《櫻井ジャーナル》

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2016.04.07
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカの有力メディアでコラムを書いているような人たちの大半はネオコン/シオニストをはじめとする好戦派の代弁者にすぎない。ベトナム戦争で情報統制の重要性を認識した支配層は「規制緩和」で巨大資本による支配を強め、反骨精神の富んだジャーナリストは排除されてきた。こうした西側支配層に嫌われている人、組織、国は見所があると言えるだろう。

 1991年12月にソ連が消滅した直後、ネオコンはアメリカを「唯一の超大国」と位置づけ、ソ連に替わるライバルが出現することを防ぐためのプロジェクトを始める。その指針が1992年初頭に国防総省で作成された DPG草案 、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジアなどの潜在的なライバルを潰し、膨大な資源を抱える西南アジアを支配しようという内容。今でもネオコンはこの戦略に基づいて動いている。そのネオコンの宣伝機関がアメリカの有力メディア。そのメディアが支援している人、組織、国は危険であり、そうしたメディアを信奉している人も危険だ。

 1990年代にメディアは広告会社とタッグを組み、偽情報を公然と流すようになった。その幕開けとも言えるのが1990年10月にアメリカ下院の人権執行集会での茶番劇。イラク軍に侵攻されたクウェートから来たという少女「ナイラ」が登場、イラク兵は病院の保育器に入れられていた赤ん坊数百人を連れ出して殺したと主張したのだ。

 今では広く知られているが、彼女の話は嘘だった。ナイラはアメリカ駐在クウェート大使サウド・ナシール・アルサバーの娘で、軍事侵攻があった時にクウェートの様子を目撃などしていなかったのである。保育器の話自体も作り話。この茶番劇を演出したのが大手広告会社ヒル&ノールトンだ。ユーゴスラビアを破壊する際には別の広告会社、ラダー・フィン・グローバル・パブリック・アフェアーズが利用されている。

 ユーゴスラビア破壊の仕上げは1999年3月に行われたNATO軍の先制攻撃。この時も偽情報が使われたことは本ブログでも何度か指摘した。5月には中国大使館も爆撃されているのだが、これは意図的だった可能性が高い。勿論、多くの人びとが犠牲になった。

 この年、アメリカ陸軍の第4心理作戦群の隊員が2週間ほどCNN本部で活動していた。アメリカ軍のトーマス・コリンズ少佐(当時)によると、派遣された隊員は放送局のスタッフと同じように働き、ニュースにも携わったという。(Trouw, 21 February 2000)軍とメディアの一体化が進んでいたということだ。

 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された直後、 国防長官の周辺ではイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃するというプラン ができた。このうちイラク、イラン、シリアは1991年の時点でポール・ウォルフォウィッツが主張していた殲滅対象国だ。



 イギリスのトニー・ブレア政権はイラクが45分で大量破壊兵器を使用できると主張していたが、この時点におけるイギリスの有力メディアはアメリカほど腐敗していなかったようで、この主張を否定する報道があった。開戦から2カ月後、BBCのアンドリュー・ギリガンはラジオ番組で「45分話」を主張する「9月文書」は粉飾されていると語ったのだ。さらにサンデー・オン・メール紙でアラステアー・キャンベル首席補佐官が情報機関の反対を押し切って「45分話」を挿入したとも主張している。

 ギリガンが「45分話」の疑惑を語って間もなく、彼の情報源が国防省で生物兵器を担当しているデイビッド・ケリーだということがリークされ、ケリーは7月15日に外務特別委員会へ呼び出され、17日に変死する。その後、2004年10月に「45分話」が嘘だということを外務大臣のジャック・ストローは認めた。

 トニー・ブレア英首相は2002年3月の時点でアメリカによるイラク侵攻に参加することを決めていたことが今ではわかっている。ジョージ・W・ブッシュ政権で国務長官を務めた コリン・パウエルが2002年3月28日に書いたメモ の中で、ブレア首相はアメリカの軍事行動に加わると書かれていたのだ。このメモが書かれた1週間後、米英両国の首脳は会談している。この約束を守るため、ブレア政権は嘘をついたということだろう。

 政府の報道統制はBBC幹部の粛清に結びつく。執行役員会会長とBBC会長が辞任に追い込まれ、ギリガンもBBCを離れた。この後、BBCはプロパガンダ色が強まり、リビアやシリアへの軍事侵略を始めてからは偽情報を流し続けている。その具体的な話は本ブログで繰り返し書いてきたので今回は割愛する。

 アメリカの大統領選に出馬している候補者の大半はこうした軍事侵略を正当化、継続しようとしている。最終目標はロシアと中国の制圧だ。こうした戦略に固執している好戦派が最も好ましいと考えている人物がヒラリー・クリントン。ネオコン、戦争ビジネス、巨大金融資本などから支持され、破壊と殺戮を全世界に広げようと扇動している。その狂気を罵倒しているドナルド・トランプが有力メディアから嫌われているのは必然だ。





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最終更新日  2016.04.08 11:48:21


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