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子供の成長は早いものですね。数字とアルファベット、カタカナをほぼ制覇して、いよいよひらがなを覚えさせようかと思っていたこの頃。息子がガレージのクルマを指差し「ベントレー」とつぶやいた。35GTRは「ジーテーアール」と、アルファベットを覚えた1歳半の頃から言えたのだが「ベントレー」は今まで言えたことも言ったこともなく、月日が経つことが早いことと、いかに子供の吸収力が凄まじいかを再認識させられた。世界では失業率と無縁ではない痛ましい事件がたくさん起きている。カオスから抜け出そうと積極的に動くと、また世界のどこかで光と影が生まれ新しい火種も生み出される。人間が積み上げてきた歴史そのものだ。そのことを憂慮すれば「ただ憂慮しているだけでは何も変わらない」ビジネス・シーンでは必ずそう言われる。確かにそうだろう。しかし、動く時に必ずその背景には利潤が付きまとい、利潤のあるなしで趨勢が決まることが光と影、そしてやがては影が闇となる根っこになっている。これからも日本だけでなく世界全体の社会情勢や治安は更に不安定になっていくことが予想できる。正直、僕ももう世界を回ることは卒業しようかと考えているほどだ。おそらく、世界を回って仕事をしている人間の8割くらいは何らかの身の危険を感じたことがあると思う。世界を回って仕事しているのに、もしそれを一度として感じたことがないとしたらそれはただ鈍感なだけか、あるいは危機意識がないだけでしかない。危ない地域だと解っていても日本が資源を調達するためにそこに行かなければならない人たちがいるから僕たちは日本で資源を安定供給されている。その代償として燃料が高騰する時もあるがそれはある意味至極当然のことだ。以前も日本国籍のタンカーが襲撃された時に似たようなことを書いたが、日本人は今の日本の安定、さらには日本の未来の姿をどう考えているのか明確に答えられる人間が少ない。日本だけがどうであるかだけでなく、世界情勢、地球情勢、いや、地球環境というべきか・・・まで見通したヴィジョンを持っていない。リーダーシップを発揮しなければならない国家の宰相はそもそも自国の利益を最優先にしか考えない立場の人間である。この立場にいるべき人間などいらないと言うつもりは毛頭ない。必要ではあるがこの立場とは別の世界や地球サイズの視点で日本と他国が協調してやっていくこと、成すべきことの旗振りができる新しいリーダーが必要な時代が来ているのではないかと思う。そういった機関や人間が機能できるようにシステムを構築しなければ世界情勢は5年もあれば深刻な状態に陥っていく可能性がある。5大国のための国連では責任を持って動くという部分で脆さがある。しかし、治安維持という側面から考えた場合国連抜きの枠組みは非現実的だが、現状はしっかり機能しているとは思えないので国連がその役割を果たすのであれば、国連の構造改革も必要だろう。まだまだ利益を生み出せる可能性を多分に秘めたアジアやアフリカ、南アメリカは有益な未開発地域や有効な地下資源を埋蔵している地域があり、そこを中心とする格差が新たな火種を生みかねない状況にある。日本であれば尖閣諸島はもちろんだが、日本の安定に直結する南沙諸島海域なども覇権争いが続けられているエリアで、日本が安定を欲するのであれば今すぐやらなければならないことが山ほどある。しかし、日本が安定を欲すればその裏では、また新しい軋轢を生み光と影を生み出してしまう可能性があることは容易に想像できる。この時代に生まれてきた息子に必要な智慧を授けなければならないことを痛感している。ただ賢く、物知りにするための知識ではなく、正しく使うことが出来る智慧だ。正しく使うことが出来ない知識は意味がない。知識を正しく使って智慧とする。ここが一番重要な部分だ。できるだけ自然体で育てたいと思っているが甘やかすわけにはいかない。とはいえしゃかりきに帝王学を押し込むつもりは全くない。自由に伸び伸びと明るく育ってほしいというのが僕の願いだ。トミカやレゴ・ブロックで一緒に遊んでいるときの息子はとても明るく屈託のない笑顔を放つ。日本の未来を担うのも子供たち。そして世界や地球の未来を担うのも子供たち。よく言われることだけれども地球上の最も重要な資源は本当はこの子供たちなのだ。そのために僕にやれることはなんでもやる。息子を見ていると強くそう思わされる。
January 23, 2013
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コリアは行きません。来年のチャイナもキャンセルです。欧州では日韓共催のワールドカップが開催された2002年から最も行くべきではない国の上位にコリアとチャイナを挙げていて今でもそれは大きくは変わっていない。日韓共催のワールドカップの時に欧州の某有名誌が有名人のコメントを掲載して世界に衝撃を与えた。「日本ティームの活躍が賞賛されることはあっても、韓国ティームは活躍ではなくスポーツの冒涜であり恥じである」これは原文を端折って訳しているので正確にはもっと長く、辛辣な語調で書かれているが韓国で試合を行った国のほとんどが似たような印象を口々に挙げているのだ。中国もしかりで最もスポーツマンシップやフェアプレイの精神が乏しい国とヨーロッパのほぼ全部の国々が公言している。これはある意味ものすごく恐ろしいことである。身の安全という意味では竹島問題や尖閣諸島の一件でもはや韓国中国への渡航はブラジルへ渡航することと同じくらい危険であると思われる。いや、それ以上か?ここに掲載したのは鈴鹿のパドッククラブの写真。雰囲気をつかみやすいように一番利用客の少ない金曜日に撮影したものを使っている。3日間で45万円のプライスがつけられている豪華な空間と料理飲料とサーヴィス。サーヴィスに携わるのは全て外国人。しかも女性であっても重いマグナムのMummを片手でフルートにサーヴィスする。土日ともなればF1開催時は食事をするにも長蛇の列に並ばねば空腹を満たすことさえ難しい環境下でこのパドッククラブは金土日とも違う食事がコースで用意される。ただし、土日はパドッククラブも大盛況(開催国によって異なる)で鈴鹿の決勝日の混雑は開催国の中でも上位に入る。それらを仕切っているメートルたちは少ないスタッフをコントロールし、とても秀逸に滞りなくサーヴしていく。この点から言えば3つ星レストランを動かすメートルと比較してもその実力は相当なものであると思う。さて、ここからが本題だが、F1のようなコンチネンタルサーカスはある種の間仕切りがあって、どの国に行ってもパドッククラブには同じような空気が流れているが一歩サーキットから出るとそこには日常がある。バレンシアやスペインしかりブラジルしかりで、バレンシアやスペインではスペイン全土というよりヨーロッパ全土から集まってくるかのような高度な技術を持ったスリと知恵比べをしなければならないし、ブラジルでは凶器、特にハンドガン携行の強盗たちに対する対策を講じ万が一のシミュレーションをしておかねば命の補償はない。今はフランスでの開催がないがフランスやイタリア、ハンガリーでの開催もスリ対策に関しては程度こそ違え似たようなもので日本ほど治安が安定している国はない。まァ、シンガポールもそれほど悪くはないが、危険な地域はある。コンチネンタル・サーカスを回るというのはそういうことで、竹島問題や尖閣問題など政治的な絡みがなくても危険な国はたくさんあるので、それほど驚きはないのだが政治がらみの暴徒や犯罪対策は予測や認知が複雑になるため、回避できるのであれば回避することがベストである。色々と考え、僕の場合は今回はキャンセルし、26日のニューデリーから帯同する。それまで色々な検証が出来そうだが、セバスチャン・ヴェッテル逆転チャンピオンのシナリオは変わりそうにもない。
October 10, 2012
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今回やる気がなかったとか言われているけれども、これだけレッドブルのマシンが良くなっていればモチベーションが下がるのも無理はない。今までマクラーレンが築いてきたアドヴァンテージはもはや皆無に等しい。この次期において、こんな逆転現象が起これば少なくとも即座にどうすれば良いかの判断は難しい。それを考えれば失点を最小限にしてフェルナンドとの点数差を縮めたことはむしろ評価すべきことであると思う。コリアでどれだけルイス&マクラーレンがアジャストできるかがチャンピオンシップの行方を大きく左右する結果になると思う。逆転でチャンピオンが決まる・・・と僕は断言していたけれどそれはルイスではなく、逆転するのはセバスチャン・ヴェッテルになった。レッドブルが地道に施してきたアップデートはここに来てブレイクした。そのセッティングに試行錯誤していた風景が金曜のセバスチャンの迷いに僕には映ったのだと思う。おそらく、レッドブル&セバスチャン&マークは鈴鹿以外のコースまで想定してセットのフィーリングを確かめている可能性がある。そうなるとアップデートが遅々として進まないフェラーリは無策に等しく成す術さえない。逆転でセバスチャン・ヴェッテルが3年連続で戴冠し、フェルナンドのチャンピオン回数を上回るという筋書きが濃厚だと僕は思っている。
October 8, 2012
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トップタイムはマーク。レッド・ブルの2台はまだまだいけそう。特にマークは今回ツボにはまっていそうに見えた。リズムも良く鈴鹿のポイントとなる1コーナーからダンロップを経て、デグナー1までのリズムが良い。タイムはライヴァルの目を意識してセーヴしていたんじゃないかと思うくらい。明日の路面コンディションや気象条件が今日と大きく変わらなければポールはマークじゃないかと思う。 フェルナンドを独走させないために気をはかなければならないこの方は今回微妙な感じがする。レッド・ブル勢の方が一枚上手だが、マクラーレン最後のシーズンなので彼としては結果を残したいはず。今回は厳しいと思うが路面温度次第ではマクラーレン有利に働くこともありそう。 セバスチャンの初日はマークと比べるといささか迷いが感じられたように思う。おそらく、1コーナーからデグナーまでの区間タイムが気に入らないんじゃないかな。もっとここで詰められればライヴァルに対しアドヴァンテージが築けるはずだから。多分、明日までにそこをアジャストできるか否か。今季はタイアの空気圧だけでそのあたりのアジャストが決まることはないので色々探っていると思う。 う~ん、正直なところフェルナンドは解らない。フェラーリにとって鈴鹿はそんなに良くはないが悪くもない。ただし、オーヴァーテイクに使えるはずのデグナー2からヘアピン、さらにスプーンまでの流れというかつないでいくリズムがあまり良くないように見える。見えるだけかもしれないが・・。多分今回は我慢強く走ってタナボタがない限りフェラーリの可能性はない。
October 5, 2012
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今日鈴鹿に出発します。今年を最後にしようかと思っているこのごろ。来年以降は仕事を少し減らして子供のための時間を取ろうと考えています。まァ、最終的には僕一人の考えでどうにかなるわけではなく、ずっと支えてきてくれた多くの友人やイタリアの友人、更には今まで多くの仕事を依頼してくれたクライアントや多くのスポンサーの意向も確認する必要はある。開発も結局は自分自身の判断だけではない。いや、まだそのレヴェルで仕事が出来るエンジニアや開発者は幸せだ。それまでに大きな資金が動いていることを踏まえれば自分ひとりの考えだけで身を引いて簡単に穴を開けてしまうわけにはいかない。ベントレーが開発しているGT3のレースカー製作も非常に楽しみなトピックスだ。こういう良いニュースは世界のレースシーンだけでなく経済への波及も大きい。F1だけでなWEC/Le MansやFIA-GT、そして日本のSuper GT、ドイツのDTMなどが頑張って自動車産業を牽引し、既存技術の延長線上だけに留まらない技術開発の追究を続けて欲しい。僕は専門が「自動車」ではないのでこの点に関しては自動車関連のエンジニアに委ねるしかない。航空宇宙技術が船舶や自動車に転用され、またその逆も頻繁に行われ技術の境界線はなくなってきているがマーケットの規模や動くマネーの総額においてやはりそれは歴然とした格差を生み出しているのが現状。いままでは企業利潤のための技術開発が根幹にあったが今はそれだけで企業イメージを確立し利益を上げるのは至難の業だ。人のため、国のため、世界のため、自然のために何が出来、何を提案できるのか?先に先進国になった国や、先に権力や資金力を持った者たちの価値観をいかに塗り替えていくことが出来るかにこの星の未来はかかっている。できないとか、そんなの無理と嘆いている時代は終わった。自分さえその気になれば短時間でいろんなことをそれこそ一瞬で変えてしまう時代なのだ。これからはそこに全てを懸けて生きようと思う。あとは少しでも空いた時間を子供のために使いたい。次世代を担うのではなく、次世代を拓き新しい社会に生きる人間を啓いていく人間に鍛え教えるのが父としての僕の役割だから。まずは明日、息子に今まで見たことのない最高峰のコンペティションの真髄を体験させる。彼は今まで観客席からそれを見たことはあっても、まだPitやパドックに入ったことはないのだが母国でのGPではそれを間近で見せようと思う。彼がこの体験で何を思うか、それはまだ解らない。でも次世代のへの息吹への種は確実に撒かれる。それがどんな色の、どんな形の花を咲かせるのかを僕は楽しみにすればいい。
October 3, 2012
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ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツを何事もなくオーヴァーテイクしていくクルマは量産車では恐らく今のところ1台しかない。ブガッティ・ヴェイロンは量産車と呼ぶには微妙なのでこれは除く。このヴェイロンを除けばランボルギーニ・アヴェンタドールだけだろう。アヴェンタドールはベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツに輪をかけて恐ろしいマシンだ。アウディというバックボーンがあってこそ実現した新世代のハルデックスカップリングを用いた最新のフルタイム4WD技術はもちろんのこと、アウディ傘下に入ってランボが革新したのは4WD車の軽量化技術である。6.5リッターの排気量を持つV12を搭載しているにも関わらず、カーボンやアルミなどを多用したボディはこのサイズながら1.6t程度に抑えられている。ランボにとってもはやフェラーリはパフォーマンス上の敵ではない。サーキットのアタック・ラップでは良い勝負になるコースもあるだろう。しかし、ワインディングや市街地、スノーロードなど一般道のあらゆるコンディション下で素晴らしい順応力や適応力を見せるスマート・スーパースポーツはランボであり、そのフラッグシップであるアヴェンタドールも例外ではない。まァ、このあたりをフェラーリが昨年だったかチクリとつついた。ランボルギーニを名指ししたわけではないが、フェラーリは最先端の軽量化技術で一昔前には考えられない軽量化を実現したランボとマクラーレンに対して牽制の意味合いを含めた発言を行っている。カーボンが疲労限界を迎えたときにどうなるかのデータがまだ充分ではないため、フェラーリでは積極的にカーボンやアルミなど異なる材質のものを市販車にふんだんに投入してまで軽量化することはしない、と言明したのである。僕はどちらの考え方も間違ってはいないと思っているので、この件に関して白黒つけるつもりはない。しかし、こういったコンストラクターやメーカーの主義主張に至るまで細部のディテイルを理解して乗ることがこのクラスのクルマのオーナーには要求されるから昨夜冒頭書いたように「F12に3,590万円投資するか?ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツに3,150万円投資するか?この領域になるとかなり明確な価値観や哲学、美学が購入の動機になる」という言葉につながっていくのである。さて、アヴェンタドールに話が逸れたが、もう一つだけアヴェンタドールの話題。アヴェンタドールは7速のISRという最新型のトランスミッションを有している。アヴェンタドールが最先端の4WDとして抜け出しているのはこのISRも強みの一つだが、これと比べるとベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツのミッションは少々古さが否めないZF社製のクイックシフト6速オートマなのだ。スロットル踏みっぱなしでも走れるオートマ車でサイドウェイに持ち込み立ち上がってくるマシンなんです!!昨夜も書いたがベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツの弱点は重すぎることだが、その堅牢なボディはこの馬力を受け止め、さらにサイドウェイさせようともヤレることはない。まさに剛健。フェラーリではこうはいかない。昔から比べればフェラーリのボディ剛性はかなり上がってきているが、いまだ物足りなさを感じずにはいられないシチュエイションはかなりある。昔はブッシュ類のメンテを怠ったりすると簡単にボディにクラックが入ってしまう個体さえあった。コンピュータによる解析を駆使できる時代が来たがフェラーリはこの部分だけはまだ不十分だ。ベントレーといえば紳士淑女のためのGTという位置づけやイメージが日本では先行していますが本来そのポジションにある王道はロールスロイスであって、ベントレーはルマンを始めとするサーキットで勝って自らの歴史を作ってきたスポーツカー・コンストラクターの色合いが強いと僕は思っています。いや、それがベントレーの真実です。なので、ベントレー・コンチネンタルのシリーズのラインナップからベストな1台を僕が選ぶなら必然的にベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツになるワケです。ちなみに、35GT-Rや35GT-RスペックVでも鈴鹿や富士で同じことを試してみた。無論、35GT-Rでも出来るのだが何故かときめかない。やはり、オートマのベントレーをサイドウェイさせている!という刺激に勝るものはない。ただし、タイム的にはこの走りは決してよろしくないことは予め申し添える。タイムにこだわるなら徹頭徹尾グリップで無駄を削ぎ落とすのがベントレーでも定石だ。こいつは近年購入したマシンの中で抜群の文字通りスーパースポーツです。ドイツの血が混じって更に侮れなくなった。アヴェンタドールも良いが、今のところはこいつと徹底的に付き合っていこうと考えている。ショックやサスなどの足回りをどうしようか・・・とも考えているが、この手のクルマはノーマルの状態で極限まで使いこなしてナンボです。マンソリー仕様とか色んなサードパーティもありますが僕自身は正直あまり興味がありません。ベントレーはそもそもコンペティションで磨かれた技術でクルマを仕上げているのでノーマルの状態で極限までスポーツ・ドライヴィングを楽しみ尽くし、そのクルマとある種の涅槃にたどり着くまで徹底的に向き合う。共に涅槃に辿りついたら新しい刺激を求めて新しい車両を増車する。それが僕のポリシーです。かなり前置きが長くなってしまった。息子の初ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツ体験に話を戻そう。ルックスからは想像できないちょっと低めのW12のサウンドがアイドリングを始めると彼は「お~っつ!お~っつ!」と感嘆の声を上げる。他のエンジンの音域とは明らかに違うので彼はこのサウンドに高揚して(?)いる可能性もある。走り始めてから、本格的にという表現より凶暴なという表現の方が適切なトルクが立ち上がってくる3,000r.p.m前後になると彼は目を見開いて乗っている。しかしながら、4秒未満で0-100km/h加速を実現する瞬発力と強靭な加速力のなかでも彼は恐怖を感じているようには見えない。笑顔なのだ。むしろその先へいけ!とワクワクしながら楽しんでいるようにさえ感じる。いや、事実彼は楽しんでいる。終始、笑顔なのである。恐るべし・・・である。息子ながら恐ろしいと感じた瞬間だった。ワインディングとストリートでベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツを楽しんだ彼は停車中のコクピットに座りたがった。いや、これは正確な表現ではない。ドライヴァーズ・シートに立った。ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツは意外とヒップ・ポイントが低く、まだ彼の身長ではスティアリング・ホイールよりも上にはいかず、フロント・ウィンドウから正面を見るにはシートの淵に立って乗るしかないので、ちょっとしたフラストレーションが溜まるらしい。要するに僕と同じポジションで乗りたい欲求があるらしい。そんな彼のために僕が色々と探し回り見つけたのが写真のこのクルマである。座面自体は低いがスティアリングを握ろうとすれば座るポイントが前に来るのでこれなら彼でも若干だが前が見える。彼はとても嬉しそうにスティアリングを切り、シフトレバーをカチりカチりと動かす。写真でも解るようにこれだけ細かく動く。とにかく僕と同じように操作したいという欲求が芽生えているらしい。ドライヴィング中の僕の動きを良く観察しているから何をどう操作すれば良いのかまで彼は充分に分かっている。ワイパーまで動かせるし、ターン・シグナルも出せる。しかも偶然操作できるのではなく、雨が降っている時にクルマに乗せるとワイパーを動かすのだ。その知能は一体どういう種類のものなのか僕には見当もつかない。彼の次の夢はおそらくベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツを自分でドライヴィングすることなのではないかと思うが僕としてもそんな簡単にベントレーに乗せるわけにはいかない。まずはその前に35GT-Rの壁を越えてからの話だ。彼が35GT-Rをどう乗るのかが今から楽しみでならない。
September 13, 2012
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息子は念願かなってベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツの助手席に乗った。息子の圧倒的な熱意に僕が負けた形となった。彼の熱意たるや半端ではない。パッセンジャー・シートではなく、ドライヴァーズ・シートに座らせろと要求してくる。とにかく座らせるまではベントレーから降りようとはしない。もはや35GT-Rは彼にとっては過去のクルマになってしまった。イタリアから帰ってきてからは僕の手を引いてベントレーの前に連れて行く。これじゃないとダメだ!といわんばかりに。一歩も引かない思いの強さはあらゆることを成就する上でとても重要なファクターなので僕はとても嬉しく感じている。十番界隈でもベントレー・コンチネンタルGTはよく見かけるが、ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツになるとなかなか出会うことはない。コンチGTは458イタリアの新車よりも400万円ほど安価なのでベントレーをあまり知らなくても、あるいは熱狂的なベントレー・ファンじゃなくても踏み込んでいけるモデルだが、スーパースポーツはフェラーリの最新鋭458スパイダーよりも高価で、最新鋭の12気筒モデルF12ベルリネッタと比べてもおよそ400万円安価に収まる程度だ。すなわち、F12に3,590万円投資するか?ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツに3,150万円投資するか?この領域になるとかなり明確な価値観や哲学、美学が購入の動機になる。だから、ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツはよほどベントレーというクルマが好きか、このクルマを選ぶ明確な理由がなければ買おうとは思わないクルマだ。そういう意味ではクルマ好きの目をかなり引くクルマなので下手なことはできない。だから街乗りは常にジェントルなドライヴィングを実践できるブレないモラルやマナーも持ち合わせていなければならない。言い換えれば、ストリートで安易なドライヴィングは許されないクルマで、試すならクローズドに持ち込んで余すことなくW12ツゥイン・チャージド・ターボの異次元体験をすべきクルマだ。そうすればコンチネンタルGTとスーパースポーツの間にある600万円の価格差がどこにあるのかをドライヴィング・スキルの高いドライヴァーならばハッキリと感じることが出来る。これは差という表現ではなく、壁という表現を用いたほうが適切であるように思う。ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツとコンチネンタルGTは似て非なるもの。911GT3RSと911GT3の違いではなく911GT3RSと911ぐらいの厚くて高い壁だ。コンチネンタルGTはあくまでもGTであり、ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツはその名の通りスーパースポーツである。サーキットでバトルすればその違いは明白で、ドライヴァーの腕が互角ならコーナーを3つ抜ければかなりの差が開く。一旦差が開いたら二度とその差を詰めることはできないほどの決定的な差である。無論その差に由来するのは馬力やトルクがベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツのほうが上という部分や、補強された上で軽量化された堅牢なボディを持っている部分は否めない。ベントレー・コンチネンタルはスーパースポーツもGTも共にトルクスプリット型の4WDではなくバイアストルクであり前後の駆動配分は終始固定だ。どちらも6速オートマティックで強大なトルクを路面に伝える。35GT-Rのように無段可変するトルク・スプリット・スタイルのハイテク4WDが主流の昨今、言い方は悪いが骨董品と思えなくもない。実際、かく言う僕も最初はそう思っていた。実際にクローズド・コースに運び込みアタック・ラップを繰り返すまでは・・・。しかし、乗ってみてその考えは一変した。「こう来たか・・・」と思わずにはいられなかった。このベントレーが心底おもしろいと感じる部分は例えば鈴鹿の130Rや、富士のコカコーラで若干オーヴァー・スピードによるアンダーが出た場合も荷重移動をしっかり行い、落ち着いて適量のスロットル・オープンをすることにより自在にドリフトさせサイドウェイ状態に移行させることも可能なのだ。安定指向の4WDではなく積極的にコーナリングを楽しめるようにセッティングしている。もはや、かつての悪路で安定性を追究するための4WDシステムはどこにもなく、よりトルクとパワーを使い切るための絶対条件としてのパワー・トレーンなのだ。その代わりといってはなんだがクローズドを本気で攻め込むとその重さも災いしてミシュランは4輪とも半日でライフが終わる。違う銘柄のタイアも何種類か試してみたがライフは大きく変わらない。しかし、日常使用でタイアに頼りきった走りをしなければ、タイア・ライフはそんなに短くはない。また、クローズドを攻めると見えてくるのがコーナーやストレート以外のまったく目を向けないようなポイントでの身のこなし、いや調教といったほうが良いか?がベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツはピカイチだ。クローズドに持ち込んでバトルすれば耐久レースでなければフェラーリ599もガヤルドもアウディR8もアストン・マーティンDB9もベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツの前に出ることは簡単ではない。先ほども書いたがドライヴァーの腕が互角なら前に出られる可能性があるとすればベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツのドライヴァーがミスをした時だけだ。ただし、耐久レースだと重さが災いしてタイアが早く終わるので勝負にならない。低ミュー路の耐久レースなら話は別だが・・・。なので、ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツの弱点はその重さである。続く・・・
September 12, 2012
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後半戦に入り、やはり今年のF1もある程度想定内に収まるようになってきました。アジア・ラウンドはそんなに多くのウィナーは誕生しないでしょう。シンガポールからアブダビまでの5戦で生まれるウィナーは荒れない限りせいぜい2人か3人。チャンピオンは逆転で誕生する可能性が濃厚です。ただし、少しばかり覚醒が遅かったので追い上げは届かない可能性もあります。その場合はフェルナンドが逃げ切る可能性がありますが、僕の私見としてはフェルナンドが常に2位の15ポイントを獲得するのは難しいと考えます。特にフライアウェイの2連戦、アメリカとブラジルはフェラーリのマシンはかなり苦手とするコースと思われます。ここで崩れる可能性が高いのでフェラーリ&フェルナンドはアブダビまでにチャンピオンを決める必要があります。しかし、今季の難しいところはランキング2位から4位までの得点差が2点しかない部分。キミ・ライコネンやセバスチャン・ヴェッテルもフェルナンドに届くかどうかは解らなくても1つでもランキングを上げるためにしぶとくポイントを積み上げるはずで、市街地などで失敗する可能性が高いフェラーリ&フェルナンドは一気に大量失点を重ねる可能性が出てきます。もはや失うものは無いマクラーレン&ルイス、ルノー&キミ、レッドブル&セバスチャンは思い切った戦略で望んでくる中、フェラーリ&フェルナンドは3ティーム、3人のドライヴァーにアジャストした戦術を考案するのはまず不可能。3人のうちの誰かには前に行かれてしまう可能性が極めて高く、チャンピオン争いはこれからが正念場。マクラーレン&ルイスの速さから逃げるアドヴァンテージとして57ポイント・リードはちょっと微妙かな・・・と思います。無論はまれば同じマシンを使うジェンソンも速い。フェルナンドとしてはティーム・オーダーはしないマクラーレンの伝統を守ってもらってジェンソンが優勝をもぎとり25ポイントをルイスに与えないことも重要になってくるでしょうね。これは戦術的に決して難しくはありません。ティーム・オーダーを出すフェラーリはフェルナンドは普通に走らせ、フェリペに指示を出して例えばインラップでルイスを押さえ、アウトラップをジェンソンの後ろでしかコースインできないよう誘導するだけで目論みは達成できます。これによって焦ったルイスがジェンソンに絡みマクラーレン2台が同士討ちになればフェルナンドの獲得ポイントが上がります。シンガポールのストリートやヨンアムはもとより、ブッダ・インターナショナルもその戦術がはまりやすいコースだし、テクニカルなセクションが続く鈴鹿で抜くのはかなりのリスクを負わなければならず、ティーム・オーダーを出すティームとそうではないティームのポイント獲得数は大きく差が出てくるはずです。それゆえに冒頭部分で僕はウィナーは2~3人でなないかと書いたわけです。ここを考慮すれば、ここにきてキミが復帰後初勝利を上げ、ルイスがポール・トゥ・ウィンを並べてくる可能性が見えてきます。マクラーレンのシャシのポテンシャルは今季のティームの中では抜けています。昨年のレッドブルほどではありませんが・・。わざと終盤戦はオーダーでの戦いが活きるコースを選んでいるのではないかと思うほど、ティームで戦うことが活きるコースが続くのでフェラーリに限らず幾つかのティームが間違いなく立ててくる戦術だと思います。
September 11, 2012
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数ヶ月に1度くらいの割合でしかこのブログの管理画面を開かなくなってきてからというもの、都度都度ブログ機能の何かが変わっていて、まるで浦島太郎である。昨年から息子の健康を第一に考え、大学時代を過ごした京都に生活拠点を移した。オフィス機能は従来どおり東京にもあるが京都と金沢を中心に活動している。生活及び活動拠点を関東から関西に変えた事でアジャストしなければならないことも多く、ブログどころの話ではなかった。京都、神戸、和歌山、岡山、広島などの顧客が増え、なかなか一箇所に留まっていることが出来ない。ブログを更新している時間は皆無になってしまった。また、以前から北陸地域にも複数の顧客がいたのだが、昨年からは金沢や富山のクライアントが増え始め、今まで以上に忙しくそして慌しくなってしまった。2010年に誕生した子供は1歳半になったので言葉らしき声を発するようになり、今では僕とサッカー・ボールをちょこん、ちょこんとつま先で蹴って共に遊べるまでになった。とはいえ、スタミナやバランス感覚、身体能力はまだまだこれからなので、しばらくサッカーをやっていると興味が無くなり、違うものに興味を向ける。ところが、である。血は争えないと思ったのがクルマに乗っているときだ。TAKATA製のチャイルドシート・・・正確にはTAKATA製チャイルド・バケット・シートに乗っているときの彼は表情が変わる。冬の金沢や富山で活動しているときのスノーロードはもはやスノーロード等という生易しいものではなく、豪雪路と言ったほうがいいようなシチュエーションがあります。そんな雪の中で今年は彼を後部座席にとりつけたチャイルド・バケット・シートに座らせてサイドウェイを体感させました。スロットルでGT-Rのリアを僅かに流しながらコーナーをクイックにクリアしていくと、子供はまだクルマの特殊な動きに対する恐怖心がないためにドライヴァー・シートとパッセンジャー・シートの間からじ~っと景色や動きを観察しています。無論、絶対的なセフティ・マージンはとっているので我が子を危険にさらすようなことはありません。そして春を迎え、新緑が芽吹き夏の気配をちらほらと感じるようになった今は彼にもかなりの余裕が出来てGT-Rの動きを注意深く観察しています。ちょっと前まではGに揺られはじめるとすやすやと眠っていましたが、今は眠らずにクルマの挙動というよりも動きとか速さに意識が傾けられているように思えます。特にアヴェレージ・スピードが高めの時は前方を観察し、クルージング状態だと面白いように眠ります。血は争えないものですね。エンジンを停止している状態で運転席に座らせて遊ばせることを繰り返していると、最近は出かけるときなど一日の始めにクルマに乗り込む際、運転席に座らせろとダダをこねるようにまでなりました。LS600hLやRX450hではそんな反応を見せませんが、GT-RとSpec-Vの時には「う~っ!!う~ッ!!」と叫びながらヒートアップし、キーをよこせとせがみます。クルマのカタチとかでキャラクターを判断しているのだろうか・・・と考えさせられる今日この頃。子供の学習能力や吸収力というのは改めて凄いものだと思います。そんな彼が最近気になりだしたのはガレージの端っこにひっそりと佇み、なかなか動かない白と黒の車。どちらもスペックV同様2シーターのため彼はそれらのクルマには乗ったことが無いので特に気になっているようです。中でも彼のお気に入りはルージュ&ノワールのツートン・カラーのセミバケ皮シートが装着されたベントレー・コンチネンタル スーパースポーツ・クーペ。僕が仕事に行くためにその2台のうちのいづれかに乗り込んだときには妻の手を振りほどくように速攻走り寄ってきて「う~っ!!う~ッ!!」とヒートアップするので、僕は細心の注意を払いながらクルマをスタートさせます。特にベントレーの時の表情はそれ以外のクルマの時とは全然違います。彼がベントレーとアストンマーティンの時にヒートアップするのはもしかしたらエンジン・サウンドが理由なのでは?と考えたのですがまだ確証がないのでそれはまたの機会に。目覚めたベントレーのサウンドに彼はまるで「やっぱり動くのか!?オレも乗せろ!」と言わんばかりの一生懸命さを漂わせます。だが、残念ながらこの2台はシート高は低くてもルーフも低く、パッセンジャー・シートにチャイルド・シートを装着することが出来ないので、まだ試乗させたことがありません。座ったり、触ったりはあるのですが・・・。正しく装着してこそチャイルド・シートは意味があります。だが、そんなことなど知らない彼は泣き叫んで「乗せてくれ~!」と猛アピール。そういうところを目の当たりにすればするほど、やはり血は争えないと思います。未就学中は色んなところに連れて行き、色んな景色をそして色々な経験をさせてやりたいと思います。彼が何を想い、何にときめくのかなど親である僕にも解りません。彼が生まれてから1年半が経って僕が学習したことも無数にあります。それでも解らないことだらけなので、あえて無理に知ろうとも思わないし、徹頭徹尾子供を管理しようなどと思うこともありません。君は感じるまま、思うままに生きて、未来を作り出せばいい。僕は必ず君を見ているから。
May 24, 2012
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原発関連のバッシングを続けてヒート・アップしておりましたので、僕自身がメルトダウンしないようにクール・ダウンするために今回はバルセロナのGPで解ったことを少々書いておきます。 もう書くまでもなく、速さとしての本命はレッドブルです。純粋なスピード勝負を仕掛けることができるサーキットやシチュエイションでは間違いなく抜きん出るでしょう。 しかし、横Gが常に抜けないコースや勾配、特に旋回勾配などが多いコースではタイアに優しいマクラーレンに分があるレース展開が多いはず。 これに当てはめて想定すると次のモナコはドライならマクラーレン。特にルイスが本命ですが、タイアに優しいジェンソンも渋い粘りを見せるでしょう。続くのはセバスチャン・ヴェッテル。マークは昨年モナコで勝っていますが、それはブリヂストン・タイアのコンストラクションに助けられての結果でもあります。事実、今季の序盤、彼はダメダメのピレリを全然使いこなせていません。 これはマクラーレンにも言えることですがDRSを巧みに使ってポジションを上げる戦いを見せるマークは今回のバルセロナのようにポールを獲れなければ1位を獲得する可能性は極めて少ないです。 モンテカルロではDRSを本当に使えるのかどうかが未知数ですので、やはりモンテカルロは今までと同様オーヴァー・テイクは難しいでしょう。 ただし、ウェットならばマクラーレンよりもレッドブルに分があるのでは・・と僕は判断しています。理由は明白でエアロダイナミクス、ヴィークル・ダイナミクスともにレッドブルのほうが優れているからに他なりません。 重症だなと感じたのがフェラーリ。 フェルナンドがメディアに対して答えていましたがスタート直後にKERSの力を頼みに1コーナーまでに仕掛けてホール・ショットを狙う。これって、かなり残念すぎなコメントと感じるのは僕だけでしょうか? 一見すると集中力を高めてワン・チャンスで高い壁を超えて勝利を手繰り寄せるというコメントを残したフェルナンドはヒーローのようにも見えなくもありません。 ただし、この言葉は裏を返せばスタート直後のそのチャンスを逃したら二度と順位をひっくり返すことが出来ないと自白してしまったようなものです。 これは正直きつい。 スタート直後のワン・チャンスでしか競争力を確保できないようではレッドブルやマクラーレンを押さえこむことはこの先とても難しいでしょう。 信頼性とドライヴァー・ライン・ナップゆえにフェラーリには取りこぼしが少ないだけで、純粋にパフォーマンスだけで比較するならルノーのほうが一歩進んでいるように感じられます。 一方、大きく成長したのがセバスチャン・ヴェッテル。彼もかつては圧倒的な速さを見せ付けることにプライオリティを置くドライヴァーでしたが、今回はクールにタイアを温存しマークが獲得したポール・ポジションに執着することはありませんでした。 このレース全体を見通す視野の広さが、奪われてしまった首位の座を奪い返すことに成功した大切な要素であり戦術です。 ポール・ポジションにこだわらずソフト・タイアを温存したことが決勝日に吉と出ました。 ソフトを温存していなければ、ルイスの猛プッシュにセバスチャンは成すすべなく陥落するほかなかったのですから。
May 24, 2011
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地震と津波によって損傷した東京電力の福島原発事故の賠償負担について様々な観測や憶測が新聞や週刊誌などで報じられています。 また、工場や家屋を失って再建のために二重ローンを抱えることになる企業や個人の救済についても様々な憶測が流れています。 これらがどうなっていくのか予断を許しませんが、本当に気になることはちょっと違った部分にあります。示されている素案は資本主義の軌道を大きく外れ、結局のところ既得権益側に利益が誘導されていることです。 企業再生を謳うための大前提や原理は法に則って費用負担が発生することが原則であるはずで、それはリスクを負った者が利益も損失も全部受け止めるという経済原則から成り立っています。企業再生では債務者が極限まで一般的に言われるところの固定費削減を行なうことが大前提です。 かつての足銀やJAL等の例でも明らかなように、多くの企業再生においてはOB社員にまで年金カットなどの負担をお願いすることが当たり前となっています。そこまでやっても負債や賠償金が捻出できない場合は、まず株主、そして一般債権者、担保付債権者、優先債権者の順に負担が発生することになるのが慣例です。そこまでしても負債が資産を上回る場合に初めて公的資金の投入や資本注入、損失補填が行なわれるのが資本主義の経済社会における原理原則であるはずなのですが・・・・。 しかも、資本注入や損失補填が行われる場合も最初は国の資金ではなく、可能な限り民間の企業再生ファンドや他の事業会社のバックアップなどからなされるべきで、最初に国民負担ありきの議論が先行すること自体、現政府の無能さを物語っているものはないのではないでしょうか。 東電の処理にしても、二重債務者の問題にしても、税金投入ないし電力料金値上げによって債務者を救おうとする安易な議論が先走っています。これはもはや議論ではなく強制であり、無能な政府のツケを国民に肩代わりしろという恐喝や恫喝にも近い行為です。本来ならば企業再生のためのコストを負担すべき社員や株主、債権者たちの責任能力追及や義務が履行されていないように思われるのは僕だけでしょうか? 二重債務者の方々にも同じことが言えます。このような想定外の天災を被った不運から救うため納税者の限られた資金を投入するのは実に馬鹿げています。 確かに被災者の生涯設計再建のための債務負担の軽減は必須です。これに関しては僕も異論はありません。しかし、それは被災者の債務を回収不能債権としてまずは銀行が吸収負担すべき問題であると判断します。銀行が多額の債権放棄の悪循環から逃れるために固定費削減などの社内努力をしてもなおその回収不能債権を吸収できずに銀行自身が危なくなるというのなら、そのときに国が何らかの形で銀行に公的資金を貸し付けるのが筋というものです。 まず、この議論をせず見通しも立てずに被災者の方々に国がお金を出すために増税やむなしとして被災していない国民までもが疲弊すればこの国は間違いなく傾いてしまう。そんな火を見るよりも明らかなことに気づかない指導者とはいったいどういう総理なのか?もらっている給料に相応しい仕事をしていただきたいと思わずにはいられません。まず、この給料も全額とまでは言いませんが3分の1は返上すべきです。指導力さえも発揮できていないのですから・・。 浜岡原発を停止させたことで支持を得たと思ったら大間違いで、答えはすでに東日本大震災の時に出ています。震災に対しても原発に対しても政府と首相の対応は最悪だったという結果がすでに出ています。これは日本だけでなく、全世界の評価としてであり、この先もこの評価はもう変わりません。だからこれ以上馬鹿げた真似はやめていただきたいと思います。あなた方は本当に日本を潰すつもりですか? 報道管制を敷いて原発被害を最小にして国民に伝え責任の所在に関してもマドリング・スルーで乗り切ろうというハラなのかも知れませんが断片的に伝えられる映像だけで僕にでもある程度予測できるほど酷い状況ですから、世界の専門家の目はすでに「フクシマ」の状況を細かくつかんでいるでしょう。 もう隠すのは止めてください。このままだと日本全国で体内被曝が始まり、最悪の場合は数十年後、僕たちの子供たちの世代あたりで日本人の多くが何らかの癌によって淘汰され、日本人という民族がレッドデータブックに載りかねない絶滅危惧種になってしまう危険性が決してないわけではないことを伝える必要が出てきていることを認識してください。 こういった対策への財源を残しておくことを想定していないこと自体、原子力に関する無知無能さを露呈していることに他ならないことを早く悟り、次期エネルギー政策にももっと予算を割いてください。 現政府の皆様、本当に日本を救う気持ちがありますか?
May 12, 2011
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恐れていたことが現実のものとなりました。毎日放出され続ける数テラベクレルの放射性物質。さらに沈静化の見通しに関しては現実のディテイルがつかめ始めたこともあり10年以上の歳月が必要になることも確定されました。現在までに放出された放射性物質は解っているだけでも広島に落とされた50kgのウランから放出された放射性物質を総量的に抜いてしまったのです。しかも、原子爆弾の爆発や熱風を無視し、放射性物質だけの放出量で考えるとすでに広島型原爆の50倍程度の量がフクシマ原発を中心に日本だけでなく世界に放出されています。呆れるにもほどがあります。無関心にして無知な日本人は原爆の恐ろしさを知っていながら、原発の怖さを別のものとして捉えマドリング・スルーし続けて自らの国土に無数の原発という名の原爆を配置してしまったのです。しかも全国にくまなく配置されてしまった原発という名の原爆は、そのほとんどが広島型原爆の100倍から10000倍程度の核燃料を保有しているのです。そしてついに地震と大津波という複合型災害によって原子炉が瀕死の重症を負いました。この先どのくらいの放射性物質がばら撒かれ続けるのか見当もつかないのが実情です。すでに書いていますが低線量の放射線だからといって放射性物質は安心は出来ません。4/15のブログにも書いておりますが今、日本が直面している危機はそんな悠長な種類のものではありません。例えば太陽から放出される放射線や宇宙線による被爆というのは外部被爆です。ところが今、日本人が直面しているのは内部被爆という極めて危機的な状況です。政府は放射線量をモニターしている具体的なポイントから得られた時間当たりの平均線量や放射性物質の具体的な観測データなどを充分に公開していません。にも関わらず、レントゲン写真による外部被爆基準と照らし合わせて安全だと論じています。被爆に安全だなどという言葉は当てはまりませんが、レントゲンのような外部被爆であれば人間の身体は致命的な線量を受けない限りは自然治癒する力があります。しかし、これはあくまでもレントゲンや、太陽からの放射線、宇宙線に代表される外部被曝に特定したものです。政府が放射線被爆の危険性を国民に告げずに隠蔽しようとしているように思えてならないのは、体内被曝(内部被爆)に関する危険性を未だ国民に充分に伝えていないからです。それをしたら国民がパニックになる・・とでも思っているのでしょうか?もうフクシマの原発は人類が体験したことのない未曾有の原発クライシスにまで行ってしまっているので今さらパニックになったところで遅すぎるのです。この内部被爆に関する危険性を早く伝えないと警戒地域以外でも被爆が始まります。何度も言いますが低線量だからと言って安心はできません。問題なのは放射性物質を含んだ塵などが付着していた食物を摂取した場合や、呼吸器を通じて塵が体内に入り込んでしまった場合の体内被曝、すなわち内部被爆が問題なのです。これだけの規模になると福島や茨城だけではなく、千葉、埼玉、宮城、栃木の一部も放射性物質が飛散しているはずで、これらの放射性物質が土壌にまかれると大変危険な状況になります。放射性物質には様々な物質と吸着しやすい性質を持つものがあります。例えばセシウムやコバルトは土壌になじみやすい性質があります。セシウムはβ線とγ線を放出し、コバルトもγ線を放出します。特にセシウムは時間が経てば経つほど土壌から除染することが困難になります。できなくはありませんがコスト面に影響が出ます。水溶したセシウムを植物が吸い上げた時に植物が汚染されますが、これでセシウムの威力がなくなってしまうわけではありません。例えば野鳥がセシウムに汚染された草や野菜を食べて西へ飛びます。セシウムで内部被爆した鳥が福島から西へ西へ飛び、長野でセシウムが混じった糞を田畑に落としたとします。これだけでも微量ではありますが放射性物質は運ばれ、しかも食物連鎖の頂点にいる人間の口に入る可能性は限りなく高くなるわけです。放射性物質による脅威は野菜や、汚染された海水を吐き出した海域にばかり目が向けられていますが、地表面に落ちると簡単には除染できない放射性物質の脅威は畜産物も同様です。高級地鶏などは地鶏というからには地面で放し飼いにする必要があり、表面に落ちた放射性物質の汚染を受ける可能性は否定できません。これは鳥だけに関わらず、すべての家畜に危険性があります。牛乳が一時出荷禁止になったのも放射性物質が付着した飼料を食べやすい乳牛が汚染される可能性があるためです。乳牛にとっての牛乳がそうであったように、本来ならば鶏卵もチェックする必要があります。本当に恐ろしいのはこれからです。牛乳はすぐに調べられるので汚染が判明しましたが、鳥や牛や豚そのものが汚染されている場合はチェックの目を潜り抜ける可能性があります。狂牛病の時のような全頭検査を家畜全部に実施することは出来ないでしょう。ごく微量の放射性物質を食べてしまったものとそうでないものの区別は外見からは判断が難しいのが実情。日本全国どこででも放射能汚染検査が必ず実施されれば見抜くことはできますが、西日本の地域で監視の目が緩かったりすると簡単に通過してしまう可能性はあります。得てして日本はそういう部分の詰めが甘い国です。そうして通過してしまった食材が食卓に並び、日本では10年後から20年後にがん患者が激増する可能性が高くなります。しかし、体内被曝で最も恐ろしいのは脳や心臓の毛細血管への悪影響です。脳や心臓で起こる血管系の病気は5年も経てば急増してくるに違いありません。そして、チェルノブイリ周辺でこういった症状が引き起こされた患者の8割近くが低線量体内被爆によるものであることを今さら無視するわけにはいかないのです。体内被曝の危険性はチェックの甘い西日本で起きる可能性のほうが高いのですからそういった先を見据えたクライシス・マネジメントをする必要があるのですが政府は本当に無能です。ニュースを読んでいる者もどういう種類の危険なのか理解せずに(理解できずに?)読んでいるので見ているものにその危機の度合いが伝わりません。伝えようとする意識も薄いのが実情です。キャスター自身が知らないことなので自信を持って伝えられないためにどのくらいのレヴェルの危機なのか伝えられないのでしょう。ハッキリしているのはこれほど長い期間、大量の高レヴェル放射性物質の拡散という危険に見舞われたのは人類史上初で、これはとても不名誉なことだということです。しかもこれからは「日本は唯一の被爆国である・・・」などと日本政府は決して言えないのです。自ら広島、長崎以上の原発という名の原爆を福島に落としてしまったのですから。
April 19, 2011
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そもそも皆さんは原子力発電がどういう仕組みによって発電されているかご存知でしょうか?僕がそういう質問をすると大多数の方の答えは二分されます。しかし、その二大回答には正解がありません。ひとつは核分裂の熱を取り出して発電している。(??)惜しい・・・。熱を取り出しているようなものなんですが正解ではありません。でも、これはまだ良いほうで、もうひとつは、さんざん考えた挙句に解らない・・・というもの。フクシマ・クライシスの件があって原子力発電というものがある程度理解されるようにはなったものの、それまで日本人の大半は原子力発電というものがどのように行われているのか知らないどころか興味もないのが現状なのです。原子力による発電は原子炉内での核反応によって生み出されるエネルギーを利用し水蒸気を発生させてタービンを回し電力に置き換えています。でも、この発電手法ってものすごく古典的な手法です。誤解されることも厭わずに言うなら水力発電や火力発電と変わらない非常に古典的な手法です。なぜなら、タービンを回して電力を作り出すという一点においてこの3者はなんら変わらないからです。人類の祖先が狩猟によって糧を得ていた時代から農耕をして計画的に糧を得られるようになったとき、およそ50倍程度生産性をあげたと言われています。農耕へシフトし、さらにそこから産業革命が起きたときにも人間は生産性を上げています。ところが発電・・・ジェネレーターそのものには画期的なジェネレーションがありません。発電用タービンから回生エネルギーを取り出すという部分に未だ留まっているのが現状。素材が水なのか、火なのか、原子力なのかの違いでしかありません。無論発電コストや出力に若干の違いはありますが原子力のアドヴァンテージは安全性において大きなマイナス面を持っています。それでは、新世代のジェネレーターをどこにシフトさせるか?風力や太陽光では物足りないのが現状です。性能が上がって今よりも生産性が上がればまだまだメリットはありますが出力を考えた時には心細いです。そこで早期実現に向けてもっと研究資金を調達したいのが核融合発電です。日本の大学でもたくさんの研究が進められています。原子力発電と核融合発電はどう違うのか?僕が記述するのは簡単ですが興味のある方はぜひ調べてみてください。そのほうが、核融合発電を自分自身で調べてどんなものなのか確かめることができるはずです。原子炉の仕組みを知らずに、その危険性を議論せずに、とりあえず電気は必要だから・・・という理由だけで原子力発電の危険性を見てみぬフリをしてきたことへの後悔は良識ある日本人なら今ピークに達しているはずです。福島第一、第二原発の周辺はチェルノブイリ同様住むことができない町になってしまう可能性が大きくなりました。海も同様です。常磐沖の豊富な水産資源はこの先数十年間口にすることは出来なくなります。現状のままで年間の推定累積放射線量を試算するとチェルノブイリをはるかに上回る汚染数値になってしまいます。しかもチェルノブイリは10日間で収束しましたがフクシマは収束どころかまだ最悪の事態回避に躍起になっている有様です。東京電力はコストだけを重視し、いい加減な安全性をうたい上辺だけの生産性を追及するために日本を原発まみれにしたのです。回りくどい話は嫌いなので単刀直入に言うと日本に原発はもう要りません。この期に及んでもまだ建設しようとする原発ムラのお役人や科学者たちは国民が糾弾していくしかありません。いつも原発を無くせ!という声を上げると必ず反論材料になるのが消費電力をどこから稼ぎ出すのか!という声です。しかし、考えてみてください。石原都知事の弁もまったく持ってその通りだと思います。いくらでも節電し、抑えることはできます。しかも現状の日本経済は製造業の伸び悩みや低下が著しく、製造工場の稼動をより細かく制限しコントロールすれば10%程度の電力は簡単に削減できるはずです。東京電力管内の夏場の消費電力ピークはおよそ6,000万キロワット/アワーですがダイエットすれば1,000万キロワットあたりまでなら簡単に削減できるのです。すなわち、1,000万キロワットは常に無駄遣いしているわけです。国産のクルマや家電製品の国際競争力低下によって商品の生産ラインはフル稼働せずとも充分に生産性を維持できるはずですので、メーカー毎に輪番生産体制をとるのも一つですし、夏季休暇の分散統制などでビルごとに休みを決めれば消費電力は簡単にコントロールできます。こうすることで4,500万キロワットあたりまでは下げられる可能性が見えてきます。それなのに、細かな言い訳を探して自身のご都合を最優先し着手しないだけのことです。核融合発電の早期実現に開発費を投入し、それまで消費電力はダイエットするのが最適です。それから事業仕分けなどというパフォーマンスで研究開発費を根こそぎ奪ったおバカさんたちは即刻解散してください。これ以上民主党政権が続くと日本という国そのものに、そして日本人そのものにまで風評被害が及びます。そして今、それは現実のものとなってきています。国際世論では日本の現政権の風評被害が深刻化しています。一刻も早く次世代エネルギーを日本人の手で実現し災後復興を果たすことが失われた日本の信頼を取り戻すための唯一の手段であると思います。原発をお役御免にして今こそ新世代エネルギー開発を加速させましょう。そのために一つになろうニッポン!
