《櫻井ジャーナル》

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2018.01.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
ロシアとの関係を修復するという方針を示したドナルド・トランプ大統領の動きを封じる切り札として「ロシアゲート」が使われてきた。その疑惑を調査するとしてロバート・ムラー元FBI長官が特別検察官に任命され、有力メディアと連携して調査を進めているというが、そうした疑惑が事実なら、その証拠を電子情報機関のNSAが持っているはず。FBIはNSAにそのデータを提出するように求めれば良いだけのことだ。それができないということは、この疑惑がインチだということを示している。

FBIが疑惑を調べ始める端緒はジョージ・パパドプロスという人物の泥酔時の発言だとする記事 ​をニューヨーク・タイムズ紙が12月30日に報じた。大統領選挙でトランプの政治顧問を務めていたパパドプロスは2016年5月、ロンドンのバーでオーストラリアの外交官に対し、モスクワはヒラリー・クリントンのキャンペーンにダメージを与える目的で盗み出されたと思われる数千件の電子メールを持っていると聞いたと話したとしている。それを知ったFBIが7月に捜査を始めたというわけだ。

パパドプロスによると、​ 彼にその話をした「ミフスド教授」は「プーチンの姪」とパパドプロスの会談をアレンジしてくれたというのだが、第2次世界大戦の最中、子どもだったプーチンの兄弟はレニングラードで死亡しているため、姪はいない ​。この「教授」はかなり如何わしいということだ。

ちなみに、プーチンの兄弟が死んだ当時のレニングラードはドイツ軍とフィンランド軍に攻撃されていた。29カ月間包囲され、約70万人が餓死したという。プーチンが戦争回避に努める理由のひとつはこの体験にあるとも言われている。

これまで、ロシアゲート事件の幕開けはアダム・シッフ下院議員が昨年(2017年)3月に下院情報委員会で行った発言だと考えられてきた。2016年のアメリカ大統領選挙にロシアが介入したという同議員の主張はクリストファー・スティールという元イギリス情報機関員の報告書に基づいているのだが、FBIのチームは2016年10月、スティールと会うためにヨーロッパへ出向いたとされている。

スティールはイギリスの対外情報機関MI6のオフィサーだった人物で、MI6のために働いていたアレキサンダー・リトビネンコのケース・オフィサーだったとも言われている。情報機関を離れてからはオービス・ビジネス・インテリジェンスという民間情報会社を経営しているが、生きている限り、情報機関員は組織との関係を断ち切ることはできない。組織から抜け出すためには裏切るか、死ぬしかないのだ。このスティールが作成した報告書は伝聞情報や噂話をつまみ食いした代物で、信頼度は低い。

パパドプロスがFBIに協力しはじめたのは昨年(2017年)10月の前半だと伝えられている。ロシア人との接触でFBIの捜査官に嘘をついたと認めてのことだという。その直前、トランプのキャンペーンで幹部だったポール・マナフォートがビジネス仲間と一緒にマネー・ロンダリングなどの容疑で起訴されていた。勿論、この起訴で「ロシアゲート」の捜査が進展したなどということはない。この容疑はロシア疑惑と無関係だが、パパドプロスとFBIとの取り引きに関係していると考える人はいる。



ところで、NSAは全ての通信を傍受、記録している。つまり、NSAで通信傍受システムを開発した人物を含む専門家が指摘しているように、トランプやその周辺の人々がロシア側と不適切な遣り取りをしていたならNSAが証拠を握っているはず。新たな捜査は必要ないのだ。ミュラーを特別検察官に据えたという事実が「ロシアゲート」のインチキを示している。

実は、NSAの盗聴記録をFBIは持っていた。その記録からマイケル・フリン中将とセルゲイ・キスリャク駐米露大使との会話に問題ないことを承知の上で、イェーツはフリンから事情聴取、その記録に残っている話を捜査官にしなかったとして偽証罪に問うている。何も違法なことをしていない相手を陥れるため、イェーツはトラップを仕掛けたと言えるだろう。

ダナ・ローラバッカー下院議員によると、​ 昨年8月に同議員はロンドンのエクアドル大使館でWikiLeaksのジュリアン・アッサンジと会談、リークされた電子メールの情報源がロシアでないことを示す決定的な情報を提供する容易があると聞かされる ​。アッサンジ逮捕を諦めることが条件だったようだ。

この情報をローラバッカー議員はジョン・ケリー大統領首席補佐官に伝えたのだが、この情報はトランプ大統領へは知らされなかった。民主党、FBI、情報機関、有力メディアなどが総掛かりで始めた「ロシアゲート」の幻影が消えかかっているのだが、この幻影を維持しようとしている人間はトランプ政権の内部にもいる。ロシアゲート疑惑の幻影が消えたとしても、中国やロシアとの軍事的な緊張を高めるアメリカの流れを止めることは難しいかもしれない。





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最終更新日  2018.01.02 06:57:11


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