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ハリー・ボッシュシリーズ 第10弾
このミステリーがすごい 海外編 2007年版 第7位
『ザ・ポエット』と『わが心臓の痛み』の後日談
でもあります。警察を翻弄するような予告状とともに、ネヴァダの砂漠地帯で不審な死体が発見され『ザ・ポエット』事件との関連からFBI捜査官のレイチェルが現地に派遣されます。一方、ボッシュはかつて一緒に仕事をした心理分析官マッケイレブの不審死について調査を行うことになります。ふたりの捜査は、やがて交叉し、死んだ筈の連続殺人犯の存在を浮かび上がらせていきます。テリー・マッケイレブの死から始まる物語というのがショッキングだし、詩人事件で左遷されていた女性捜査官レイチェルが、再び表舞台に戻ってくるというセンセーションもあり、これはコナリー・ファンだったらたまらないお膳立てといえるでしょう。しかし、そんな賑やかさもさることながら、ボッシュが連続殺人犯をあぶり出していく過程の推理と捜査は例によって密度が高く、読み応えがあります。
ボッシュは、前作で衝撃の事実と向かい合い、エレノアや家族と対峙しなければならなくなった。そんな主人公の人生を垣間見せるコナリーの小説作法にも怠りはない。
版元がめまぐるしく変わったり、紹介の順序が入れ替わったり、マイクル・コナリーの<ボッシュ・シリーズ>の翻訳紹介はさんざんな荊の道を歩んできましたが、ここにきてややや落ち着きを見せつつあります。ソレと同時に立ち上がってきたのが、このシリーズの年代記的な面白さではないでしょうか。
ご存知のように、 『ナイト・ホークス』
で読者の前に登場したボっシュは、一作ごとに出生やベトナム経験にまつわるトラウマを克服し、警察内における自分のあり方に苦悩し、運命の女性エレノアとの波乱にみちた出会いと別れを経験してきました。さらには、紹介の不幸に加えて、スピンオフの作品も少なくない事から、これまではなかなか掴みづらかったボッシュの人生というバックグランドが、昨年の『暗く聖なる夜』や、今年の本作を通じ、ようやくわが国読者にも明らかになりつつあるのは喜ばしい事でしょう。
(「このミステリーがすごい 2007年」より 紹介文抜粋 )
<刑事 ハリー・ボッシュ> シリーズ
『ナイトホークス』
『ブラック・アイス』
『ブラック・ハート 』
『ラスト・コヨーテ 』
『トランク・ミュージック 』
『エンジェルズ・フライト』
『夜より暗き闇』
『シティ・オブ・ボーンズ 』
『暗く聖なる夜 』
『天使と罪の街 』
『終決者たち 』
『エコー・パーク』
『死角 オーバールック 』
“Nine Dragons”
“The Reversal”
ノンシリーズ
『ザ・ポエット』
『わが心臓の痛み』
『バッドラック・ムーン』
『チェイシング・リリー 』
『リンカーン弁護士』
マイクル・コナリーのランクイン履歴