つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2010年07月19日
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カテゴリ: アート
入場者数40万人を突破した、空前絶後の展覧会。やはり大混雑であった。しかし2回目となれば、最初から人の列にまぎれて忍耐強く回るのではなく、見たい作品をグッと絞ることができるので、混雑にはめげることはない。

モネの「日傘の女」あたりは大混雑。ところが、端っこの「ロンドン国会議事堂」の前はなぜか人がいない。このサーモンピンクの陽光は、本当に美しい。私の中では、モネの作品の中でも「黄昏のベニス」と1,2を争う作品である。

点描画の新印象主義のコーナーも大混雑でするー。セザンヌのコーナーも同様だったが、「水浴の男たち」と静物画を見たかったので、ここは我慢で人込みに並ぶ。「水浴の男たち」の夏の雲と日差しがいい感じ。そういえば、関東地方も梅雨明け。ロートレックは、袋小路の一室で身動きがとれそうもないのでスルー。

ゴッホとゴーギャンを比べると、やはりゴッホの並びの方が、人の列が厚い。人気の差が歴然。でも、私はゴーギャンが好き。まだタヒチに行く前の細かい規則正しいタッチの作品がたまらない。「星降る夜」の手前のカップルの表情を確認したかったので、間隙をぬって、絵の前に。女はニコニコ笑っているが、男の表情は分からなかった。夜空に輝く北斗七星はいつ見ても美しい。

ポン=タヴェン派、ナビ派あたりにくると、最初から人込みに紛れて進んできた人々は疲れ果てたのであろう。人混みの混雑もだんだん解消してくる。そして、モローのオルフェウスあたりでちょっと厚い列。最後のスローで最後の気力を振り絞ると思う。

そこで今回のオルセー展の主眼は、このあたりを良く見ることに置いた。特に、ここのところお気に入りのヴァロットン。端正な自画像を含め、4点もの作品があるのだ。麦わら帽の少女の絵は、何度見ても素敵だ。この展覧会のヴァロットンは、調和のとれた作品が多いような気がする。

カルヴァリオの丘への道.jpg

ドニの作品は何と9点もある。「カルヴァリオの丘への道」。十字架を抱えるイエスにすがりつく黒い修道女たちの切々とした動作。誰一人として表情が読み取れないのも不思議。奥にはローマの兵士の軍団が見える。足元に咲く黄色い花が、我関せずと美しく咲いている。ナビ派の面目躍如たる作品。

モローの「オルフェウス」。ポスト印象派というタイトルから錯覚してしまうのだが、この絵が描かれたのは1865年。この展覧会の中で一番古い絵だ。印象派の名前の由来となったモネの「印象・日の出」は1872年。別にこだわることもないのだろうが、展示意図や展示方法など、ちょっと引っかかってしまった。もちろん、絵は文句のつけようもなく素晴らしい。

そして、ルソー。累々たる死体の山。合間からこめかみの鉄砲の傷穴から真っ赤な血を流す男の顔も覗く。日野日出志のアイデアの源はここにあったのかもしれない。そして、蛇使いの輝く両目にまたも呪いをかけられてしまうのだ。








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最終更新日  2010年07月19日 09時18分17秒
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