つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2008年01月23日
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カテゴリ: アート
新しくなった大丸ミュージアムに初めて出かけた。以前より狭
くなったという話をどこぞで聞いたような気がしたが、あまり
変わらないのはという印象。さっそく、2,000円のパスポート
チケットを購入。

今回は、長野にある水野美術館というところの所蔵作品展。こ
の美術館も初めて聞く名前だと思ったら、5年前にできたばか
りの美術館だそうだ。庭園も見事らしく、ここもいつか尋ねて
みたいところだ。

もうひとつ、この展覧会をネットで検索したら、この展覧会を
会社 の存在を知った。なるほど全国各地のデパートで
同じ作品展が巡回するのはこういう会社の存在があったのかと
納得した。ひとつの美術館の学芸員の尽力で行うタイプの展覧
会もあれば、こういう商業ベースにのった展覧会もあるのだと
いうことを知る。

地方の公立美術館の限られた予算では、独自の展覧会を企画す
るのは難しく、こういう業者に委託せざるを得なくなる事情も
よく分かる。

美術ファンとしては、こうした企業により、よい作品を観る機
会が増えてうれしいことでもある反面、一学芸員の精魂を込め
た企画も期待したいところだ。まぁ、消費者はわがままなので


さて、大丸ミュージアム。どなたかのブログにあったように、
山種美術館に匹敵する日本画の名品の数々に圧倒された。

大観の「陶靖節」。無弦の琴を置き、自然の音を聞いて瞑想にふ
ける陶淵明を描いたもの。金屏風に竹林の規則正しい竹の葉が
映える。陶淵明のブルーのリボンが印象的。大観の富士山の絵


同じく大観の「無我」。東博の作品を見慣れているせいか、こち
らはやや淡白に感じた。童子と「無我」の関係について、いろ
いろな解説を読み、頭では理解できるのだが、実際にこの絵を
見ても、まだしっくりとこないのである。

下村観山。「弁財天」があった。観山の仏画も好きだ。龍に乗る
下膨れ美人。ところが、となりの獅子図は、不気味な青い体表
に、腰が引けてしまった。

今回の上村松園のどの作品は、どうも真面目すぎる感じがした。
やはり、男の描く女性像の方が好きだ。

大川の虹.jpg

清方の「大川の虹」。薄い絽の着物から覗く赤い襦袢や、ピンクに
染まる頬の色など、控えめながらも強烈な色気だ。

伊東深水の「鏡獅子」の弥生も初々しい美人だが、視線がすで
に獅子にひかれている。菊池契月の「後宮」は、それこそ昔の少
女マンガの登場人物のような美人。

現代画家では、高山辰雄の「里」をはじめとする幻想的なタッ
チの作品に心惹かれた。

最期の加山又造。青い目のシャム猫も良かったが、「雪晴れる」
の雪山(どこの山を描いた絵だろうか?)の背後にスコーンと
抜けた青空を見て、 清々しい気持ちで会場を後にした。






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最終更新日  2008年01月23日 03時37分23秒
コメント(14) | コメントを書く


■コメント

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企画  
キリル さん
こんばんは。

>この展覧会を企画した会社の存在

そういう視点は今までまったくありませんでした。学芸員の企画に目を配ったこともありませんでしたけど、すこし興味がわいてきました。
加山又造はまだそんなにみていないのですが、どうも作品の幅は広いようですね。出品されていたものだけでもそれを感じました。 (2008年01月23日 20時16分16秒)

そういう会社があるのですね  
palpal さん
こんばんは。
新しい大丸ミュージアム東京、私も広さはそう変わらないと思いましたが、デパート内からのアクセスが楽になったのが嬉しいです。
水野美術館のサイトを見て、私もお庭が素敵でいつか行ってみたいと思いました。 (2008年01月23日 20時16分23秒)

水野コレクション  
あべまつ さん
こんばんは。
企画会社のお話は、興味深いですね。
なるほどと思いました。
水野美術館に所蔵された絵は、日本が豊かな時代だったことを知らしてくれるようで、
きれい、でした。
私は高山辰雄がお気に入りです。 (2008年01月23日 21時48分45秒)

大川の虹  
chat_noir さん
一村雨さん、こんばんは。
清方のもうひとつの作品《大川の虹》でした!ありがとうございます。画像まで、うれしいです。私もこの二人に見ほれました。

水野美術館は近いうちにぜひ行ってみたいと思います。あちこち行きたいとこばかりで困っちゃいますが・・・。 (2008年01月23日 22時33分23秒)

キリルさん  
一村雨  さん
私もこの会社の存在を知り、いろいろ
興味が沸いてきました。業界の仕組みも少し
分かったような気がします。
(2008年01月24日 06時09分22秒)

palpalさん  
一村雨  さん
前の大丸ミュージアムは、同じデパートといっても
ちょっと出かけるのに不便でしたね。
こんどはエスカレータで直結で行きやすくなりましたね。 (2008年01月24日 06時10分31秒)

あべまつさん  
一村雨  さん
私も高山辰雄に惹かれました。
昨年、物故されたあと、どこかで小さな
回顧展があったと思ったのですが、行きそびれました。 (2008年01月24日 06時11分43秒)

chat_noirさん  
一村雨  さん
水野美術館、行ってみたいですね。
東京から日帰りでも楽勝かもしれませんが。
(2008年01月24日 06時13分13秒)

Re:近代日本画 美の系譜     大丸ミュージアム  
るる さん
企画会社の話、面白いですね。
美人画は男性が描いた方が良い…との意見。深水を観るといつもそう思います。女性の“色香”は男性の方が熟知していますものね(笑)
ですが今回、私は松園に軍配。“夕べ”“かんざし”“汐くみ”の三作の女性像の違いに松園の奥深さを知りました。
菱田と観山も良かったです。 (2008年01月25日 07時25分10秒)

企画会社  
とら さん
昨年長野の水野美術館に行った時には、立派なコレクションと少ない観客のギャップに驚きました。今回の大丸展をみると会社の存在価値はあるといえるかもしれません。しかし地域格差がますます拡大する可能性もありますね。 (2008年01月25日 14時47分08秒)

るるさん  
一村雨  さん
深水、清方の絵にぞっこんでした。
松園、美人画よりも新国立美術館で見た花がたみの
狂気の絵は強烈に印象に残っています。 (2008年01月25日 22時43分14秒)

とらさん  
一村雨  さん
地方美術館がその入場収入だけで
経営していくのは、無理がありそうですね。
だから、こういう企業とタイアップして、
少しでも収益(と知名度)を挙げようとするのは
いいことかもしれません。

(2008年01月25日 22時45分00秒)

水野美術館展  
はろるど さん
こんばんは。金比羅シリーズ楽しく拝見しております。

さて水野美術館展ですが、また山種とは違った風情の日本画が見られて良かったです。私は美人画では一番に深水、そして松園が好きですね。

リニューアル後の新ミュージアムには、これからも期待したいです。 (2008年01月29日 20時27分44秒)

はろるどさん  
一村雨  さん
ここではじめて、水野美術館というステキな美術館を知りました。
長野だったら、小布施に行って、こちらに寄っての
日帰り旅行ができそうだなぁと考えています。

(2008年01月30日 06時22分58秒)

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