つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

全て | 徒然 | 読書 | アート |
2008年04月05日
XML
カテゴリ: アート
東山魁夷という日本画の巨人。彼の絵は子どもの頃から、
自分の意識の中に摺りこまれている。その原体験は、実は
国語の教科書だった。

中学生の頃、国語は大好きな教科だった。もっとも、特に
成績が良かったわけでもなく、実は3年間国語を教わった
新規採用の若い女性の先生にほのかな恋心を感じていたた
めである。だから、魁夷の白い馬の絵は、若かりし時の、
青臭い思い出でもあるのだ。

緑響く.jpg

先月、長野県信濃美術館に出かけた際も、入場チケットの

きると思ったのだが、残念ながらこの時には展示されてな
く、ようやく一カ月後に、東京で出会うことができたのだ。

さて、土曜日の10時に出かけたのだが、チケットブース
は、かなりの行列であった。中も混雑しており、残念なが
らそれぞれの魁夷の絵の前で、じっくりと対峙できる状況
ではなかった。次回、常設展に出展された時に、ひとつひ
とつ深く味わうことにする。

魁夷の絵のなかでも好きなのは、湖面に風景が映りこむも
のである。先ほどの「緑響く」もそうであり、他にも「萬
緑新」「映象」「夕星」など、多くの作品が今回も出展され
ている。


湖面に映る光景の方が、現実味を帯びているようなものも
あり、じっと見ていると虚実が分からなくなる不思議な感
覚に陥る。

京や奈良を描いた作品も好きなのだが、「日本の風景」のコ
ーナーでは、光悦垣に散る紅葉を描いた小品「秋寂び」が

いのだが、この絵を見るだけでも実際に出かけた気分になる。

「町・建物」のコーナーでは、「マリアの壁」がよい。聖母
と天使が描かれたヨーロッパの白い壁。こちらも人間こそ
描かれていないのだが、今までの風景画と異なり、人々の
生活に密着した感じが強く伝わる。それがヨーロッパの街
並みだというのもいい感じ。

夕星.jpg

1階のラストに展示されていた「夕星(ゆうづつ)」が印象
深い。魁夷の絶筆とのこと。暗くなりつつある空に輝く宵
の明星。何故か湖面にはその輝きは反映されていない。戦
争で失った家族を表した四本の木。魁夷は、日本画壇のい
ちばん星になったのだなぁと感傷に浸ることのできる絵。

2階は、唐招提寺の御影堂内の障壁画。いぐさの匂いが沁
みる。東博の唐招提寺展でも見た記憶がある。今回は最後
のこの展示で、彼の目指したものが何だったのかおぼろげ
に理解できたような気がした。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008年04月06日 21時54分11秒
コメント(6) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: