極上生徒街- declinare-

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矩継 琴葉

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2007.10.18
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カテゴリ: 小説

久しぶりにデモーニオ。

後半には、次回作のプロローグを載せましたのでどうぞ。
世界観は00ぽいですが、オリジナルロボットのバトルとサスペンス的要素を盛り込んでいく予定です。例によって、ひらめきだけで書きますw原点回帰ってやつ?w

で、最近は、サスペンスものがマイブームw

※一部過激な表現が含まれています。ご自身の判断でお読みください。

第1話 堕ちる闇 明ける未来
第2話 目覚め×サイン
第3話 接触
第4話 クロチェヴィーア
第5話 進展
第6話 救い
第7話 残滓
第8話 加速
第9話 遺志
第10話 最後の夢



 7時20分―


「何だこれは……」


 電話をかけても返答の無い須藤に痺れを切らし、林は須藤のアパートへ向かった。
 しかし、そこで林は異様な光景を見てしまう。
 敷地内に無数の血痕。塀で外からは見えなかったが、庭に住人と思われる無数のバラバラ死体を見つけた。遺体の数からして、ほぼ全員と見て間違いない。
 だがそこに、須藤の遺体は見つからなかった。
 林の脳裏を嫌な予感がよぎる。
 異様な光景に吐き気がこみ上げてきた。だがそれを堪え、本署に連絡し警官を手配し、川澄から聞いた須藤の部屋、203号室へ突入した。
 須藤の姿は無かった。
 代わりに、大きなタイマー付の筒と、開け放たれ押入れの奥から爆弾の材料と思われるものを発見した。 
 以前に、東京都で似たようなもので鉄道を爆破しようとした男が捕まっていた。そのとき、資料として署に届けられた書類に記載されていた写真と同様の材料だった。
 さらに、夥しい量の血痕が付着した衣類とナイフ。嫌な予感が確信へ近づく。
 そしてタイマーは、ゆっくりと時を刻んでいた。間違いなく爆弾だ。
 残り2分。処理班を呼んでも間に合わない。
 林は出来る限りの証拠の品を手にすると、外に飛び出した。階段を駆け降りる。


「あ、林刑事ですか?」


 アパートの門のところで、近くの派出所の警官と思われる男が声をかけてきた。答えている暇は無い。林は警官に飛びつき、地面に押し倒し、頭を低くした。
 次の瞬間、落雷の如き音とともに、アパートの側壁や屋根、ガラスの破片などが霰の様に降り注いだ。


「な、何事ですか?!」


 状況を理解できない警官。顔がすすけ、メガネがずれている。
 林は答えずに、「消防車と救急車、さらに応援の手配をお願いします」と伝えると愛車に乗り込み、走り去った。


(くそっ! 須藤が行方不明にアパートの住人惨殺事件、そして爆弾……どういうことだ!)






 私の意識は薄れようとしていた。
 その間も、あいつはどこかへ向かっていた。
 まだ朝の7時30分前で、道を学生や会社員がまばらに歩いている。
 はっきりとは分からないが、徐々に人が多くなってきている感じがした。


「どこに向かっているか知りたいか?」


 あいつが話しかけてきた。
 もう一人の俺が……。


(お前は何を考えている!? 一体、何をするつもりだ)


「はぁ……ホント、お前と話すとシラけるわ。人を殺すんだよ、もっと、もっと、もっと、もっと、もっとな!!」


 酔いしれた声であいつは答えた。
 その狂気に満ちた主張を私は見ていることしか出来なかった。
 完全に支配され、体を取り戻そうと抵抗してみたが、強すぎるあいつの意志に勝つことは出来なかった……。
 徐々に増えていく人の波。
 脇を通り過ぎるバスとタクシー。
 高いビル群に、ビジネスホテル、漫画喫茶。
 あいつが向かっている場所が分かってきた。
 《城山駅》だ。


(待て! 何をする気だ!? これ以上はやめろ!)


「……残念。もう遅いよ。俺は特等席で《観戦》しに来ただけだ」


(どういうことだ!!)


 あいつは答えなかった。
 人ごみを避けるように進んでいくと、駅の脇にあるビルの中へと入っていった。エレベーターに乗ると、9階まで上がり、カフェに入った。奥へ進み、窓際の席に腰を下ろすと駅が見下ろせた。
 しばらくして、腕時計を見ながらカウントダウンを始めた。



「10、9、8、7――」


(何をしている! 答えろ!)


 時計は7時30分の6秒前を指していた。


「6、5、4、3、――さぁ、幕開けだ!」


 そして目の前に、映画で見たことのある風景が広がった。

 大型トラック同士が激しく激突したかのような轟音と振動があたりを振るわせた。と、同時に駅舎が業火に包まれ、割れたガラスがダイヤモンドダストのように吹き飛び、火達磨となった人々が転がり出てきた。飛び散ったガラスや駅舎の破片に巻き込まれた人々も多数確認できた。
 史上最悪のテロ事件だった。





 林は車を飛ばし署に向かっていた。
 急いでこのことを川澄に伝えねばと思っていた。
 しかし、どうしても理解できなかった。いや、理解しようとすれば理解できた。
 須藤が犯人と解釈すれば。


『川澄だ、林どこにいる!』


 川澄から、突然無線が入った。
 急いで左手で取ると応対した。

「はい! 林です。 今、署に向かっています」


『爆破事件が起きたのは知っているか?!』


「危ないところでした。須藤の部屋に――」


 林の言葉を割って川澄が答えた。


『違う! それではない! 何者かによって、城山駅が爆破された!』



 林は背中に酷い寒気を感じた。
 ……須藤は事件に関わっている。


<第12話に続く>

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 母なるキャンパスに描かれたのは調和では無かった。
 幾重にも重ねられた色は互いを拒絶し、漆黒へと変わった。
 やがて、筆だけでは描けないと気づいた者たちは、自らの手を使い激しく罪を塗りあう。
 しかし闇の中で、いくら足掻こうとも意味がないことに彼らは気づかない。いや、気づいているのかもしれない。だが彼らは自分たちの矜持を曲げようとはしない。紳士と言う言葉で片付けるには、あまりにも滑稽すぎる事実としっていようとも。
 繰り返し、繰り返すのは、定められた運命なのか。
 人類は歩を進めながらも、ADO(Armoura Doll Ordnance=人型自在兵器)という新たな殺人兵器を生み出すことしか出来ず、人類は未だメビウスの輪から抜け出す術を知らなかった。
 そして、歴史は繰り返される。



 2079年、3月15日、0400時。



 IME(Independence Middle East=中東独立国)へラート・NEU(native European Union=ヨーロッパ人民共同体)基地。


 「け、計器異常なし! い、いつでも行けます!」


 格納庫前で待機する人型の有人ロボットで、飛行機能を持ったADO-010Fのコックピットでジャンは震えていた。密室と貸したコックピットは空気が淀み、四方から押しつぶされう感じがする。操縦桿を握る手は異常なほどに震え、額を汗が伝い、フィンガーレスグローブの中は汗だくである。
 ……フランスに帰ればよかった。
 そう思わずに入られなかった。


 『――ジャン、落ち着けと言うのは無理かもしれないが、家族の為だ。腹を括れ』


 ADO-010EFの脇で同じく待機する、陸戦型のADO-003ESに搭乗したジュリオが声をかけた。
 こちらはジャンは違い冷静そのものである。
 元イタリア軍出身のジュリオは、第三次、第四次中東大戦に出撃した戦歴を持ち、終戦にも大きく貢献した。戦争を経験している意味でもジャンとは違う。
 現在はNEU軍の大尉で、ジャンが所属する第01特務部隊の部隊長である。



 「わ、分かってます。これは、故郷を守るための作戦ですから」



 強がってみたものの、声の震えが拭い切れていない恐怖を示す。
 無理もない。演習や暴動鎮圧などで幾度かは出撃したが、戦争、対人、対ADOは未経験だ。見えない、見たことのないものに畏怖の念を抱くのは人の佐性だ。それが人だ。



 『残り1分で出撃よ』


 ADO-003ESの隣りのADO-013EBに乗るクラウディアが二人に告げた。
彼女はドイツ出身の軍人で、モデルのような体系にキャラメル色の長髪の美人である。しかし、見た目めとは逆のどっしりとした物腰で、搭乗する砲戦型のEBと重なる部分もある。凛とした姿は本当にモデルのようだ。
 クラウディアは、既に覚悟を決めている。曽祖父が、祖父が、父が、兄が、軍人として生きてきたのを見てきた。生まれてきたときから、すべき事は決まっていた。引く気は毛頭なかった。
 コックピットの中へ持ち込んだ家族写真を見つめ、そう確認した。 


 「了解しました。……カウントダウン始めます。50――40――」



 『ジャン、クラウディア、よく聞いてくれ。もう一度、作戦について説明する。この作戦は強襲だ。故に、友軍は少ない。苦戦を強いられるだろう。だが、ここで引くわけにはいかなない。何としてでも、《核弾頭》を見つけ出し、速やかに発射を阻止しなければならない。いざとなれば、その身を犠牲にする覚悟で頼むぞ』


 すーっと、ジャンのコメカミに汗が流れた。
 震えに慣れてきていた。覚悟が麻薬となってくれる。



『「了解!」』



「――10秒前、9、8、7、6、5秒前、4、3、2、ADO-010EF出撃します!」


 ジャンが出撃するとジュリオ、クラウディアと続いていった。
 飛び出た闇夜は、いつもよりも暗く、雪が舞っていた。
 視界は、最悪だった……。



<第0話終了>

「ダメです! ミサイルは、阻止限界点を超えました!」

「業で業を償えと言うのか!!」

「第二幕の開演です。観客は……奴隷の皆さんです」

「確たる証拠はない。だが裏があるのは掴んだ。大統領は何かを隠している」


「手土産を持って亡命? 随分と気が利くな」

「……そこまでして、何を守りたい? 何を隠そうとしている?!」

「子供が泣いていました。両親を殺されたからです。だから泣いていました。でも悲しいからではないです。復讐できる力がなかったからです」

「ひゃはははは! 高速戦闘じゃ、こいつには勝てねぇよ!」

「ならば教えてみろ! 信じた悪を! 悪になってまで貫いたものを!」

「厳しすぎる。隠蔽されている事実が、それほど重いと言うことか?」

「どうしろっていうんだ! クラスター爆弾の雨が降ってるんだぞ!」

「そろそろ、あの国も食わねばな」

「母国が謀反したならば、それが正義だ」

「ミニットマンVが発射されました!」

「……首都が……消滅しました」






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最終更新日  2007.10.18 23:01:13


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