世界をCOVID-19(新型コロナウイルス)という「恐怖」が覆っている。恐怖を利用してアメリカの支配層が被支配層を操ってきたことを考えると、COVID-19の場合でもそうしたことが行われていると推測できる。すでに現象として戒厳令的な情況が作り出され、ソ連や中国との核戦争を想定して計画された社会の収容所化も急速に進んでいるようだ。
人間が容易に恐怖でパニックになることは1938年10月30日の出来事を考えてもわかる。この日、H・G・ウェルズ原作のドラマ『宇宙戦争』をCBSラジオがオーソン・ウェルズの演出で放送したのだが、この番組が原因で少なからぬアメリカ人がパニックになったのだ。
第2次世界大戦後、アメリカの支配層は現実世界で恐怖を使う。本ブログで繰り返し書いてきたが、ウォール街、つまり巨大金融資本の大物たちはファシズムを望んでいた。そのウォール街を1933年からニューディール派が押さえ込むが、45年4月、つまりドイツが降伏する前の月にフランクリン・ルーズベルト大統領が急死して情況が一変した。
ルーズベルトはニューディール派のリーダーで、しかも1944年に実施された大統領選挙で副大統領候補は現職の副大統領で民主党員の65%から支持されていたヘンリー・ウォーレスではなく、支持率が2%にすぎないハリー・トルーマンになっていた。
トルーマンはルーズベルトと親しい間柄ではなかったが、アブラハム・フェインバーグという富豪が後ろ盾なっていた。この人物はリンドン・ジョンソンのスポンサーとしても有名で、後にイスラエルの核兵器開発を支援するひとりになる。
ルーズベルトが大統領、ウォーレスが副大統領という政権なら、戦争が終わればナチスを支援した人びとの責任が問われた可能性は極めて高い。これも繰り返し書いてきたことだが、JPモルガンをはじめとするウォール街の大物たちは1933年から34年にかけてファシズム体制の樹立を目指すクーデターを計画、準備を進めていた。
しかし、第2次世界大戦後、ファシズムに反対していた人びとが「アカ狩り」で粛清されている。「アカ」が恐怖に仕立てられ、国民はその恐怖の渦に呑み込まれた。大戦でファシストは負けなかったのだ。彼らは「全体主義」というタグを使って姿を隠した。
イタリアで1960年代から80年頃にかけてNATOの秘密部隊と言われるグラディオが実行した極左を装った爆弾テロも恐怖戦術の成功例だろう。イタリアで支持者が多かったコミュニストにダメージを与え、社会的な緊張を高めて社会の収容所化を進めるという戦術だ。グラディオを動かしていたのはイタリアの情報機関だが、その背後にはアメリカやイギリスの情報機関が存在していた。
21世紀に入ると「アル・カイダ」と「オサマ・ビン・ラディン」が恐怖の象徴になるが、アル・カイダは ロビン・クック元英外相も指摘
アル・カイダ系武装集団とNATO/アメリカとの関係は2011年に西側のメディアも伝えるほど広く知られるようになるが、その頃からバラク・オバマ政権は新たな戦闘員を育成しはじめる。その危険性をDIAが2012年8月の段階でオバマ政権に警告していたことも繰り返し書いてきた。そして2014年に売り出された武装集団がダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)だ。
ダーイッシュは2015年にロシアがシリア政府の要請で軍事介入してから急速に勢力が弱まる。そこでアメリカなど西側の政府や有力メディアはシリア、イラン、ロシア、中国を恐怖の対象として宣伝しはじめた。
ここにきてアメリカ政府はシリア、イラン、ロシア、中国とセットでCOVID-19を恐怖として宣伝、社会の収容所化を推進、巨大資本やその資本を所有する富豪が支配する体制を築こうとしている。その新体制では人口を現在の5%、あるいは30%まで削減するという発言があった。
そうした流れがある一方、COVID-19で支配システムの無残な実態が明らかになり、ファシズム化に反対する人が増えるのではないかという見方もある。実際、世界的に見るとアメリカ離れが進んでいるが、そうした動きが広がるかどうかは不明だ。