April 18, 2011
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福島第1原発から放出されてしまった放射性物質は現状判明しているもので12種類。放射線を放出する元素の中でも最悪なのがすでに3月25日のブログでも記述した猛毒プルトニウム。プルトニウムは他の放射性物質と違いα線を放出します。α線はγ線やβ線と比べてエネルギー量が大きく体内に入り込んでしまうと骨や肝臓に溜まりやすいため、半減期の長さも手伝って発がん性が高くなります。ちなみにプルトニウム238の半減期は約90年。プルトニウム240の半減期は約6,500年。そして、兵器として使用されるプルトニウム239は半減期が約24,000年です。僕がこのブログ内で2009年の3月20日の記事に取り上げている探査衛星カッシーニに使われている原子力燃料がプルトニウムです。プルトニウムは非常に重い原子であり、福島第1はチェルノブイリのように炉心が剥き出された原子炉ではありませんので、遠くまで拡散してしまう可能性は低いと考えられますが、爆発すれば間違いなく放出され、200km圏にもたらされる危険は無視できない状態になる可能性も考えられます。そのほかに放出が確認されている放射性元素ではヨウ素やセシウム、セリウム、コバルト、モリブデン、ジルコニウム、ルテニウム、バリウムなど12種類ですが、まだ放出が確認されてはいないもののプルトニウム同様、危険な毒性を持つ放射性物質があります。それがチェルノブイリでも放出され、半減期が長いことで知られるストロンチウム90です。ストロンチウム90は核分裂によって作られる放射性同位体で、すでに福島でも放出が確認されているセシウム137と同等の半減期を持ちます。セシウム137の半減期はおよそ30年。ストロンチウム90はセシウムよりも若干短く28年程度ですがストロンチウム90の問題点は体内に入ると骨の中のカルシウムと入れ替わりやすく、そのまま体内に居残り放射線を放出し続けます。この骨に吸収されやすいストロンチウムの性質を生かして作られたのがストロンチウム89で、現在骨腫瘍の治療に使われています。ストロンチウム90とは半減期が異なり、50日程度であるため被爆リスクを抑えることができます。ストロンチウム90がβ崩壊するとイットリウム90に変わりプルトニウム238と同様に原子力電池のエネルギー源として使用されています。パイオニア10号や11号、ボイジャー1号、2号など太陽系の探査衛星にも使われており、30年以上の任務遂行にも問題のない持続力を備えている原子力電池の能力を見ればその放射性物質の半減期がいかほどかを想像するのも難くないでしょう。電力の35%を原子力に頼っている日本に原発が必要なのか否か真剣に議論できる日が来たのだと思います。
April 14, 2011
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*このログは充分な説明が出来ているとは言えない表現がありましたので修正を加えました。ついにCBIRFがフクシマに投入されるらしい。合衆国海兵隊の特殊展開部隊CBIRFは化学生物兵器事態即応(対応)部隊の頭文字をとってシーバーフと呼ばれています。この部隊は皮肉にも東京の地下鉄サリン事件を事の発端として編成された部隊です。日本での事件をきっかけに編成された部隊が日本の原発危機に投入されることにも因縁めいたものを感じずにはいられません。彼らは9.11テロの際ワールドトレードセンターの救助活動のために出動したことでも知られています。そんな精鋭部隊の投入が決まったのは朗報といえば朗報ですが、どんな形で投入されるのかそのあたりのディテールがはっきりしません。投入を決断したのは1ヶ月が経過しても沈静化しない原子炉の状況改善のため、米国がしびれを切らした結果でしょう。ついにレヴェル7に訂正しチェルノブイリと同等の原発クライシスになってしまったフクシマ。レヴェル7には賛否があるでしょう。けれども、7であることを明言してしまった以上迅速な対応対策が必要になるのはいうまでもありません。この期に及んでも適切なクライシス・マネジメントがなされなければ、全世界が日本政府に失望し、日本の技術力にも疑問符が投げかけられ、日本という国土全体に風評被害が及ぶようになってしまいます。判断が一転二転三転し、いかなるときもぶれてばかりいて何か外的な力に服従しているかのような首相ではこの難局はさばけません。しっかりとしたリーダーシップを発揮し、フクシマ・クライシスをどういうふうに収束させるのか明確なヴィジョンを組み上げ、ぶれずにはっきりとした意思決定力を発揮できる人間でなければ無理です。強い意思決定力と同様に、優れた説明能力と合意形成能力も必要です。これこれ・・こういう理由から、こういった即応部隊や手段、作戦を投入して、この期限までにここまでは実現したい・・・という効果の見えるプランを提示できなければクライシス・マネジメントとは言えません。最後が貫徹能力。どんなときでも、どんな案件でも反対勢力は必ず存在します。その場しのぎの批判や抵抗勢力の小ざかしい動きに惑わされることなく、目標達成まで粘り強く継続を働きかけ、万難を排する努力を怠らない器も必要になってきます。残念なことに、現首相にも、東京電力のトップ・マネジメントにもその器量は皆無ですから、昨今取り沙汰されている東電の解体や国有化というシナリオも強ちなくはないでしょう。さらに言えば、僕などはもとより原発の危険性をもう何年も前からことあるごとに言ってきました。一部の科学者は核分裂や核融合を完全にコントロールできると考えていますが、そもそも核分裂は100%コントロールできるものではないと考える科学者も同じくらいいるのです。実際に科学者の核分裂に対する考え方は2分されているといっても過言ではありません。核分裂は100%支配下におくことは現状は不可能なのです。そのシビアな現実を認める必要があります。ただし、核融合に関してはすべてが危険なわけでもありません。プラズマまで含んだ広義の核融合では安全で管理下におけるものも存在します。それでも核融合と呼ばれるものは必ず少量の放射線は発生させますが少量であればバルクヘッドなどで遮蔽することも可能です。そして安全な被爆などもありえません。政府は1回のレントゲン撮影の被爆量などと安易に比較して安全だと論じていましたが、原子炉から放出される放射線はレントゲン撮影のような一瞬の被爆ではなく累積します。比べること自体がナンセンスですし、被爆に安全という言葉を用いることにも問題があります。ただし、僕も被爆イコールすべてが危険というつもりはありません。被爆イコールすべてが危険であれば、地球上に生きているすべての生命は太陽からの放射線によって毎日被曝していますので・・・。しかし、原発から放射される放射線被爆に安全な被爆などないという現実にも向き合わなければならないということです。
April 13, 2011
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震災から1ヶ月が経過し、F1も開幕して第2戦まで消化しましたが、少しだけ書いていたようにレッドブル、特にセバスチャン・ヴェッテルとのパッケージを打ち負かす勢力は今のところは無いに等しい状態です。無論、コンペティションである以上、アクシデントやインシデンツはあるので漁夫の利的な勝利を得るティームはあると思われますが不確定要素を超えるレヴェルには到達していません。また、昨年ほど自分のスタイルに合っていないマーク・ウェバーにとって今季の苦戦は開幕前からある程度想定できていました。語弊がないように書き添えるとマシンが合っていないのではなくて、ピレリ・タイアがあっていないのです。マークのスタイルはセバスチャンほどタイアに優しくはないので、特殊なケースを除けば先にタイアが痛むことは避けられないはずなので同じマシンで戦っていることを踏まえれば戦術を変えない限り勝利を手繰り寄せることは非常に厳しい状態です。各ティームのマシンはどれもこれも似たような仕上がりで、レッドブルのコピーに走ってパフォーマンスを確保しているマシンが多い今季。こんな状態ではおのずとシーズン中盤から終盤へかけての熟成曲線も予測できてしまいます。こんな時ですからあとはザウバー&可夢偉に頑張っていただくしかありません。上が潰れたら可能性があるパフォーマンスは維持していますから今季中にポディウムの可能性も十二分にありますが、できることならザウバーの理想的なヴァージョン・アップが進み自力で勝利をもぎ取る可夢偉を見てみたいところです。ガンバレ!ニッポン!!
April 11, 2011
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東日本大震災で被害にあわれた方々のご冥福をお祈りすると共に、不便極まりない生活を強いられる被災者の方々、どうか望みを捨てずに勇気と共に復興を信じて一歩一歩進んでいかれることを切に願います。また、被災地にて懸命の救助活動、医療活動、支援活動を続ける方々もどうか、諦めることなく被災地の方々への励みや救いになっていただければと思います。僕は家族と共に仕事で海外にいたため運よく被災を免れましたが、艇庫と一部のファクトリーが津波を受けました。艇庫は津波によって流され、そのなかのプロトタイプやジェット、ヨットは潰されたものの、地震による被害も津波による被害も免れたファクトリーやオフィスは海岸線でも高台にあるため難を逃れました。自宅やガレージも津波を受けることなく無事でした。イタリアとフランスを回り帰国しようというころ、オフィスのメンバーから僕にメールが届き、「地震がありました。津波の影響も深刻で原発被害の情報が現状把握できませんので帰国を延期したほうが良いですよ」との内容でした。彼のメールが原発の放射線被害から昨年生まれたばかりの息子を守ることになりました。彼には感謝しても感謝し切れません。しかし、彼からメールをいただいたこの段階では関東地方を地震が襲い茨城県や千葉県に津波がおきて甚大な被害をもたらしたのだと思い、茨城県東海村の原発のことを案じていました。ところがインターネットで入ってくるヨーロッパで見る地震の情報はかなりの広範囲。青森から千葉の沿岸部は被害状況の程度問題こそあれ地震と津波の双方の被害を受けているというのですから驚かずにはいられませんでした。地震の二次災害である津波はどうすることもできなかったと思いますが、福島原発の放射線災害は原発の危険性を真剣に議論しなかった愚かな日本人への警鐘であるのかもしれません。震災や津波による被害の復興が第一ですが、原発からの放射線被害は今後も数十年にわたって続くと思われ、お馬鹿な日本政府の会見程度の被害で収まるはずもありません。炉心が充分に冷却され安全温度になるには冷却システムが正常であってもかなりの時間を要することは知られています。むしろ、こういった基本的なことを知らずに原子力発電を妄信したり、安全性を議論しなかった政府や東京電力に一番の問題があります。水に浸かっている燃料棒にしてもそうで、何年間も水に浸かっていたものなので数週間とか1ヶ月程度の期間で安全レヴェルになるということはなく、パイプそのものの破損がないかどうかさえも現在の状況では確認できないはずです。こういった被爆の危険性を除去できないなかで原発内に留まり、必死の作業を続ける作業員に国民は感謝しなければなりません。そして、国は作業員たちが不幸にも被爆したなら本人はもちろんのこと、その家族も生涯補償する覚悟を持たねばなりません。その覚悟が今の内閣には感じられないことが情けない。この情けない日本政府、いや政治家たちに政権を与えたのもまた日本国民(有権者)ですがそれを今さら言ったところで始まらないのでここでは控えます。とにかく第一に危険なのは炉心の溶融。部分的に溶融してしまっているのであれば完全溶融に進んでしまう可能性は決して少なくありません。そうなれば広島型原爆の1000倍はある放射性物質が放出され、少なくとも200km圏はかなり危険な状態になります。そして、これも日本政府や東京電力は予測できたはずで、予測できていなかったとしたら話にもなりません。次に危険なのはプルサーマル。僕の記憶に間違いがなければ福島原発3号機ではプルサーマル、つまりMOX燃料が使われているはず。プルサーマルはウラン235が1%とウラン238(94~96%)、プルトニウム(3~5%)で構成されていますが、プルトニウムの同位体および化合物はすべて放射性で極めて有毒。プルトニウムの毒性の強さは最悪レヴェルで角砂糖5個分で日本を壊滅させることができます。商用原子炉である軽水炉から得られたプルトニウムは少なくとも20%程度のプルトニウム240を含んでいて原子炉級プルトニウムと呼ばれています。この原子炉級プルトニウムを高速増殖炉にセットして原子炉を運転すると炉心周囲のブランケットに兵器級プルトニウム239が産出されます。これだけの量で充分日本を壊滅状態に追い込むことが可能です。高速増殖炉の実用炉「もんじゅ」は福井県にありますが、実は茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構にも実験炉の「常陽」があります。この「常陽」周辺の被害はどうであったのか?地震や津波による人的な被害が多かった岩手、宮城、福島に注目が集中していますが茨城県には原子力施設がたくさんあります。JCOの臨界事故のようにそういった施設に地震や津波による被害はなかったのか?EUでは福島での原発事故を受け、およそ150基ある原発の緊急点検実施プログラムを始めましたが、被災国である日本こそどうなのだろうか?計画停電ばかりが一人歩きをし、他の地域の原発点検など思いもよらぬことだとしたら現総理の危機管理能力はこの程度のものということでしょう。核燃料リサイクルなど夢のまた夢。核先進国のフランス、ドイツ、アメリカなども核燃料リサイクルのリスクは計り知れないとして高速増殖炉を断念しています。ほんとに日本の原子炉行政もこれでいいのでしょうか?原発が身近にない存在だからといって危険性に気づかずにいると今回のようになります。また計画停電によって電気の供給が受けられなくなって初めて気づく日本の脆弱な首都機能。それでも放射能汚染の直接的な被害を受ける距離ではないために他人事のように思っている方が多いように思われます。しかし、決してこのままでは終わらないと思います。3号機にプルサーマルが充填されているとしたら、放射能汚染はもっと深刻になります。そうならないことを祈りたいところですが、今日ニュースで報じていた通常の1万倍の放射能を検知した3号機の冷却水はプルトニウムを含んだプルサーマルを使っていたからこそではないのか?と思わずにはいられません。しかも、震災直後には真水を注入して冷却することが出来なかったからとはいえ海水を冷却用に注入しているので燃料棒やパイプなどが塩害によって腐食することも軽視できません。もし、これで核燃料が漏れ出すことになればチェルノブイリを超える未曾有の放射能汚染を生み出す可能性もあります。計画停電は夏になっても続くでしょう。これを機に日本政府と日本国民のクライシス・マネジメントが先進国並みのレヴェルに引き上げられることを祈りたいと思います。原発に残って作業を進める方々の強さには心から敬服いたします。そして感謝せずにはいられません。無能な政府の役人とはエライ違いです。パフォーマンスで仕分けしてた方やしばらく出てこなかったトップ・・。もう辞任してください。リンゴを全部腐らせる前に。
March 24, 2011
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「ブリヂストンのライフでは長すぎてF1が面白くないから必要以上のライフは与えない」とピレリは断言しているが、もう呆れて開いた口が塞がらない。「ブリヂストン・タイアと同レヴェルのグリップを確保しつつ、これほどの長いライフをタイアに与えることは今の我々には無理なので、ブリヂストンとは違ったアプローチを試みたい」と正直に宣言すれば良いのに、猿芝居を打つからティームやドライヴァーの信頼が得られないのです。今は開幕前なので各ティーム、各ドライヴァーとも大人しい言葉を選んだ控えめなコメントに終始していますがシーズンが始まったらお構いなしです。結果が出せないダルなタイアは早々に叩かれるでしょう。ドライヴァーがもっとも嫌がるマシンやタイアは自身の速さを表現しきれない極めてレヴェルの低いものだからです。ピレリでは安全性もさることながらコンペティションとしてのイコール・メイキングでさえ出来るかどうか怪しいもの。ブリヂストンのレヴェルに達するために何年を要するのか想像もつきません。グッドイヤーとピレリ、2社のタイア・メーカーがあったときにもピレリはグッドイヤーに後塵を拝していてばかりで勝ち星はあまり記憶にありません。今年のフォーミュラ1はピレリ叩きに終始するつまらない、先の見えた1年になるかもしれません。現時点で新車の能力を丸裸には出来ませんから、具体的な見通しは立てられませんがハッキリしているのはタイアに優しいドライヴァーでなければ勝ち目はないということ。すでにこの時点で片手ぐらいのドライヴァーに絞られてきます。あとはドライヴァーとマシンの相性で決まります。つまらない1年になりそうです。今年、レッドブルの独走を止められるコンストラクターは多分・・・・ない。ザウバー&可夢偉がどこまでやれるか?それだけを楽しみにするしかないかな・・・。
March 10, 2011
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オープニングラップでタイトルを捨てたフェルナンドとフェラーリ。特殊な時間帯に行われるアブダビを制覇するための必須条件はオプションで引っ張ることです。ラバー・グリップが伸びる後半スティントはプライムでもグリップが稼げるので前半にオプションを使い後半プライムというのが一般的なチョイスになります。予選でフロント・ロゥに並べなかったフェルナンドはオプションで出来るだけ引っ張ってポジションを上げ、プライムに切り替え堅実にタイトル獲得への戦いを展開したかったはず・・・。にもかかわらず、フェルナンドが1周目のセーフティカーでピットに入ってしまうのはいかがなものか?4位に入ればタイトルが手に入るフェルナンドは間違いなくステイ・アウトしなければならないのに何故入ってしまったのか?これによりフェルナンドはペトロフの背後でもがき苦しむことになりました。兄弟ティームのトロロッソだけでなく同じエンジン・サプライヤーのルノーもセバスチャンとマーク、いずれのドライヴァーであっても王座獲得の援護をするつもりでいたはずで、そのためにマシン特性をピックアップ側に振り、最高速を稼ぐセッティングをしてフェラーリの長所を封じるマシンに仕立てています。結果としてドラッグが大きくなり、タービュランス発生も多くなっているマシンの背後ではフェルナンドでさえも思うように詰められません。だからこそ、可夢偉のパッシング・スキルが光るのですが。ダウンフォースが少ない現在のF1では突然安定性を欠いたり、グリップを失ったりということになりかねません。とはいえ、守りに回りすぎて小さくまとまったような走りしか見せられなかったドライヴァーがチャンピオンに相応しいとは思えません。たとえ、ティームの戦略ミスであっても手をこまねき、まったく精細を欠き、なすすべさえなかったフェルナンド。フェラーリの失策であることは疑いようがありませんが、それでもどれだけのことができるのかがチャンピオンの資質でしょう。だからこそ、我々は競争力の乏しいザウバーで輝きを放つ可夢偉にもっと良いマシンに乗って欲しいと渇望するのです。敗因がティームの失策であっても、守りに回ってしまったフェルナンドにチャンプの資格はありません。フェラーリとしては、もっと早くフェリペを入れてフェルナンドを援護することもできたでしょう。しかし、それさえももとを正せばティーム・プレーに頼りきった結果の判断で、険悪な関係に陥るほどの溝を作ってしまうことになりながらも自由に戦わせることでドライヴァーたちに更なる成長を求めたレッドブル勢の逞しさから比べれば軟弱以外の何物でもなく、始める前からこの結果は見えていたとも言えます。スーパーGTの最終戦もそうでした。小暮くんと脇坂くんの行き詰るドッグ・ファイトは近年まれに見る名勝負のひとつです。軽い接触を見せながら押して引いてお互いに譲らない意思表示を見せながら勝利を手繰り寄せる強靭な精神力。「2位でも戴冠なんだから・・」それも事実ですが「勝ってタイトルを決めたい」と願う、そこにある強靭なメンタリティがもたらす情熱がなければ競争力もモチベーションもどんどん低下します。勝利をもぎ取りにいく強靭な精神力と姿勢がみえないドライヴァーやティームが勝利を得られるわけもありません。そして何より小暮くんが素晴らしかったのは過剰なタコ突っ張りでクラッシュしてしまわなかったこと。レッドブルの速いけど脆い危うさ・・・なんだかスーパーGTのHSVと同じような感じですが、この脆さが今シーズンのタイトル争いを拮抗させた最大の理由だと感じています。この脆さがなく、レッドブル・ルノーに安定感が備わっていれば早々にセバスチャン・ヴェッテルでタイトルは決まっていたはずだし、マーク・ウェバーのF1での開眼も見られることはなかった可能性が高いと思います。最後まで勝利を渇望したドライヴァーがきっちりと勝利を収め、タイトルを手中にしたという一番理想的な形でシーズンを終了したということです。F1はティームとして機能していることも勝つために重要なことですが、それもドライヴァーの勝利への情熱や熱意があってのことです。その核なしにコンペティションは成り立ちません。タイトルを獲るべきドライヴァーが最終戦できっちりタイトルを獲った面白いシーズンでした。スーパーGTもF1も僕にとってはメモリアル・イヤーになりました。あとは可夢偉。彼にはもっと戦闘力の高いマシンに乗って欲しいと思わずにはいられません。今年1年F1を見た人たち全員が今では同じことを思っているはずです。こういう人材が出てきた頃に日本のコンストラクターやサプライヤーはF1にいません。こういう不幸が今の日本の不幸と不運を如実に物語っています。
November 16, 2010
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皆様お久しぶりです。今シーズンはブログの更新がほとんどできず申し訳ございませんでした。HSV010GTがデヴューイヤー・チャンピオンを獲得し、とても嬉しく思っています。小暮くん、ロイックさん、そしてホンダ・レーシングや童夢の皆さんどうもありがとうございます。僕にとっては素晴らしいメモリアル・イヤーになりました。セバスチャンの初戴冠を応援したい僕にとっては残り2戦はとても重要な意味を持つ戦いになるだけに足を運びたいと考えておりましたが、昨年も書きましたとおりブラジルはキャンセルしました。そんななか、危なげなくポール・トゥ・フィニッシュを決めたセバスチャン・ヴェッテル。シーズン中盤からこうしてポイントを重ねることが出来ていたなら労せずして早々にタイトルを手中に収めていたはずで、セバスチャン本人にとっても悔やまれるところでしょう。残すは最終戦アブダビ。自力での戴冠はないけれども、だからこそ彼のアグレッシヴな走りを期待したいと思います。アブダビは予定通りですが、ブラジルはキャンセルしました。いつもならそんな危険などものともせずに行くのですが、今回ばかりはキャンセルさせていただきました。それは「怖いから・・・」などという甘えではなく、自分自身の周りの環境が今までとは大きく変化したからです。今までこのブログでは触れませんでしたが、今年3月、妻が妊娠しました。この年齢になってから我が子を授かるとは思ってもみませんでした。今までは子に恵まれず、それでも子供が全てではありませんので子供に執着するような生き方はせずにどんなことにも真剣に取り組み、突っ走ってきました。今回も子供に関しては諦めていました。子宮筋腫を抱えている彼女は極めて妊娠しにくく、仮に妊娠できても流れたり早産になったりというリスクが高いのです。そんな彼女が妊娠した時、医師から「奇蹟の子」だと告げられました。しかしながら、安定期までは流産の危険性が極めて高く、安定期に入ってからも切迫早産の危険性がなくなることはないと言われながら、やっとここまで来ました。いろいろな大学病院で診ていただき僕も妻も納得できる医師がいるところで出産することにしました。「ミラクル可夢偉」がF1界を席巻し、ホンダが本気モードになってようやく実現した小暮・デュヴァル組がスーパーGT2010年シーズンで「HSV010GT」がデヴューイヤー・チャンピオンを獲得した年に彼は生まれてきます。そう、彼です。男の子です。もうすぐです。まだ見ぬ君へ、伝えたいこと教えたいことは山ほどあるけれど、君と出会える奇蹟を心から喜びたいし、心から感謝したいと思います。東京の喧騒から離れ、環境を第一に考えて君を育てようかと思い地方に足を運び視察したこともありましたが、特定のどこかに留まることなく、広い視野を持てるように義務教育に就学する年齢までは思う存分色んなものを見せてやりたいと思います。君がこれから歩む道が平坦で穏やかでないことは間違いありません。僕の血を引いていれば、何の苦労もなく手に入れられるものに興味を持つことはないはずだから。早くからスポーツ・カーやレーシング・カーに触れさせ、Gを体感させて道をしるし、照らしていきたい。チャイルド・シートはもちろんTAKATA製のグリーン・ハーネス。・・・とは言っても乳児のうちは無理させられませんので本格的なトレーニングは5歳ぐらいからを考えています。2030年頃には君がポディウムの中央に立ち、センターポールに日の丸を揚げることができたら僕は何も思い残すことはありません。君に逢える日が待ち遠しい。君が無事に生まれてくれることを心から願っています。アブダビが終わって帰ってくる頃には君に会えるかな?See you soon.
