《櫻井ジャーナル》

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2025.04.23
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 日本のQPS研究所(iQPS)はウクライナ国防省の情報総局(GUR)に対し、一般的なレーダーより解像度が高い合成開口レーダーの画像を提供すると伝えられている。ロシアとの戦争に日本企業が深くコミットしはじめたと言える。

 衛星画像の分析のためにフランスのサフランAIはデータ統合プラットフォームをGURへ提供することで2月に合意したが、その頃から日本の当局とGURは交渉を進めていたという。日本とウクライナのGEOINT(地理空間情報)における連携は軍事的な側面だけでなく地政学的にも重要な意味を持つと考えられている。

 ウクライナへはフィンランドのICEYEが衛星画像を提供してきたが、同社とアメリカとの関係を考え、情報源の多様化を図っているようだ。ドイツの偵察衛星システムのSAR-LupeとSARah、イタリアの地球観測衛生システムのCosmo-SkyMedからもレーダー画像が提供されている。

 日本がアメリカの戦略に従い、ロシアや中国との戦争を準備していることは本ブログでも繰り返し書いてきた。大きな節目は1992年2月に国防総省のDPG(国防計画指針)草案だろう。リチャード・チェイニー国防長官の下、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官を中心とするネオコンのグループが作成した。そこで「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。このドクトリンのベースを考えた人物は、国防総省内部のシンクタンクONA(ネット評価室)で室長を務めていたアンドリュー・マーシャルだ。

 このプロジェクトの目的は新たなライバルの出現を防ぐことにあり、その対象には旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジア、西南アジアも含まれている。ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、「民主的な平和地域」を創設するともされている。つまりアメリカは日本を自国の戦争マシーンに組み込むと宣言したのだ。







 それに対し、細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して対抗するのだが、倒されてしまう。1994年6月に自民、社民、さきがけの連立政権が誕生、村山富市が首相に就任して抵抗する。

 そうした状況をネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に訴え、1995年2月にジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表する。そこには、10万人規模の駐留アメリカ軍を維持し、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限は緩和/撤廃されることが謳われていた。

 こうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。

 1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。この旅客機が墜ちる前、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づく記事で、自衛隊の責任を示唆している。日本が アメリカの戦争マシーンに組み込まれたのはこの1995年だと言えるだろう。

 また、​ 共同通信は3月16日、日本政府が九州に陸上配備型長距離ミサイルの配備を検討していると報じた ​。緊急事態の際に敵の標的を攻撃する「反撃能力」を獲得する取り組みの一環だという。そのミサイルとは射程距離が約1000kmの12式地対艦誘導弾能力向上型で、配備は2026年3月に始まるとされている。

 アメリカの軍事戦略を国防総省系シンクタンク​ 「RANDコーポレーション」は2022年の4月に説明している。GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するという計画を公表した ​のだ。







 その間、日本は外国と軍事的なつながりを強めている。例えば2017年11月にアメリカはオーストラリア、インド、日本とクワドの復活を協議、18年5月にはアメリカ太平洋軍をインド太平洋軍へ名称変更。さらにJAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)なるものが作られ、​ アメリカの軍事顧問団は金門諸島と澎湖諸島に駐留して台湾の特殊部隊を訓練している ​。

 2020年6月になるとNATO(北大西洋条約機構)事務総長だったイェンス・ストルテンベルグはオーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言し、2021年9月にはアメリカ、イギリス、オーストラリアのアングロ・サクソン3カ国が太平洋でAUKUSなる軍事同盟を創設したとする発表があった。

 日本のGEOINT能力は東アジアでの戦争にも使われるのだろう。

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最終更新日  2025.04.23 00:00:16


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