2013/04/07
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テーマ: 社交ダンス(9448)
カテゴリ: アートのはなし
ベラスケス、ゴヤと並ぶスペイン三大画家の一人、エル・グレコ。

その特別展を上野の東京都美術館に見に行ってきました。

今年没後400年という節目だそうです。

ご存知の方も多いと思うんですが、エル・グレコというのは本名じゃないんですね。

ドメニコス・テオトコプーロス(1541-1614年)という名のギリシャ人で、クレタ島に生まれイタリアからスペインまで流れ流れてトレドに落ち着くんですが、名前が呼びにくかったせいかみんなから『エル・グレコ(スペイン語でギリシャ人の意味)』と呼ばれていました。





東京都美術館のリニューアル記念の一環として国内史上最大の回顧展を開催していて、もう終わりも迫っていた(2013年4月7日まで)ので大将に持ちかけたところ反応がイマイチ。


『エル・グレコって、 プラド でいっぱい見たからもういいよ。暗ーい、こわーい,ボク行かなーい。』


黒が基調の宗教画が多いですからね。でもそれは光を際立たせるための手法なんですよ。



展示作品51点のうち多くはトレドのエル・グレコ美術館所蔵のものですが、その他にも世界中に散らばってる作品を一堂に会し、東京都美術館も『奇跡の集結』と歌ってるだけあって見応えがありました。スペイン人も見に来てましたよ。

お隣の国立西洋美術館から借りて来た作品もありました。


ぐれこ2.jpg


一番の見所はチケットにもなっている『無原罪のお宿り』です。トレドのサン・ニコラス教区聖堂にある3mを越える大作で、まさに『一度見上げたら、忘れられない』というコピーの通り印象深い作品です。

ムリーリョ の同名の作品を以前ご紹介しましたが、私はいままで意味を取り違えていた事を今回知りました。

無原罪というのはイエス・キリストが性交渉なしにマリア様に宿ったという事ではなく、マリア自身が彼女の母親アンナに宿った時がそうだったというカトリックの教義らしいです。

エル・グレコの作品によく出て来る周りを取り囲むようなツブツブが全部天使の頭だったってことも発見。




いままでエル・グレコは宗教画家だと思っていたんですがそれ以前に肖像画家だったというのも初めて知りました。

凄い上手なんですよ。当たり前と言えば当たり前なんでしょうけど、ピカソの写実的な絵を初めてみた時のような驚きでした。

『え?! こんな絵も描けるんだ。』みたいな。

こちらはエル・グレコの友人で当代きっての知識人だった方。肖像画の傑作の一つと言われています。

『修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像』(1611年、ボストン美術館)
ぐれこ5.jpg




『芸術家の自画像』(1595年頃、メトロポリタン美術館)
自画像.jpg

修道士とか医者とかの肖像の中に、一つだけやけに美しく念入りに描かれた作品が目を引きました。

『白貂の毛皮をまとう貴婦人』(1577-1590年頃、グラスゴー美術館)
ぐれこ3.jpg


もう一つ発見だったのは、エル・グレコがただの画家ではなく、祭壇をデザインしたり文章を書いたり出来る総合芸術家だったということです。

祭壇画を描くにあたって、教会の窓の位置とか光の差し込む角度、鳩が飛んで来る方向なんかも計算に入れていたようなんですね。


中央:『悔悛するマグダラのマリア』(1576年頃、ブダペスト国立西洋美術館)
右:『フェリペ2世の栄光』(1579-1582年、エル・エスコリアル修道院、スペイン)
ぐれこ4.jpg

出口近くにエル・グレコの言葉がいくつか書かれていたんですが、最も心に残ったのは光に関する記述でした。

聖なるもの、キリストやマリアや天使たちを、より大きく見せるためにエル・グレコはそれらが天体であるという事を利用したと言った内容です。

『光というものはたとえ小さくとも、遠くから見ると大きく見えるものである。』

エル・グレコ展は今日で終わりですが、御興味ありましたら 公式サイト の方も覗いてみて下さい。







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Last updated  2013/04/07 10:59:09 AM
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