November 11, 2010
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Orochi「7月のある日のこと、先生と共に潜入ミッションに参加したタカだったが、やはり彼はレーシング・ドライヴァーであってもエージェントやスペシャル・フォースではないので潜入ミッションをキッチリこなしたかどうか微妙な結果に終わった」Orochi「そこでオレは先生の愛車に乗り込んで、先生が繰り返しリサーチしているシークレット・ミッションに同行することにした。タカは先生のシークレット・ミッションに同行しながらシークレット・ミッションの全貌をつかめずに帰ってきたが、オレまで同じような結果で終わるわけにはいかない・・・」Orochi「タカは指定席だったけれど、オレはグリーン車で快適、快適。こんなに快適だとオレまで任務を忘れてしまいそうだ・・・。気持ちを引き締めないとタカみたいなことになるからな・・・」Orochi「タカのやつ・・・。いつもこんなに美味しいパン食ってやがったのか・・・」Orochi「埼玉アリーナが霧に霞むほどで、天候には恵まれなかったな・・」Orochi「ところで前回、先生がコーヒーをぶっ掛けられた越後湯沢・・。前回は日曜、今回は平日にもかかわらず、こんなに人で溢れてる。これは決して人が多いタイミングを見計らって撮ったものではありません。特急はくたか乗り継ぎ利用客ってこんなにいるんだ・・・」Orochi「はくたかの車中からの景色を楽しみながら前回と同じ目的地までやってきたが先生のシークレット・ミッションはよくわからん・・・。目的や意図もなしに2度も同じところに足を運ぶとは思えないけど・・・」Orochi「現在整備中の北陸新幹線の新プラット・ホーム建設が急ピッチで進められている富山駅の様子。古くなったホームや連絡橋を解体して新しく作り直している真っ最中。そうか!これか?!先生がここのところ北陸に何度も足を運んでるのは北陸新幹線用の新型新幹線関連か?とはいえ、航空機や船舶と新幹線に関連があるとも思えないが・・・」Orochi「そんな予測を立てては見たものの、結局はタカ同様、謎が解ききれなかったオレは帰りのはくたかとMAXときの車内で先生に直接聞いてみることにした。そして先生の口から意外な言葉を聞かされ、オレは少なからず動揺した。先生はシーズンオフを過ごす新しいセカンドハウス兼オフィスの候補地の視察のために足を運んでいるらしい。今回、その候補地に挙がっているのが富山県五箇山近郊の南砺市とお隣石川県の金沢市。金沢から五箇山まではツイスティながら趣のある塩硝街道で結ばれているので至便だ。五箇山から15kmほどさらに走れば白川郷にも足を伸ばせるので、岐阜県白川郷近郊の飛騨市や高山市なども候補に上がっているそうだ。先生のセカンドハウスでは初の日本海側ということで入念にリサーチしているんだそう。次回7月中旬には金沢に足を運ぶらしい・・・。オレがこの更新をアップする頃にはすでに同行しているオレかタカ以外の誰かが先生と一緒に金沢に出かけているはず・・・。オレの勘だからあてにはならん・・・。誰が行ったポイントが最終的に選出されるのか楽しみですが、ということは麻布十番Mont-Thaborの美味しいパンが食べられなくなるではありませんか!!??人気の牛乳パンなどはネットでも買えますが先生が好きなのは人気アイテム以外のパンなので通販は出来ません。それでもいいんですか!?先生の希望では出来れば今シーズンが終わって年内までに完成させたいということなので今後アイドル・タイムはこのシークレット・ミッションが続くでしょう。それでも先生の徹底振りを考えれば年内の完成は難しいと思います。来夏竣工が現実的」Orochi「それでは皆さん、またお会いできる日を楽しみにしております」
July 19, 2010
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Taka「みなさんこんにちは。今回ご紹介するのはトルコGPが終わって、カナダGPまでのアイドルタイムでの出来事です」Taka「こちらはStrikes Back!!先生お気に入りの麻布十番のブーランジェリ、Mont-Thabor。先生のオフィスから徒歩5分程度のブーランジェリでお店の向かいには参議院議員選挙に向けて元自民党の舛添氏が旗揚げした新党改革の事務所が置かれました。選挙はすでに終わってしまいましたが、こちらはかつて麻布十番の信金がありました」Taka「おっと・・・本題を忘れるところでした。先生と僕はアイドルを利用して北陸のある都市にお仕事で行ってまいりました。僕にとって北陸は初見参の地ですので連日、シークレット・ミッションを得意とするOrochiにレクチャーを受けました」Taka「僕は先生が愛用するハリバートンZEROに隠れて潜入ミッションを遂行・・・」Taka「新幹線の中では先生と共にMont-Thaborのパンを食べて腹ごしらえ・・。このパンがまた美味しい!」Taka「車中では車窓から景色を見たり、ノートPCで映画鑑賞したり、建設が急がれている北陸新幹線の工事現場を眺めたり、お昼寝をしながら、MAXときと特急はくたかを乗り継いで目的地を目指しました」Taka「目的地に着くとそこにはOrochiにレクチャーされたトラムが走っていました。近代的でエコな感じのトラムです。しかも中心部には電動のパワーアシスト付レンタルサイクルまで完備されてるし、電気自動車用の充電ターミナルまで用意されてます。う~む・・インフラが進んでる。スゴイ・・・」Taka「ところで、今回の先生はついてませんでした。越後湯沢で特急はくたかに乗換えるためにMAXときから下車する際、デッキでホームへのアプローチを待っていたときのこと・・・。デッキには多くの乗客が乗換えのためにホームへの到着を待っていました。ポイント付近で若干揺れたため御婦人が持っていた車内販売の飲み残しのコーヒーが先生の腹部から下の広範囲に思いっきりかかりました。ネクタイこそ締めていなかったものの、シャツと手に持っていたスーツの上着とパンツはコーヒーの洗礼を受けたのです。顔面蒼白で慌てる御婦人・・。こういう時って意識がいったん途切れるような感じになるんでしょうね。やや間が開いてから慌ててハンカチを取り出し、御婦人は先生にかけてしまったコーヒー拭きあげましたが一度シャツに染みてしまったコーヒーはどうにもなりません。僕も被ったら一大事でした。白い毛並みがコーヒー色の褐色に染まっていたところでしたが、そこはハリバートンZEROさすがです。僕にとっては最高のシェルターでした!!年の頃は30代前後でお美しいビジネス・ウーマン。先生同様、遠方へ出張中と思われるビジネス・ウーマンは名刺を差し出しながら「新しいものを買って弁償します」と平謝りに謝っておりましたが、先生は丁重にご辞退。名刺に記された会社は超有名な一部上場企業。せめてクリーニング代でも・・と食い下がる彼女に先生はさらなる一言。「大丈夫です。乗り継ぎで急いでますので失礼」と笑顔で一蹴。先生・・・。きちんと責任取らせるべきじゃないですか?粗相したんですから・・・。まァいつものことなんですけどね・・・。でもね、結局のところ越後湯沢で下車する乗客のほとんどは特急はくたかへの乗換え・・。彼女も同じはくたか乗換え組なので先生がはくたかに乗車すると同じ指定席車両に乗ってきました。車掌による検札で彼女は指定席料金を支払っておりましたのでおそらく自由席だったのだと思います。車中でも何度も何度も謝る彼女に先生も根負け。先生も名刺を差し出して連絡先を交換したようです。それにしても・・・新幹線の車内販売のホットコーヒーのカップってリッド(蓋)がついてますよね。御婦人がなぜ蓋を外して持ち歩いていたのかが僕には良く解りません。リッドを外したまま持ち歩いてかけてしまったら一大事になることは必至です。それにデッキにはダストボックスがあるのでそこに捨ててしまえば良かったはずなのですが、御婦人が言うには中身が残っていたから捨てるのを躊躇ったのだそうです。それなら洗面台に流してカップを捨てるとか色々なオプションがあったはずなんですが・・・。まァ、僕がとやかく言っても仕方ありませんね」Taka「また後日、先生は北陸に足を運ぶことになりますが、そのときは僕がお供するかどうか微妙なところです・・・・。じゃあ、どうして今回僕が同行したかって?特急「はくたか」だからですよ。僕も白タカ・・・なので・・。やっぱり言わなきゃよかった。また皆様にお会いできる日を楽しみにしております!」
July 14, 2010
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忙しいなんて言葉をブログの見出しにするものではないのでしょうね。とはいえ昨今の僕はPCに向かっているか、国内外を問わずにクルマに乗っているかのいずれかで毎日をリフレインしているかのよう・・・。5月上旬から今日に至るまでコンチネンタル・サーカスを転戦しつつ、フェラーリ599GTOと458イタリアにクローズドとロードの双方で試乗し、違う日時と場所で試乗できることを最も期待していた599XXは今回は物凄い雨量の雨に見舞われたため試乗を見送りました。このほかにもヴァレンシアではSLS AMGに試乗し、911GT3RSをターゲットに据えてロウンチされたライトウェイト・ヴァージョン、アウディR8GTにも乗る機会に恵まれました。国内においてはアストン・マーティンV12ヴァンテージ、SL65AMGブラック・シリーズ。そしてつい先日、伝統のシルバーストン開催の直前、ヨーロッパのある都市でムルシエラゴLP670-4SV(スーパー・ヴェローチェ)とガヤルドLP570-4スーパー・レッジェーラを体験してきました。SVはいささか暴力的な部分が目立つものの、厳しく己を律し摂生して手に入れた肉体美のような筋肉を宿す走りを見せてくれます。とはいっても、ガヤルドLP570-4スーパー・レッジェーラとは大きく違い、ムルシエは相変わらず直線番長的な部分が拭えなくもありませんが、僅かな生産台数しかなかったレヴェントンと比べれば世界中のランボの顧客にはより身近なスペシャル・マシンであることは間違いないでしょう。この他にも国産車ではマイナーチェンジを受けたレクサスIS-FやCR-Zにも乗りましたし、列記するのはきりがないほど。これだけ多くのクルマに試乗した中で最もセンセーショナルだったのは599GTOとアストンマーティンV12ヴァンテージ。アウディR8GTやSLS AMGもインパクトがありましたが前述の2台には及びません。乗らせていただいたクルマのインプレッションや感謝状を丁寧に書き上げていると本職も含めて1日24時間では足りない日が続いております。これからさらに暑い日が続きますので皆様におかれましてもくれぐれもお身体ご自愛くださいませ。間もなく更新できる時間が取れるかと思いますが、それもまた流動的なので気長にお待ち下さい。
July 14, 2010
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2010年スーパーGTに“黒船”襲来!*黒船を意識させるためホンダのホームページから発表直後のカーボンボディのHSV-010GTのフォトを借用いたしました。日本で最初のレーシングコンストラクターといっても過言じゃないホンダが満を持して送り込むFRレースカー“HSV-010GT”ホンダが手がけただけあって運動性能の潜在力は高く、予選で際立つ速さはNSX譲り。一方で、デリケートな部分もそのまま受け継いでいるような部分も見え隠れしています。路面が濡れたときのタイア・チョイスを含めたセッティングの当たり外れの大きさも、ダウンフォースが充分な時の競争力とダメダメなときのタイム差なども、ストレートスピードが伸び悩む点などもNSXの血統か?黒船といえば・・・竜馬とペリー。Ray「僕は黒船詣でに参りました。今年こそシリーズタイトルを狙っていきたい。そこでやってきたのが黒船美術館のある伊豆下田の了仙寺」Ray「あれ?!?!ペリーって西郷さんに似てませんか?」Q ここのところシーズンを通しての成績が低迷していますね。今季の勝算は?Ray「負けることを前提にレースはしませんから勝算はともかく、最終戦までタイトル争いに加わる戦いをしたいです。今季は2人ともドライヴァーが変わるので変化をチャンスと捉えて、とにかくプッシュしていきたい。ARTA君とREAL君、そしてEPSON君には絶対に負けたくありません」Q タカちゃんには負けてもいいの?Ray「あそこはワークスですからね・・・。ドライヴァーも本命中の本命を揃えてるし。でも彼らがトロトロやってたらもちろんブチ抜きます。伊沢君もそう思ってるでしょ。昨年までお世話になっていたティームへの恩返しといえば超えていくことですから・・。ところでHSV-010GTって、来年のモデルはHSV-011GTになるんですか?」Q 昨年、僅差でタイトルを逃したARTA君は“黒船”に関してどんな印象をお持ちですか?ARTA「どうって・・。とにかく走らせてみないと解んないでしょ、クルマなんて・・・。まだ充分にマイレージを稼いでいるわけではないので路面や気温変化なんかへのアジャストが完全ではありません。前後のダウンフォースのバランスもまだまだです。そのあたりが上手くいくともうちょっと最高速も伸びそうなんですけど・・」Q モチベーション高そうですね。ARTA「もちろんです。HSVにチェンジしてからのホンダの初タイトルはARTAが実現させます。それより、どうしてラルフと井出のコンビなの?!?!あんまり合わない気がするんだけど・・・。1年だけのコンビになりそうだよね」Q Ray君がARTA君にだけは負けたくないと言ってましたが。ARTA「それは僕も同じ。Ray君にだけは絶対に負けたくありません。ていうか、Ray君には絶対に負けませんよ」EPSON「帰れソレントへ・・。ナポリの海が呼んでるな~」Q 船乗りとしてみた“黒船”HSV-010GTの印象は?EPSON「ロングノーズ、ショートデッキでフロント・ミッドを意識してるから操縦性はわりと良いですよ。でも、うちは他の4ティームと違ってDUNLOPユーザーでリソースが共有できないから開発が遅れてしまいます。SCと同じFRになったとは言っても重量配分や特性が違うから参考にならないし。おっと、俺としたことが言い訳してる。言い訳するぐらいなら奴らよりももっと乗り込まないとね」Q 道上君が教える最後のドライヴァーになるかも知れない中山君、2人の相性はどんな感じ?EPSON「どうでしょうね。でも、同じマシンに乗ってりゃ乗り方をアジャストしなきゃならないから近づいていくんじゃないですか。そんなことよりも先生、EPSONの歌舞伎顔デザインどうですか?デザイン的にちょっと微妙な感じしませんか?もっとブラビッシモなデザインに出来なかったのかな・・。おっと・・また愚痴ってるな俺・・・」REAL君が見当たりませんが・・・REAL「はん?」おお~こんなところに。Q REAL君は今季どんな感じですか?REAL「どうもこうもありませんよ。僕だけKEIHINカラーになってないのはどういうことですか?昨年だって塚越君が結構良い仕事したっていうのにまだ僕だけ初期のREAL Racingのカラーのままですよ・・・。ブツブツ・・・」Q ・・・・・REAL「まさか今年は新調してもらえるんでしょうね・・」Q 僕に言われても・・・。新調してもらえるように派手に活躍してみてはいかがですか?REAL「どうかな~。活躍しても僕は一番最後じゃないのかな」Q なんだか後ろ向きですね・・・REAL「僕としてはさ、絶対にNSX-GTのほうが良かったんだよな~。相性っていうか、僕の乗り方にはピッタリだったんだよね・・。残念だよ。もう一回そこの店で飲みなおすかな・・・」Q 飲みなおすってREAL君・・・。そのお店の名前重いな~。引きずってる??さて、エースのタカちゃんはと・・・。Q どうしてそんなに辺りを気にしてるんですか?TAKATA「なにやら殺気を感じませんか?」Q 特には・・・TAKATA「僕の思い過ごしですか。」Q ところでタカちゃん、今季のマシンはいかがですか?TAKATA「黒スーツのロックスターも気に入ってたんですけど、また白に戻りました。今年はウィダーがメイン・スポンサーでカラーを一新したのでより一層精進して、サポートしてくださるスポンサーの方々のために結果を出せる走りを意識したいですね」Q さすがのコメントですね。調子のほうは?TAKATA「小暮君とロイックさんのペアですからまったく問題ありません。2人の調子にマシンがついてきてくれて、熟成がスムースにすすめばおのずとタイトルを狙えるポジションにつけられると思います。今年の8月で故本田宗一郎最高顧問のご逝去18年目です。幸い僕たちは2007年にNSXでタイトルを獲ることができましたが宗一郎氏100歳のメモリアルイアーからは1年遅れてしまいました。これからは節目節目でキチッと結果を出して、故最高顧問に勝利を捧げたいと思います」そのころ・・・・「オオヅツ遊びにも飽きたし・・そろそろ俺もいこうかな・・・」「つかぬ事をお伺いいたしますがタカちゃんという純白の品の良いユキヒョウを見かけませんでしたか?」「そういえば、向こうの橋の欄干でインタビューに応えていたような・・。ところでアナタは黒豹さんですか?」「ご丁寧に教えていただきありがとうございます。ちなみに僕は黒豹ではありません。オロチと言います。今後お見知りおきを・・・」「ここは黒船が来航した下田。色んなヤツが尋ねてくる。世の中まだまだ面白い」TAKATA「やはり殺気が高まっている・・・。どこからくる?!?!」Q ・・!!!!TAKATA「りゃっつ!!」Q なんですか?!?!TAKATA「ついに来たな!!」OROCHI「奇襲を受けとめるとは見事だな・・・タカ!」TAKATA「何者だ?」OROCHI「オレの名はARMY GREEN the OROCHI」TAKATA「OROCHI!!オロチとはまさかあの!」OROCHI「そう・・・そのOROCHIから名を授かったんですよ」TAKATA「すげ~な・・・。そのうち、DBSとか、GT-RスペックVとか、599GTOとか、LS600hLなんて名前の刺客が出てきそうだ。キリがないな。しかも君は最新鋭のデジタル迷彩仕様ですか!で、何しに来たの?」OROCHI「オレは黒船の役目を仰せつかりました・・。新しい黒船としての役割です。手土産もある」TAKATA「手土産って何?」To be continued・・・(いつ更新できるか解りませんが・・できればカタルニア終了後に更新します)協力 Panther create studioご協力感謝いたします。今後もよろしくお願いいたします。
