《櫻井ジャーナル》

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2016.10.27
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中国は10月27日の0時0分から24時0分まで南シナ海、海南島の南で軍事演習を行うと発表 した。21日にアメリカ海軍が駆逐艦のディケーターを南シナ海の西沙群島近くを示威航行させたことに対する中国側のメッセージだろう。

 この海域では中国、フィリピン、ベトナムの間で領海をめぐる対立があり、軍事的な緊張が高まっていたが、フィリピンが中国との関係修復に乗り出し、22日には中国の艦隊がベトナムのカムラン湾を訪問するなど風向きが変わってきていた。

 中国との間で領海をめぐる対立があり、軍事的な緊張の高まっているもうひとつの国は日本。尖閣諸島の領有権が問題になっているが、これは1970年代に田中角栄と周恩来との間で「棚上げ」になっていた。この問題を棚から引きずり下ろしたのが民主党の菅直人政権だ。

 2010年9月、菅政権の時に海上保安庁は尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を取り締まり、漁船の船長を逮捕しているが、これは 「日中漁業協定」を無視する行為 だった。当然、海上保安庁は協定を熟知しているはずで、国土交通大臣だった前原誠司の意思がなければ不可能な行為だ。

 この逮捕で日本と中国との関係は険悪化するが、2011年3月11日に東北の太平洋側で巨大地震が起こり、日本と中国の対立は緩和されそうになる。そうした雰囲気を消し去って関係悪化の方向へ戻したのが石原親子だ。

 2011年12月に 石原伸晃が「ハドソン研究所で講演 、尖閣諸島を公的な管理下に置いて自衛隊を常駐させ、軍事予算を大きく増やすと発言、今年4月には 石原知事が「ヘリテージ財団」主催のシンポジウムで尖閣諸島の魚釣島、北小島、南児島を東京都が買い取る意向 を示したのだ。こうした言動の背後にはネオコンの大物、I・ルイス・リビーがいたと言われている。リビーはハドソン研究所の上級副所長だった。安倍晋三もハドソン研究所と関係が深いが、そのつながりを築いたのもリビー。石原親子と安倍首相を操っているのがネオコンのリビーだとするならば、ふたりと同じ流れの中で動いていた菅直人の背後にもネオコンがいることは想像できる。

 ソ連が消滅してロシアを属国化することに成功、アメリカは唯一の超大国になったという認識で1992年2月に書き上げられたのが国防総省のDPG草案、いわゆる ウォルフォウィッツ・ドクトリン 。執筆のは国防総省のポール・ウォルフォウィッツ次官とリビー副次官補らだったようだ。

 この前提から出発すれば東アジアを重視するのは必然だが、その東アジアでは今年6月にネオコンの戦略を揺るがす出来事が起こった。フィリピンの大統領がアメリカの傀儡だったベニグノ・アキノ3世からロドリゴ・ドゥテルテに交代、アメリカの属国という地位から決別することを宣言したのである。「口が悪い」という次元の話ではない。

 ドゥテルテの親友でブレーキ役も務めている フィリピンの外相は9月15日、CSISでアメリカ支配層に対し、自分たちはいつまでも「ちびで茶色い仲間」であるわけにはいかないと公演後の対談で述べていた 。しかも、実際に中国と話し合いを進めている。

 その日、 稲田朋美防衛相もCSISで講演 していた。司会進行はマイケル・グリーンで、稲田はアメリカ海軍が行っている「航行の自由作戦」への支持を表明、両国は共同で「巡航訓練」などを南シナ海で実行すると語っている。

 「航行の自由作戦」に加わるように聞こえるが、今年6月後半、中国の程永華駐日大使は南シナ海に関する要求で譲歩したり主権を放棄することは戦争が勃発する事態になってもありえないと日本側に警告したと言われ、稲田の発言は中国との戦争を厭わないという宣言と理解されても仕方がない。中国と戦争を始めるということは、ロシアとも戦争することを意味する。

 日本政府は自らがアメリカ軍の作戦に加わるだけでなく、フィリピンも引き込もうとしている。8月には、 日本政府がフィリピン政府と巡視船2隻の貸与に関して話し合いを進めているとする外務副報道官の大鷹正人の発言 が伝えられた。その巡視船は全長90メートル程度とされていたので、おそらく「ひだ型巡視船」3隻のうち2隻を貸し出す意向だったのだろう。偵察機も貸したかったようだ。

 しかし、今回はアメリカの駆逐艦1隻。ネオコンが思い描くようには進んでいないように見える。東アジアでネオコンに逆らっているドゥテルテ大統領をアメリカ支配層は排除したいだろう。これまでの手口を見ると、買収は無理そうなので、経済を混乱させて失脚させるか、イラクのようにアメリカ軍が軍事侵略するか、ウクライナのネオ・ナチと同じような国内勢力を使うか、リビアやシリアのように傭兵を投入するか、暗殺するといったところだろうが、人びとが注目している中で仕掛けるのは難しい。






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最終更新日  2016.10.27 20:55:51


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