ニコラス・マドゥロ大統領は昨年(2018年)9月13日に中国を訪問、翌日には習近平国家主席と会談した。中国はベネズエラに多額の融資をする一方、石油を輸入している。
ベネズエラはロシアとも関係を強めているが、そのロシアは昨年12月12日に2機のTu-160戦略爆撃機を輸送機と一緒に派遣、 その爆撃機はベネズエラ軍のSu-30戦闘機とF-16戦闘機を伴ってカリブ海上空を約10時間にわたって飛行 したと伝えられている。アメリカ政府やそのベネズエラにおける手先の勢力に対するデモンストレーションだと言えるだろう。
同日遅く、 アメリカ政府 はTu-160が14日にベネズエラを離れて帰国すると「勝利宣言」したというが、当初からロシア側は共同軍事訓練に参加するためとしているわけで、帰国は時間の問題だった。
ロシアが軍事介入する場合、Tu-160をベネズエラへ派遣する必要はない。シリアでも明らかなように、遠くからミサイルを発射すれば良い。ロシアが本気なら潜水艦からミサイルを発射することもできるのだが、姿を水面下に隠して行動する潜水艦はデモンストレーション向きではない。
アメリカの支配層がこれを単なるパフォーマンスであり、ロシアと中国はマドゥロ政権を見捨てると考えているのなら、アメリカの行動はエスカレートし、ラテン・アメリカで繰り返されてきた軍事クーデターを仕掛けるかもしれない。マドゥーロ政権がこれに耐えられるだけ安定しているだろうか?(了)