May 5, 2010
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今日は久しぶりにシューティング・レンジに出かけますのでこんな時間に更新です。“ラブFN”さんからいただいたコメントへの返信というか、さらに突っこんだ内容の更新です。ホンダが今季から投入したHSV-010GTの出現でスーパーGTは風雲急を告げる事態となりました。もっぱら開幕前はエンジンの統一化によるイコール・コンディションでの戦いが大いに注目され“ここ”にばかり誰もかもが視線を向けていましたが、蓋を開けてみればやはり僕にとっては予想通り。FNの戦いで新型エンジンの生みの苦しみを味わっているホンダ、トヨタのようなわけには行かないニッサン勢の苦戦。とはいえこれはニッサンにとっても最初から想定内にあること。FNに参戦していないニッサン勢がこれからどんなカタチでホンダ、トヨタを追撃するのか非常に楽しみです。開幕戦、天候に翻弄されたライヴァルたちのミスで手繰り寄せることができた#24の勝利にはラッキーストライクの香りが漂っています。今回の第3戦富士を見る限り、今季のニッサン勢はエンジン云々とかマシンの熟成などコンペティティヴな論点視点にスポットを当てる以前に落ち着いたレースができていないし、レース・ウィーク中すべてが空回りしているように見えます。これもFNにエンジンを供給していないニッサンの痛いところかもしれません。今季のスーパーGTはトヨタ系5ティーム。ホンダ系5ティーム。ニッサン系は昨季よりも減って3ティームに減少していますが、FIA-GT参戦のせいもあって中心となるNISMOティームのタイアをミシュランに変えたことが今季低迷の一端となってしまっているのは間違いありません。今のスーパーGTではタイア・メーカー変更直後から結果を出せるほど甘いカテゴリーでないことはサーキットに足を運んで観ている多くのファンが一番良く知っているからです。もう一つありますが、この問題は一番難しくニッサン勢が抱えるアキレス腱と言ってもいいかもしれません。スーパーGTは関係者やドライヴァーから「ハコのフォーミュラ」と形容されるカテゴリーです。しかしながら、技術的な観点から言えばハコのマシンがオープンホィールのフォーミュラとクロスオーヴァーすることは決してなく、限りなく近づくことはあっても交わったり重なることはないのです。それでも「ハコのフォーミュラ」の形容がなくならないのは、テクニック、すなわちドライヴィング・テクニックやスキルにおいてはフォーミュラとほぼ同等のものが要求されるからに他ならないからです。ここに視点を向けると今季のスーパーGTの勢力図がはっきりと見えてきます。現在のポイント・ランキング順に各ティームのドライヴァーを並べてみます。#1 脇坂寿一 TOYOTA アンドレ・ロッテラー #6 伊藤大輔 TOYOTA ビヨン・ビルドハイム#35 石浦宏明 TOYOTA 大嶋和也#38 立川祐路 TOYOTA リチャード・ライアン#18 小暮卓史 HONDA ロイック・デュヴァル#24 JP・オリベイラ NISSAN 安田裕信#100 伊沢拓也 HONDA 山本尚貴#17 金石年弘 HONDA 塚越広大#12 松田次生 NISSAN ロニー・クインタレリ#39 アンドレ・クート TOYOTA 平手晃平#8 ラルフ・ファーマン HONDA 井出有治#23 本山哲 NISSAN ブノワ・トレルイエ#32 道上龍 HONDA 中山友貴第3戦終了時点でのランキング順に並べ、このデータに今季のフォーミュラニッポンでのシートデータを加えて列記すると下記の表のようになります。スーパーGT メーカー FN ティーム Egサプライアー#1 脇坂寿一 TOYOTA シートなし アンドレ・ロッテラー TOYOTA #36 TOM’S TOYOTA#6 伊藤大輔 TOYOTA シートなし ビヨン・ビルドハイム TOYOTA シートなし#35 石浦宏明 TOYOTA #8 LeMans TOYOTA 大嶋和也 TOYOTA #37 TOM’S TOYOTA#38 立川祐路 TOYOTA シートなし リチャード・ライアン TOYOTA シートなし#18 小暮卓史 HONDA #32 Nakajima HONDA ロイック・デュヴァル HONDA #1 Dandelion HONDA#24 JP・オリベイラ NISSAN #19 IMPUL TOYOTA 安田裕信 NISSAN シートなし#100伊沢拓也 HONDA #2 Dandelion HONDA 山本尚貴 HONDA #31 Nakajima HONDA#17 金石年弘 HONDA シートなし 塚越広大 HONDA #10 HFDP HONDA#12 松田次生 NISSAN シートなし ロニー・クインタレリ NISSAN シートなし#39 アンドレ・クート TOYOTA シートなし 平手晃平 TOYOTA #19 IMPUL TOYOTA#8 ラルフ・ファーマン HONDA シートなし 井出有治 HONDA #16 無限 HONDA#23 本山哲 NISSAN シートなし ブノワ・トレルイエ NISSAN シートなし#32 道上龍 HONDA シートなし 中山友貴 HONDA シートなしニッサン勢のFNでのシート獲得率が低いことに気づかれるでしょう。スーパーGTでニッサンをドライヴしていてFNでシートを獲得しているのはJPだけで、他の5名はFNでのシートがありません。ここにサプライアーの意志が全く介在していないと言い切れるでしょうか?JPが獲得したIMPULのシートも本来ならウィリアムズのシートを喪失した中嶋が乗る可能性が大きかったはずです。サプライアーとて、今では単なるサプライアーではありません。トヨタも供給するからには条件を出す。そのくらいの意志が介在しても不思議はありません。スーパーGTでのニッサン勢は3ティーム(NISMO、IMPUL、KONDO)すべてのエントラントがまったく違うメーカー(ミシュラン、ブリヂストン、ヨコハマ)のタイアを履き、FNで試せない新しいエンジンを使い、さらにFNを走っているドライヴァーがいないのでフィードバックが充分に得られないというトリレンマに陥っています。不景気の影響はこういう部分に影響を及ぼします。ティームがティームの意思だけでシリーズを戦い動かすことが出来なくなっていきます。FNで走っているドライヴァーを抱えていないからスーパーGTのチャンピオンは獲れない・・という意味ではありません。むしろGT純粋培養のドライヴァーのほうが際立った速さを見せることもあります。しかし、FNと共通のパワーユニットに変更するというレギュレーションに変更された時点でこういう傾向が現出するであろうことは解っていたのです。僕はニッサンがFIA-GTにGT-Rをエントリーさせる決断を下したのはこのことと無縁ではないような気がしています。FNにエンジンを供給していないニッサンはGT-Rという最強のハコを有効活用し、ハコそのもの、あるいはパワーユニットそのもののポテンシャルが勝敗を分けるFIA-GTで技術力をアピールしようと思っているはずです。例えばレクサスがリリースするハイエンド・フラッグシップ・スポーツLF-AはスーパーGTに参戦するよりもV10というパワーユニットのポテンシャルを最大限有効活用することを考えればV8にヴァージョンダウンしなければならないスーパーGTに参戦するより、V10のままエントリーできるFIA-GTにエントリーするほうが適切です。発売前にニュルでのレースにエントリーしていることからもLF-AがFIA-GTへのエントリーを模索していることは間違いないはずで、ニッサンとしてはそれまでにFIA-GTでなんらかの結果を出したいはずです。レース界は今、激動の時代に翻弄されています。自動車メーカーも同様です。特に海外でのレース活動はかなり過酷です。このままでは日本のメーカーと彼らの技術力と頭脳のほとんどは中国や韓国などの特定の企業に買いまくられる危険性さえも出てきます。新車の発表や販売業績に一喜一憂している場合ではありません。水面下ではもっと危険な状態になっています。日本人一人ひとりがそれを強く自覚する必要がありますし、今、政権を握っているおバカな政党がさらに日本を弱体化させる可能性も無視できません。来年、再来年、僕が今憂慮していることが現実のものとして日本や日本企業を脅かしていないことを祈るばかりです。*急いで更新したので一覧表が見難くなっておりますがご了承下さい。それではみなさん良い休日を。
May 3, 2010
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概ね、フォーミュラ1の今季の趨勢はほぼ決まったように思います。F1がコンペティションであることを踏まえれば、チャンピオンシップそのものはティームの出来不出来やドライヴァーの良し悪しにも左右されるのでタイトルの行方そのものはまだまだ解りませんが、マシンそのものの競争力やテクニカル・トレンドの方向性、来季の競争力を高めるための方向性はすべて決定され、見えたといっても過言ではありません。今季、勝敗を決する最大の要因・・・要因という言葉はある意味適切ではないかもしれません。勝機を手繰り寄せるための条件・・と言い換えたほうがより近い表現になるでしょうか。今季の勝利条件は非常にシンプルです。まず1つ。個々のマシンが持っている性質、さらに言えば最も優れた運動性能が発揮されるマシン重量付近でその性能を余すことなく発揮することが出来るタイアを選択できているか否か。2つめは履いていてもそのタイアが一番いい状態の性能をキープできていなければ勝負どころでプッシュできないので徐々に脱落していくしかなくなります。これに関してはショート・スティント戦法がありますが使えるコースには限りがあり、これをやってしまうと勝利条件を失ってしまうコースが少なからずあります。これは、何も今年に限ったことではなく、昨年までもそうですし、あらゆるモータースポーツが同様の傾向を持っています。しかし、今季はことのほかこの傾向が強いように思われます。その理由の一端が昨年からのエアロ・エレメンツの削減とドライヴァー・エイドの削減、今季の給油禁止にあることは明白。エアロ・エレメンツが削られ、ダウン・フォースも削られれば回頭に必要なコーナリング・フォースも必然的に低下するのは自明の理。今季、コーナーで跳ねているマシンが多いのは明らかにコーナーでのダウン・フォース不足が原因です。こうなってくるとコーナーでのパーシャル状態に差が出ますし、コーナーの立ち上がりでスロットルを全開にするタイミングがドライヴァーの技量により異なるのも必然。すなわち、予選で最も速いセバスチャン・ヴェッテルは今最速のF1ドライヴァーで、最も上手いドライヴァーの一人であることは疑いようがありません。もう一人、セバスチャンのようにセンサーの塊のような走りをするドライヴァーとして僕は可夢偉を挙げたいのですが最悪なことにBMWザウバーは今季一番ダウン・フォース不足が深刻なマシンで可夢偉でさえも苦しんでいます。セバスチャンは決してマシン的に恵まれているわけではありません。マシンのバランスは素晴らしいけれども、マシン本来が持つ優位性ではマクラーレンに次ぐ程度のレヴェル。それでも彼は連続ポールという形で自身の速さを証明し続けています。可夢偉も同じレヴェルのマシンにさえ乗れれば同等のパフォーマンスを見せることができるはずなのですが・・・。デザイナーやエンジニアはこの優れた感覚を持つ数人のドライヴァーに任せっぱなしでは勝てるチャンスが激減することが解っているので、ダウン・フォースが削られ、コーナーでのグリップが得にくい状況ならばドラッグを削って削って最高速度、さらにいえば最高速度までの到達速度をいかに短くするか?という非常にシンプルでいて、もっとも作業効率のよい部分に注目したのです。与えられたマシンが特定のコース毎にどの重量の時にもっとも素晴らしいパフォーマンスを発揮するか?これを知っているのと知らないのとでは勝てる確立はもちろん、勝つための戦術や戦略が精度の高いモノになるか、机上の空論あるは博打のレヴェルに留まるか話しにならないほどの差になります。大幅にレギュレーションが変わって2シーズン目の今年はティーム毎のモナドロジー・・・すなわち勝利という予定調和に向かってひたすら走る。ただ走るという状態が続いています。時折、ドライヴァーのスピリッツ溢れるテール・トゥ・ノーズやサイド・バイ・サイドがありますがそれさえもマシンとタイアのコンディションがいい状況にないと簡単にそのポジションを明け渡さざるを得なくなります。マーク・ウェバーしかり、ミハエル・シューマッハーしかり、フェルナンド・アロンソでさえもその例外ではありません。マクラーレンが最も効果的なテクニカル・トレンドを作り上げましたがトップ・スピードへの到達速度を圧縮するという技術開発はどこでも行われています。しかし、その代償は大きい場合が多いのも実情。その最たるものがタイアへの負担です。毎年毎年ブリヂストンの開発スタッフは想定外のテクニカル・トレンドに対応するキャパを備え万全の体制でレースに臨んでいる姿勢は素晴らしいというほかありません。ブリヂストンとしては企業イメージを損ねるようなタイア・トラブルやタイアが原因で起きたアクシデントを絶対に避けたいはずなのでリスク・マネジメントの意味でもタイアの安全性には細心最大の注意を払っているはずで“そこ”にかかってくる経費や財務上の負担は計り知れないものであることが予測できますから、F1を撤退したいブリヂストンの気持ちは良く解ります。ブリヂストンが撤退したあと、どのタイア・メーカーが参入してこようとも、今季のスピードレンジやラップ・タイムは維持できないことは明白です。よしんば今季のタイムを上回るようなラップで回れるようなタイアを作れたなら、そのタイア・メーカーは相当の開発コストをかけたことは明らかなのであっという間にその企業の財務状態を逼迫する危険性さえあります。しかしながら、一方ではそのブリヂストンがF1に参戦して蓄えてきた貴重な情報をもとに生み出されたテクノロジーを多くの企業スパイや産業スパイが狙っていることも良く聞かれる話です。ブリヂストンの情報を得て、某韓国タイア・メーカーがF1に参入するとか、急成長し世界でも屈指の好景気を誇る中国企業が某タイア・メーカーを買収してF1に参入するとか、色んな噂があとを絶ちません。ドバイなど、オイル・マネーの後ろ盾を得たタイア・メーカーの台頭の話もよく耳にしますが、どれも可能性はあっても実現するには問題が山積しています。F1に限らずモータースポーツの開発はスピード勝負です。すぐに動かなければ次はありません。次のレースに間に合うかどうかどころか来季にさえ間に合わない場合もあります。タイアのほうに逸れてしまいましたが今季はマシンとドライヴァーの相性、さらにその走りの相性とコース・レイアウトの相性がどうなのか?そこにタイアが関わってきた時にマシンがベストのパフォーマンスを発揮できるためのタイア性能をドライヴァーが維持できるスキルをきちっと備えていて実践できているかどうかが鍵となります。レッドブルはとてもいいマシンですが他のマシンよりもコーナリング性能が高いためにコースとの相性、路面コンディションとの相性でマシンとタイアのマッチングに幅がありすぎるのが弱点です。これも適切ではありませんね。コーナリング性能が高いためにタイアとのマッチングでナーバスな点があるため今季は弱点に転じてしまっている部分があります。昨年までは給油があったので軽いタンクで走ればタイアに対する負担は軽減できたので速いペースを維持することが出来ましたが今年はそういった戦略が立てられません。重い状態でのレッドブルはコーナリング性能を武器としているためロール・モーメントが大きすぎて持ち味を発揮できません。しかも重いファースト・スティントでオプションを使わなければならないようなコースや路面コンディションでは希望はありません。本来なら中盤以降、マシンが軽くなって、密集状態ではなくなった頃合を見計らってオプションでスパートしたいはず。そのほうが無駄も少なく効率よくマイペースで走れるからです。それでも予選最前列を狙うのは混戦でのアクシデントで早々に戦線離脱を余儀なくされる最悪の事態を避けたいからでしょう。今最も乗れているドライヴァーはフェルナンドでもフェリペでもありません。もっとも乗れてる最速男はセバスチャン・ヴェッテルです。今季のルイスとジェンソンはマシンの優位性に少し助けられている部分があります。ルイスは昨年のマクラーレンの不振を引きずっていて、どうも勝負勘が鈍っているのでは?と思われるような一面もありますし、ジェンソンに遅れまいと空回りしていることもあり、復調には程遠いのが実情。ドライヴァーズ・タイトルの本命は間違いなくセバスチャン・ヴェッテル。しかし、毎年言っているような気がするけれども、一番チャンピオンに相応しいドライヴァーがタイトルを獲れない。なんというチャンシップなのだろう。本当に皮肉なものだ。P.S.コメントをいただいている皆様へのお詫び。コメントいただきまことにありがとうございます。コメントに返信いたしますと、更新のための時間が取れません。僕の性格上適当にお答えすることだけは避けたいので安易なレスもしたくはありませんので、時間が取れるまでお待ちいただけると幸いです。せっかく書き込んでいただきましたのに申し訳ございません。この場を借りてお詫び申し上げます。
April 25, 2010
