つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2008年12月28日
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カテゴリ: アート
セザンヌ主義.jpg


覧会ではなく、セザンヌに影響を受けた画家の展覧
会であるということが分かっていたので、過大な期
待は持たずに出かけたのが正解であった。


セザンヌについては、確かに一介の美術鑑賞マニア
にとっては、比較的地味な存在であり、他の画家に
比べると印象が薄い。ところが、絵を志す人や、画
家の立場からすると、とても偉大な存在だというこ
とがよく分かった企画であった。


ックスなものとなっており、セザンヌが目指したも
のについての解説など、素人にも分かりやすい展示
になっていた。

集められた絵の水準が低いという指摘もあるが、特
に、日本の画家たちの作品が多く、竹橋好きの自分
にとっては、満足の行く展覧会であった。

人物画のコーナーでは、モディリアーニのあの卵型
で傾いだ顔は、「青い衣装のセザンヌ夫人」などセザ
ンヌの作品の影響であることを知った。

とにかく、近代の画家たちは、多かれ少なかれ、皆、
セザンヌの影響を受けているのだ。ピカソのキュビ


日本人の作品には、愛知県立美術館の小出楢重の「N
夫人像」があった。この深みのある絵の前にしばし
足が止まった。

佐伯祐三の「パレットを持つ自画像」も、確かにこ
の文脈で見ればセザンヌそっくりだと気がついた。


なこの絵をはじめて観ることができた。セザンヌと
の関係はよく分からなかったが、この絵は実際に近
くで見ると実にアンバランスなことに気づいた。色
の線が踊っているという感じだ。

セザンヌの風景画といえば、「サント=ヴィクトワー
ル山」だが、せめてブリジストンの絵でも持ってき
てもらえればよかったのにと思う。

それはともかく、印象派の絵に、何とか堅固さを持
たせるために工夫したセザンヌ。それによって、印
象派のようなうっとりするような色彩は見られない
ものの、秩序があり、リズム感のある木々の緑は魅
惑的である。「森」など、そんなセザンヌの絵を楽しむ。

日本人画家では、版画家の長谷川潔の油絵「村の入
り口」や、北川民次の「海への道」などが興味深かった。

セザンヌといえば、もうひとつ頭に浮かぶのは、果
物や食器を描いた静物画。色彩豊富に、ひとつひと
つはしっかり描かれているのだが、どこかアンバラ
ンスな空間というイメージ。

中村彝の絵が4枚並んでいたのは嬉しかった。特に
「花」や「朝顔」の大胆な筆致の大まかな絵にはび
っくり。これはもうピカソの絵ではないかとも思う。
三重県立美術館の「髑髏のある静物」は良かった。
骸骨が机にもたれかかっているようだ。

この展覧会でアンドレ・ロートという画家を知った。
セザンヌ同様、「水浴」という作品があった。キュビ
ズムの作品である。女性の曲線と木々の直線が、リ
ズム感たっぷりに描かれており、全体的にミステリ
アスな雰囲気の作品になっている。この絵が、今日の
いちばんのお気に入りだ。





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最終更新日  2008年12月28日 09時49分07秒
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