11月3日に行われたアメリカ大統領選挙の投票ではドミニオンの投票システムが使用された。 このシステムが投票数を正確に数えないという報告 が12月13日に発表されているが、その2日前、激戦州だったジョージア州、ミシガン州、ペンシルべニア州、ウィスコンシン州の手続きが憲法に違反しているとするテキサス州司法長官の訴えを連邦最高裁は却下している。この判決によってジョー・バイデンの大統領就任は法律的に確定したと言えるだろう。
バイデンは閣僚を決めつつあるが、その好戦的な性格が話題だ。国防長官にはアメリカ中央軍の元司令官で軍需産業レイセオンの重役を務めるロイド・オースチン、国務長官にはバイデンに近く、2003年のイラクへの先制攻撃に賛成、CSIS(戦略国際問題研究所)の上級フェローを務めたこともあるアントニー・ブリンケンが選ばれた。国家安全保障補佐官への就任が予定されているジェイク・サリバンはヒラリー・クリントンに近く、国務長官だったクリントンへ出した電子メールの中で、アル・カイダは「シリアにおいて我々の仲間だ」と書いている。
確かにアル・カイダ系のアル・ヌスラはアメリカ側だったが、より正確に言うなら、アメリカ側が編成したのだ。2005年7月にロビン・クック元英外相が指摘したように、 アル・カイダとはCIAの訓練を受けたムジャヒディンの登録リスト であり、何かプロジェクトが決まると、そのリストに載っている傭兵が集められる。
2012年8月にアメリカ軍の情報機関 DIAがバラク・オバマ政権に提出した報告書 には、シリアで政府軍と戦っているのはアル・カイダ系のアル・ヌスラ(報告書はAQIと同じと指摘している)であり、その主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘、さらにオバマ政権の武装勢力支援策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告、それは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)という形で現実なった。
このほかバイデンの移行チームには戦争ビジネスと関係の深い人びとが参加している。そうしたこともあってか、ロシアのウラジミル・プーチン大統領は12月15日に発表した祝辞の中で「希望」を語っていない。ヒラリー・クリントンはロシアを屈服させるために核戦争で脅したが、同じことをバイデンもするとロシア側は覚悟しているだろう。