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今年は一度しかF1の開幕前展望を書いていませんが、3戦を経過した今も予想どおりだったな・・・と思っています。フェラーリは開幕のサクヒールこそ混乱に乗じて勝ち星を挙げることができましたが、荒れないレースでそれこそ淡々とレースが進む展開だと満タン時と軽い時との挙動格差が大きすぎるフェラーリはポジションアップに苦労しているように見受けられます。そんな中、よくも悪くも長年フェラーリに慣れ親しんだフェリペはそのピーキーなマシンにもいち早く順応し、セパン以外はポディウムを獲得する安定感を見せています。このあたりはフェルナンドよりもフェリペのほうが1枚も2枚も上手。フェルナンドは荒れた開幕戦の中こそ、チャンピオン経験者の勝負勘と嗅覚で1位をもぎ取りましたが、その後はピーキーなマシンに対応しきれていません。第3戦セパンは比較的順当にレースが進み、ドライヴァーのマッチングを含めたマシン特性が顕在化したレースと言えます。速さの基準はレッドブルが握っています。テクニカル・トレンドの方向性はマクラーレンがリードしています。メルセデスGPも速さは充分な競争力を持っていますがコースにアジャストさせることに苦しんでいます。給油がないのでフューエル・エフェクトを利用する戦術も使えません。コース上でポジション争いを決着させる必要がありますが、レースが荒れたときのティームやドライヴァーの判断もカギ。荒れたレースが多く、知将ロス・ブラウンの戦略を実現しにくいのもマイナス要因。まずは一発の速さを磨いて序盤のトラブルに巻き込まれないスターティング・グリッドを定位置化することも急務でしょう。フェラーリは速さこそあるものの、コースとのマッチングに当たり外れが多く、軽いタンクでのアタックと満タン時のアタックで違うマシンに乗換えたのでは?と見紛うほどの挙動変化がある点の是正は必須でしょう。重い時と軽い時とのタイアにかかる荷重を細かくシミュレートし、マシンの細かい重量変化や荷重変化に対応するため積極的にタイアを上手に使うことを目的として作りこんだフェラーリならではなのですが、今のところそれが裏目に出た感が否めません。ただ、フェラーリもこのまま看過するとは思えませんのでイスタンブールあたりまでにはまとめてくる可能性があります。それまでの間にレッドブルやメルセデスGPやマクラーレンがどれだけポイントを伸ばせるかが今シーズンの行方を決めると思います。これから上海、カタルニア、モナコ、イスタンブールと、マン・マシン・インターフェイスとマッチングがどれだけ進んでいるかを探れるコースが続くので今後はそちらに注目していこうと思っています。さて、話題は変わってスーパーGT。正直、開幕戦はがっかりした。というより悔しかった。一番速かったのに、気まぐれな天気に翻弄されて後退し、最後はホンダ同士でHSVが一度に2台も全損に近いぐらい潰れて戦線を離脱してしまったのですから。でも、そのつけを次の第2戦できっちり返すあたりがこの2人の凄いところ。かねてから僕はNSXでタイトルを獲りたければ絶対に小暮君とロイックさんを組ませるべき、とことあるごとにこのブログで言い続けてきましたが、今年は磐石。このことからもホンダがHSVに託す思いをうかがい知ることができます。故本田宗一郎最高顧問を追悼する際に特別編集された社内報ポールポジションに中村良夫氏のコラムが載っています。ホンダがF1に参戦することを宣言した昭和39年1月。僕はまだ生まれておらず、ホンダはこの時点で軽トラックT360と小型スポーツカーS500のラインナップのみ。そこで中村氏はマン島のTTレースで好成績を収めたらF1にチャレンジしてみてはどうかと提言すると故最高顧問はこう答えたそうです。「できるかできんかオレにはわかんねえけど、オレはやりてえよ!!」と。NSXの誕生にもこの精神がありました。できるかどうかはやってみなけりゃ解からない。これこそがホンダ・スピリット。NSXの意志を本当の意味で受け継がせるスーパースポーツを生み出すのならホンダは「デヴュー・イヤーのタイトル獲得」という至上命題をHSVに課しているはず。童夢やホンダ・レーシングのみなさん、小暮君、ロイックさんにはデヴュー・イヤーのタイトル獲得なんて「できるかできんかオレにはわかんねえけど、オレはやりてえよ!!」の心意気で、FRでもホンダはやれる!ということを証明してほしい。そうなったら僕にとってはオンもオフも2010年は物凄いビッグ・イヤーになります。頑張ってください。ホンダ・レーシング、童夢、M-TEC、そしてHSV-010のドライヴァーの皆様、心から応援しています。
April 11, 2010
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フェラーリの技術を盗んだとの咎で被った執行猶予期間が切れるためマクラーレンはエアロダイナミクスでもヴィークルダイナミクスでもかなり攻め込んだマシンを作り上げました。この攻撃的なコンセプトが実戦でどういったパフォーマンスをみせてくれるのか楽しみです。今季は給油がなくなるのでドライヴァーのタイアマネジメント能力がレースの流れ全体に影響を与えます。タイアは交換できるんだからあまり関係ないんじゃないの・・・と思う方もいらっしゃるかも知れませんがレーシングカーやフォーミュラマシンのガソリン搭載量の増減における運動性能の激変は看過できません。極限まで軽量化しているフォーミュラではガソリン1kgでもタイアのコンタクトパッチに与える影響と重心に与えるモーメントが変化します。実際のところは現在の軽量化技術を駆使すればF1はもっともっと軽くなりますので極限という表記は適切ではありません。ガソリン消費によって軽くなったときの僅かな変化を追いかけることさえできるF1ドライヴァーがいます。それもまた彼らのスゴイ能力の片鱗です。今季はまだメルセデス・エンジンを使えるマクラーレンは勝負の年。今季圧倒的なパフォーマンスを見せて新しい有力なエンジンサプライヤーを見つけたいところでしょう。僕は今季から撤退するBMWがマクラーレンへのサプライヤーになるのでは?という予想が未だ払拭できずにいます。すなわち撤退はあくまでもポーズで、メルセデスがマクラーレンから手を引くことを決定した時期ではザウバーの件があるのでBMWは即座に決断はできなかったものの、1年間置いての復帰ならエンジニアリング的な遅れは無視できなくても彼らの技術力なら取り返せないほどではありません。マクラーレンF1でコラボした2社ですからF1で再コラボもありえるのではないかと思っています。あ、これはあくまでも僕の予想に過ぎませんのでご了承ください。今季はマクラーレンとメルセデスGP、レッドブルが中心になってGPを引っ張っていくでしょう。ハマれば速そうなのがルノー。*書き忘れましたがハマれば速そうなのがもうひとつ。ザウバー。可夢偉の実力なら必ずやポディウムに立てるはずです。フェラーリの今季にかける思いはただならぬものがありますが正直ここは解りません。満タン時のだるそうな感じにも見える動きと、軽くなってからのピーキーな運動性能を上手くバランスさせることができるのか?それともライヴァルたちに悟られないように小細工してパフォーマンス・ダウンしているだけなのか?いまの段階で判断するには時期尚早。はっきりしているのは前述した3ティームのいずれかが開幕ダッシュを決めてしまうと、その開幕ダッシュを決めたティームが間違いなく主導権を握りシーズン中有利に戦うことができるのではないかということ。今季は間違いなく面白い戦いになりそうですが、ここのところ毎シーズンのようにレギュレーションが変更になっていて規則の抜け道探しが無効化されるといういい部分もある反面、エントラントに金銭的な負担を強いている傾向になっているような気がしてなりません。FIAはほんとにブリヂストン撤退後のこと考えてるのでしょうか?
February 22, 2010
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今回、プリウスなどのハイブリッド車で問題視されている寒冷地でのブレーキ抜けのような現象ですが、僕個人の見解としてはこれをリコール扱いとするのは不適当であると思います。ハイブリッド車ではなくてもスノーロードで少々強めにブレーキを踏んだり、パニック気味に踏めばマシンは滑走します。確かに制御系でもっと見直せる伸びシロはありますがリコール対処ではなく、注意喚起を促し改良やヴァージョンアップの無償対応で対策できる内容です。ハイブリッド車は根本的に在来車とは違います。オール電気で走る電気自動車ではないにせよ「いままでの純粋な内燃機関しか持たないクルマとは明らかに違う」のです。そのクルマを今までのクルマとまったく同じように乗っていること自体に大きな問題があることにユーザーも行政もそろそろ気づくべきです。僕はF1にKERSが導入される際も乗り方が変わると断定しました。ところがやはり回生というコンペティションのなかでは無駄ともいえるエンジン・ブレーキ利用はドライヴァーの今までの走りや考え方を変えるにはいたらず不発だった感が否めません。このブログで何度も回生システムが本格導入されるとすべてが変わるということをことあるごとに書いてきましたが、一番ハイブリッドが浸透しているこの国でもこの部分が未だ理解されていないのは非常に残念です。僕はこの問題の多くはトヨタだけにあるとは思いません。無論、クルマのマネジメントや電子制御を含めてもっと多くの方に知っていただくための啓蒙活動をトヨタが私費を投じて積極的に行っていくべきだったことは疑いようがありません。この点に関してトヨタは深く反省する必要があります。しかしながら、環境保護技術、エネルギー回生エコ技術の分野を拓き、0から1を生み出したトヨタをバックアップするために行政側が取ったアクションはどれほどあったでしょうか?これが欧米なら程度問題こそあれ、政府が介入し、技術保護や知的財産として守れるものはないかどうか躍起になるかもしれないほどの第1歩でした。日本の行政側からはリコールには逸早く対処してもメーカーへのバックアップは未だにありません。さて、ここからが僕が書きたい本題。行政側でもハイブリッド車のもしもに対応する対策を講じておくことはできました。ハイブリッド車は今産声を上げたクルマではありません。ハイブリッド車に適応するドライヴィング・スキルを養うため運転免許教習所でハイブリッド車を使う路上教習と学科講習を導入するなど行政側での工夫があってもいいはずなのに未だ法制上は未整備です。せっかく生まれたアイデアや素晴らしい技術が失われてしまうのが僕は残念でなりません。なぜ残念かというと僕は凍結時や降雨時ハイブリッド機能を最大限活かし、かつハイブリッド車の重たいボディを安全に停止、制御するために常に左足ブレーキで過重や姿勢をコントロールし、フット・ブレーキが効いて回生が停止する領域と回生が始まる領域をできるだけ積極的にコントロールすることを心がけて乗っています。そのために左足ブレーキは必要不可欠と思われ、冒頭で書いたアクセルとブレーキを同時に踏んだ場合はブレーキを優先する制御に切り替えていくということになるとハイブリッド車の長所を相殺してしまうことになるのではないかと危惧しているからです。これはハイブリッド車の優秀な燃費性能と、安全性の双方に疑問が残る決定です。ブレーキ優先=安全は初心者判断の典型ではないでしょうか?トヨタが迎えている危機。JALが少なからず行政の愚行を受けて衰退したようにトヨタがその二の轍を踏まないことを祈るばかりです。万が一、トヨタが外資の傘下に入るほどのダメージを被れば日本の競争力は地に落ちたも同然です。今回の一連の流れは業界こそ違え、数年前に起きたマンナンライフのこんにゃく畑の販売自粛のように不当なイメージがあります。こんにゃく畑も老人や子供にそのまま与えたらゼラチン質で固めた普通のゼリーじゃないのだから危険なのは解るはずです。ちょっと考えれば誰でも想像がつく危機回避能力のない人たちの悲劇によって企業が被ったダメージの典型でした。殺虫剤で殺すのではなく、瞬間凍結させてハエや蚊を退治するスプレーもそうでした。自分で購入してきたはずの商品なのに注意書きも読まずにいきなり使用するから想定外の結果を招くということが往々にしてあります。こういう使用者責任という言葉を知らない無責任なユーザーのせいで素晴らしいアイデアや技術が埋もれていく、衰退していくのは残念でなりません。今回のハイブリッドの件に関しては決してユーザーのせいばかりではありませんが、素晴らしいアイデアを叩くばかりではなく、どうすべきなのかみんなで一緒に考え、新しい時代のクルマを拓いていく楽しみをみんなで共有してもいいのではないかと思います。それだけの価値がハイブリッドにはあります。トヨタを援護する意味でプリウスを一台と言いたいところですがRX450hを買ってしまっているので今回はスルーです。そのかわり株を買い増しします。がんばれトヨタ。ハイブリッドの盟主は間違いなくトヨタなのですから。こんなことで価値ある技術的競争力を失ってほしくはありません。
February 18, 2010
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陰謀説まで飛び出し、リーマン・ショックを超えるほどの勢いを見せはじめたトヨタ・ショック。決算期を控え、この問題が日本経済全体に与える影響は計り知れないでしょう。トヨタF1撤退の際に僕が連載した問題提起に通ずる部分もあるだけに非常に気がかりです。僕のいやな予感はどうも当たる傾向にあります。当初、この問題に関して僕は静観しようと思っていましたが、日曜日(?)の某新聞記事上にトヨタはドライヴァーがブレーキとアクセルの双方を踏んだときにはブレーキを優先させるクルマ作りにシフトさせていくという記事に危機感を感じずにはいられませんでした。これでは何のためにアクティヴ・セイフティ技術やヴィークル・ダイナミクス技術を統合制御するための技術開発費を計上してきたのか解らなくなります。これはトヨタにとっては死活問題にも直結することです。ここに至り、僕も一言書くことに決めました。僕が書いたからといってこの決定がどうにかなるものではありませんが・・・。そもそもハイブリッドやKERSは在来型のクルマとまったく同じ乗り方をしていてはその機能や性能のアドヴァンテージを活かしきっていることにはなりません。回生という機能を最大限活かすためには加速中の状態から減速に移るブレーキを踏むまでの僅かなエンジンブレーキを有効活用します。フット・ブレーキが一定以上効き始めるとハイブリッドの回生システムは発電を停止し完全に減速に専念します。このメカニズムを勘違いしている方や把握していらっしゃらない方々が意外と多いのが現状。ハイブリッドにしたのに思ったほど燃費が伸びないと嘆いていらっしゃるかたの大半は在来車(ガソリン車、ディーゼル車)用の旧態依然としたドライヴィングをハイブリッドでも実践してしまっていることが大きな理由です。ハイブリッドのレースカーともなればなおさらで、F1だけでなく十勝24時間を戦ったスープラ・ハイブリッドなども従来のレースカーの乗り方ではその持ち味を100%発揮できずに終わってしまいます。ちなみに僕のLS600hLはリッターあたり9km前後で走ります。とはいえ勘違いしてほしくないのは高速道路などの一定速度を維持してのロングランによる燃費向上が期待できるステージでの燃費ではなく、ほとんどが日々の街乗り、すなわち都内の渋滞路や混雑路がメインで時々首都高速や高速といった普通の走り方をしていての燃費です。5,000ccの排気量を持つ重量級大型サルーンの燃費性能としては驚異的です。その燃費性能を稼ぎ出す秘訣はもはやいうまでもありません。ガソリンエンジンが動いているときに無駄なスロットルは絶対に踏まないことは当然ですが、フット・ブレーキに頼りすぎずにエンジンブレーキを長く使える乗り方を心得ることです。この間に回生して蓄電し動力に変えていきますので、僕のLS600hLは冬場の寒さの中でも1日の最初のスタート時、エンジンが始動してから動き出したことは今までありません。ハイブリッド車に乗ったことがない方には非常に違和感のある言葉だと思いますが、キャパシタに充分な蓄電量があればハイブリッド車はスタート時にエンジンがかかることはごく稀です。一般的には寒さの厳しいときや降雨、降雪時の夜間走行では多くの電力を使いロスもするので、エンジン・スタートせずに動き出せるだけの十分な電力がキャパシタに残っているケースは少ないので冬場はエンジンをスタートさせて動きだすハイブリッド車が多いようです。ハイブリッド車に乗っていらっしゃる方はお分かりかと思いますが、冬場の寒さの厳しいときは1発目のスタート時が特に厳しいです。エンジンが始動しないので、まずヒーターの立ち上がりが遅れ気味。しばらくはシートヒーターのみでしのぐ必要があります。しかし、それは地球の環境問題を考慮すればやむをえないことと僕は割り切っています。いまどき暖機運転という言葉は死語になりつつありますがハイブリッド車は走り始めてからエンジンがかかるのですから暖機運転とはまったく無縁のクルマです。~続く~
February 17, 2010
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ホンダがスーパーGTのレギュレーションに合わせて送り込むHSV010GTはとても楽しみな仕上がりを見せていますね。ホンダが仕立てる初のFRレーシングカーというのも興味深い。鈴鹿テストの感触はそんなに悪くはないようなので#18と#17のコンビには特に期待したいです。#100も大化けする可能性もあるし。ところで再三伝えているスペックV。なかなかマイレージが伸びません。やはり昔から比べると全開アタックするためにクローズド・コースにでかける頻度は少なくなりました。とはいえスペックVは街乗りが物凄く難しいクルマではありません。むしろ拍子抜けするくらいスペシャル・スペックなの?と疑iいたくなるほど。ま、911GT3と911GT3RSの違いも似たようなものですが。しかし、普通に乗っている状態でも一定のアヴェレージに達しているドライヴァーならR35ノルマーレでないことは即座に解ります。いやでも解るのはステアリングのブーストアップを使ったとき。ひとたび使うと過給圧があがり中速域のピックアップが向上するので、それこそ狼としての野性の本能が剥き出しにされます。このときにしっかりボディ剛性を活かしながら足を十分に使う走りを心がけると普通に走っているときとは違ったスペックVだけの地平線が見えてきます。日常的に見えている限界も非常に高いのですが、ここまで使ってみてさらに見えてくる彼方の地平線。クルマを走らせて徹底的に楽しみたいドライヴァーにはたまらく面白い一品。(笑)マシンの限界域を引きだせるドライヴァーにしかスペックVの恩恵やスペックVたるエンブレムの価値は理解できないクルマに仕上がっている部分が玄人好みで良いです。走行距離は1,500km程度。まだまだこれからです。ノルマーレのR35ももっと走り込まないと。(笑)
