つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

全て | 徒然 読書 | アート |
2009年02月13日
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カテゴリ: 読書
食べる西洋美術史.jpg


日本美術)について述べられた本。

食事の光景、宴会、食堂、レストラン、肉・野菜・
果物・缶詰などの食材、はたまた人肉食・・・
などあらゆる「食」に関する美術作品について
語られている。

アダムとイブが楽園で禁断の木の実を「食べた」
ことから、キリストの象徴である聖体のパンを
食べるというキリスト教の影響で、西洋では、

描かれていたとのこと。

日本にこのような「食」を真正面から描いた絵画は
あまり発展しなかったというのだが、それは考えて
みると不思議なことである。

食事というのは、人間にとっていちばん根源の
部分であるが、単に自らを生かすだけではなく、
逆に「死」を考える意味がある。さらに神や仏と
つながる意味もある。葬式のときの食事。神や仏
へのお供え物。直会(なおらい)の習慣。

本書で取り上げてられている死後の婚礼を描いた
ムカサリ絵馬の話。私も天童の若松寺観音堂で、

時には、強い衝撃を受けた。

子どもに先立たれた親が、あの世で幸せに結婚して
もらいたいという願いを込めて奉納した絵馬である。
一枚一枚を見るのが本当に悲しく切なかった。

著者は、「真の美術とは、美的鑑賞の対象などでは

思っている。」と述べているが、まさにこのことは
あの観音堂に立つと実感できる。

同じようなことを筆者はプロローグでも述べている。
「すぐれた美術作品は・・・・ときに悲しみに沈
んだ者を救いあげ、浄化する力をも発揮するので
ある。そんなとき、美術はもはや趣味的な鑑賞の
対象などではなく、宗教そのものに化していると
いってよい。」

いつかこういう作品と出会いたいと思って、私も
日夜、美術を追いかけているのだ。





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最終更新日  2009年02月14日 12時47分01秒
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