセンセーショナルなタイトルの記事を掲載した。

 今にもイラクはイギリスを核攻撃するかのように主張しているのだが、似たようなことを2003年1月にアメリカのコンドリーサ・ライス国家安全保障問題担当補佐官も口にしている。キノコ雲という決定的な証拠を望まないと語っているのだ。

 しかし、アメリカ政府やイギリス政府の主張した大量破壊兵器は存在しなかった。アメリカの好戦派は戦争を始めたくなったなら、同じようなに宣伝するだろう。偽旗作戦は彼らの得意技だ。OPLAN 5015にも先制攻撃、つまり軍事侵略という側面があるということだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.11.18 11:48:22


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: