そしてウッドワードをメディアの世界へ導いたのはワシントン・ポスト紙のポール・イグナチウス社長。(Russ Baker, “Family of Secrets”, Bloomsbury, 2009)イグナチウスは1969年まで海軍長官を務めていた。
ウッドワードの上司になるベンジャミン・ブラドリーは大戦中、海軍情報部に所属していた人物。ブラドリーが再婚した相手、アントワネット・ピノチョトの姉、マリーが結婚した相手はCIAの幹部だったコード・メイヤー。パリのアメリカ大使館で働いていた際、ブラドリーはアレン・ダレスの側近で秘密工作に関わっていたジェームズ・アングルトンに協力している。アングルトンの部下で、平和運動を監視していたリチャード・オバーともブラドリーは親しかった。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979)
一方、バーンスタインは1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、その直後に「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。それによると、400名以上のジャーナリストがCIAのために働き、1950年から66年にかけて、ニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供しているとCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)