February 8, 2010
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今日はこちらの亀で有名な都内のあるポイントに仕事で行ってまいりました。巨大なアトリウムには亀の甲羅をモチーフにした巨大な甲羅型噴水があります。昼間から風が冷たくて、なんだか寒かったですね。雪が降るという予報がありましたが、麻布十番にも降りました。今季の初雪。初大雪。こちらは新一の橋から東京タワー側と六本木ヒルズ側を撮った写真ですがいずれも大雪の状況がお解かりいただけるかと・・・。こんな日だというのにスタッドレスも履かずにGT-Rを走らせる馬鹿は僕ぐらいでしょうね。ラフなスロットルワークさえ避ければかなり安定していますがワーキング・テンプチャーを外してしまうとホンとに4WD?と思ってしまうほどあっさりと回る一面もあります。こういう日はスロットルワークの訓練になるから面白いです。今夜は十分に堪能しました。
February 1, 2010
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まず結論から言うとサーキットを攻略するための純然たるスポーツカーとしての資質やパフォーマンスではGT-Rのほうが1世代ぐらい先を行っています。しかし、公道におけるパフォーマンスではそこまでの差はありません。それでもGT-Rのほうが0.5世代ぐらいはR8よりも進化したポイントにいそうです。ただ、クルマの評価は必ずしも走りだけで決定されるものではありません。人間の五感に入力されてくる幾つものフィーリングの一つ一つを伝えるクオリティがアヴェレージの高いドライヴァーに伝達する情報量と、標準的なドライヴァーに伝える情報量は大きく変わりますし、そこで伝えられてくる情報のクオリティさえもドライヴァーのレヴェルが変われば変わってしまいます。このことからも当然、乗った人間のアヴェレージによって評価が変わることもありますし、単に好みの問題も含んでいることさえあります。ドライヴァーのセンシング能力は一様ではなく千差万別。この「人それぞれ・・」というポイントに作用するエンジン音の伝え方や聞かせ方、あるいは多くの振動や揺れなどのフィーリングの伝え方であったり、数値とは無縁のエモーショナルな部分の表現力が国産メーカーは未だ開発途上にあります。この点においてR8はGT-Rより表現力が豊かで密度があります。決してパフォーマンス的にR8はGT-Rよりも優れているわけではありません。むしろ、マシンの挙動を極限状態に追い込む作業をすればするほどGT-Rの懐の深さには驚かされます。それに比べR8の引き出しはGT-Rほど多くはなくカウンター・アクションも限定されます。マシンのポテンシャルやパフォーマンスとしてはどんな場合もGT-Rのほうが上を行っているといっても過言ではありません。そんな中、R8のほうが優れている点はドライヴァーにその情報を伝える際の挙動がとってもマイルドであることと、その挙動が的確で解りやすいことが挙げられます。少なくとも異母兄弟的な位置にあるランボルギーニ・ガヤルドよりも限界付近を引き出しながら乗り続けるアタックラップにチャレンジする際に911GT3よりも格段に乗りやすいことは明らかで、ガヤルドでさえもこの安定感と安心感は備えていません。ガヤルドはとてもいいクルマですが過渡領域でのマシンからのインフォメーション能力は物足りなく、僅かなインフォメーションをセンシングできるかなり高いドライヴィング・スキルが要求されます。ただし、逆に町乗りレヴェルのアヴェレージでは一転して乗りやすく、「おいおい・・・」と言いたくなるようなかつてのファイティングブルの血は希釈され洗練されています。言い換えればランボはドライヴァーに抜きん出たドライヴィング・スキルとセンスを要求してくるので、ドライヴァーがこれを満たしていない場合、平凡な走りしかできないルックスだけがスーパースポーツのGTカーになってしまいます。とはいえ、現在のスーパースポーツの傾向はみな同じ。お金があっても壊したくなければドライヴァーに最低限の努力を求めたかつてのスーパースポーツとは違い、現在は購入できるクラスにいるリッチなドライヴァーであれば大変な思いをしなくても気軽に乗ることができるように作られています。これも至極当然のことで、安全に乗るためにドライヴァーに多くのスキルやセンス、テクニックを求めるクルマでは売れるはずもなく会社の経営は一気に傾いてしまいますし、公道を走る危険性ばかりが上昇してしまいます。この部分に狙いを定めたのがランボルギーニの4WD化であり、異母兄弟R8の誕生であり、国内ではスカイラインGT-Rを祖とするNISSAN GT-Rです。このジャンルやセグメントには対象車がありそうでなかったのが現状です。ここから少しばかりGT-Rに関する記述とNSXに関する記述が増えますがお付き合いください。NSXは国産初のスポーツカーとして未踏の領域、そして独峰へと挑んできました。NSXはポルシェに肉薄し、フェラーリを超え、そしてヴァージョンアップを果たすうちについにスポーツカーの指標であるポルシェを超えて見せました。しかしながら、ポルシェを超えたものの、安全かつ安定した走りでポルシェを蹴散らすようなマシンではなく、どちらかといえば古典的な尖がったリアル・スポーツでした。そこに4WDの安定感をも取り込んで、かつての悪路走破用のイメージが強い4WDをブレイクスルーすべく登場したのがスカイラインGT-Rです。確かにポルシェ959やランチア・デルタの2番煎じと言ってしまえばそれまでですが画期的だったのは可変する前後の駆動配分。当時は50:50とか40:60とかの固定。それを電子制御で段階的にコントロールすることでリジッドな4WDからFRに近づけることまでやってのけました。このアテーサ・システムは新世代4WDの代名詞にもなり、後に日本から発するセリカやランエボ、インプレッサなどの4WDスポーツ・ブームの火付け役を担ったことも事実です。こういった細部の主義主張そのものがGT-RとR8、両者のキャラクターを似て非なるものとして表現し走りで体現しています。どちらが良いのかという判断は馬鹿げています。どちらを支持するかはドライヴァーの好みによる部分が大きいこと。さらにドライヴァーのスキルによって幅広く対応してくれる両者はこれからのスーパースポーツの先鋭的な位置に到達していますので、両者とも簡単にライヴァルに道を譲らなければならないような状況には陥りません。それは例え、メルセデスAMGであろうとBMWアルピナであろうとフェラーリであろうとポルシェであろうとです。直線番長的な勝負だけならこの2台を撃墜するクルマは少なくありませんがいろんな状況や路面コンディションでの勝負になればこの両者は共に譲らない戦いを見せます。F1に例えるならば、この2台は最後の最後ファイナルラップまで行方のわからないチャンピオンシップ争いとバトルを展開します。その結末を決するのはドライヴァーの技量とか、マシン性能とかではなく、単純な勝負の綾や運によって決定されるあっけない幕切れであるかもしれません。~続く~
February 1, 2010
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久しぶりに電車に乗って温泉につかってきました。シーズンオフ中にしかできない楽しみの1つです。電車に乗ること自体が何年かぶりで新鮮でしたが、目的地についてからはシーズンオフ中に過ごすゲストハウスに格納してあるLSで移動。良い休日を過ごすことができました。これからは国内と海外の双方でテストが増えるので、また仕事が増え始めます。つかの間のオフが終わったら国内でも海外でも本格始動。そういえば、僕がこのブログでずっと言い続けてきた小暮君とロイックさんのコンビが実現しました。このコンビには派手さはないと思いますが確実に上位に進出するポテンシャルがあります。どちらも一発の速さがあり、安定感もあり体格的にも合致していてコクピット製作の相性も悪くはありません。HSVのポテンシャルも間違いなさそうなのでホンダ初のFRレーシングカーがどんな動きをみせてくれるのか今から楽しみですが、今季は色々とレースマネジメント自体も変わる要素をはらんでいそうなので僕も注目したいと思っています。
January 25, 2010
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HALくんからリクエストがありましたので、年をまたいでの連載が終わってからの2010年最初の連載はAudi R8の試乗記から。こういう仕事をしているといろんなコネクションができます。クルマ業界やレース関係者はもとより、僕の場合はクルーザーやヨットの建造業界や海運会社、さらに知人の知人、またその知人などなど、ここでは書きつくせないほど超リッチな方々と接する機会が多く、信じられないハプニングやイヴェントに出くわします。そんな中でも僕との付き合いが長い方ほど僕が無類のクルマ好きにしてクローズドコースを走りこむマニアであること知っています。そんな僕の元に2009年のある日一本の電話が入りました。「良いブツがくるから試してみないか?」と。ちょっと意味深長で一歩間違えれば危ない取引に聞こえなくもありませんが、僕と彼の付き合いも長く、この一言でどんなイヴェントなのか推して知るべしです。今回、その良いブツはAudi R8 5.2 FSI Quattroです。ホィールスピンなどという言葉とは無縁のマシンは0~100km/h加速で4秒を切るアスリート純粋培養タイプのマシン。矢のように猛然と加速するR8の中でドライヴァーやパッセンジャーはシートバックに押し付けられたままになるので、シートポジションをしっかり決めて乗り込まないと肩こりや首の周りの筋肉痛を招くことになります。スーパースポーツを思いっきり走らせたことがないかたや、所有して乗ったことがないかたは解らないかもしれませんので書き添えますが、こういったマシンが時折魅せる闘争本能、あるいは資質の片鱗によってもたらされる強烈なGは、こちらが常に健全な肉体を維持し、深層筋に常に負荷をかけながら日々筋力維持に努めていなければ度々筋肉痛を引き起こすマシンも少なくありません。世界の選ばれたスーパースポーツだけがもたらす横Gの試練がR8には用意されています。Audiの中でこれほどのGがもたらされるクルマは僕の記憶の中にもありませんでした。ほんの僅かな短い加速区間でもR8は一気にスピードレンジを150km/h、170km/hと簡単にあげてしまいます。そこからタイトコーナーに進入するためにシフトダウン。2速まで落としながら右足の足裏に意識を傾注しながらフルブレーキング。シフトショックらしいシフトショックを感じることなく一気に減速し回転を合わせてくる。ここまでマネジメントがしっかりしているとかえってブレーキングの上手い下手ははっきりと出るでしょうね。適正速度まで落としてしまうと旋回性能がダルになるので、ややオーヴァースピードでR8をコーナーに放り込むと、アンダー気味になるR8。このあたりも良くできた4WDの見本といえます。しかし、スポーツカーとしてのパフォーマンスやポテンシャルだけの視点で判断するなら、残念ながらAudi R8はNISSAN GT-RスペックVはおろかNISSAN GT-Rにさえも総合的なインプレッションでは一歩譲るように思われます。特にステアリングの中立位置からの操舵感や反応は4WDをあまり感じさせないGT-Rに対し、R8は洗練されてこそいるものの依然として4WD。無論、3.9秒で100km/hに達する動力性能や4WD車としての最高到達速度などパフォーマンス・スケール的にはGT-Rと互角以上のクルマなのですが、むしろこのあたりのパフォーマンスにとどまっている部分がR8の価値に影を落とすことにならないとも言えません。なぜならR8はプライス面においてスペックVよりも高価となるためコスト・パフォーマンスの面において大きく水を開けられてしまいます。100km/hに3.9秒で到達する5.2リットルV10FSIエンジンは非常に魅力的ですが実質的なパフォーマンスにおいてGT-Rに楽勝というわけにはいきません。GT-Rが搭載する「VR38DETT」とエンジニアリング的なトピックスでも五分。もちろん最新鋭の5.2リットルV10FSIエンジンは大変素晴らしいエンジンです。しかし、この素晴らしいエンジンに対して互角の勝負に持ち込んでしまうGT-Rの資質はやはり侮れません。今回、改めて思いましたがNISSAN GT-Rというクルマは3,000万円未満クラスの4WDハイパースポーツの価値観や序列をブレイクスルーしてしまったことを痛感せずにはにいられませんでした。と、ここまでなら、おそらくはR8とGT-Rを乗り比べたアッパークラスのドライヴァー誰もが思うことで、僕までここで終わっては何の面白みもありません。さらにモノ、特にクルマのヴァリューはコスト・パフォーマンス、動力性能や到達速度によって決定されるものではありませんのでR8、GT-R惨敗ということではありません。続きはまた後日に・・・
January 18, 2010
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この連載も今回で終了しようと思います。さて、日本の自動車業界に影を落としかねないトヨタのF1撤退。この余波が今年すぐに国内で絶大な支持を受けるスーパーGTの興業に及ぶ可能性は極めて少ないと思われますが安穏としていられるワケではないでしょう。世界的にトヨタ全体の売上高が落ち続けることがあればスーパーGTへの継続参戦、FNへのパワーユニット供給にも影響を与える可能性が出てきます。もし、開発コストのかかるスーパーGTからトヨタが撤退などということになれば3メーカーのワークスが走らないGT500の人気はオペルが撤退したDTMのように一気に下降。そうなれば必然的に観客動員を大きく左右し、割り込む可能性も出てきます。今年になってからスーパーGTにドイツのDTMから打診されたコンポーネンツ共有案などもこの不景気の中、興行として一気に暗転しかねない危険性をはらんでいることを見据えての提案であることは否定できません。オペル撤退後のDTMもアウディとメルセデスのガチンコ一騎打ちで常に迫力のあるレースが展開されています。しかし3社がしのぎを削っていた時のエキサイティングさは半減してしまいました。言い方を変えれば2メーカーだけの単調なガチンコバトルでアウディかメルセデスのいずれかの陣営からしか勝者が生まれないのですからかつての盛り上がりは期待できないのも必然でしょう。そこでスーパーGTが大成功している日本に白羽の矢が立ったことは容易に想像がつきますが、日本もトヨタの業績如何では今後どのように進展するのか予断を許しません。トヨタ全体の売上高が今後も簡単に落ち込んでいくとは考えにくいのですが、楽観視はできないという意味です。トヨタの後退で猛攻を仕掛けるVWはやはりトヨタ同様コンパクト・カーを得意とする巨大自動車メーカーです。グループ企業のアウディにDTMを任せているので余剰な予算をつぎ込まねばならない金食い虫のマーケティングはほとんどありません。強いて言えばベントレーやブガッティなど世界最速スポーツを生み出す少量生産の自動車ファクトリーの経営ぐらいのもの。昨今、ポルシェまでをも飲み込んだその企業力や資金力は侮れません。いくら富裕層ビジネスが絶好調でメルセデスが飛ぶように売れても世界的規模で見ればメルセデスの売上高はVWのそれには遠く及びません。スーパーGTに話を戻すと今年、2010年はコストカットの断行によってオートポリスで開催されていた九州ラウンドを無期限で中止しました。無期限中止は景気如何ではすぐに再開もあるし、このまま中止が続く可能性もある微妙なラインです。こういった規模縮小ムードの中で、トヨタの売り上げが毎年毎年減少傾向になればレース業界がデフレスパイラルに陥ることは必至。新コンコルド協定を簡単に反故にしたトヨタですからそこまで悪化したときにFNのエンジン供給停止やF3エンジンの開発凍結までコストカットを進める可能性がないとは言い切れないでしょう。そのときはトヨタだけでなく、ホンダもニッサンも厳しい状況に追い込まれている可能性があります。そうなると日本のトップ・フォーミュラが以前のMUGENエンジン・ワンメイクの時代と同じような1社だけのコンペティションに逆行してしまうことも考えられ、興行としてはぎりぎりの収益状態のFNにとっては致命傷になりかねません。ここまで視野を広げるとトヨタF1の撤退は単なるF1の撤退でとどまるか否か?という危険性さえはらんでいます。トヨタのF1撤退はスーパーGTにとっても対岸の火事ではすまされない微妙な領域に引火したことを意味しています。あとは小林可夢偉や中嶋一貴などのドライヴァーたちがメーカーに代わって日本のモータースポーツ界を牽引していくしか残された道はありません。技術力だけはリードしていた日本の自動車メーカーが瀕している危機。これも以前から僕はこのブログで警鐘を鳴らしてきました。日本の技術力が危ない。学生の理系離れが加速しているなど等。ついに日本の自動車メーカーが世界のトップから引きずりおろされる時代を迎えようとしているのかもしれません。しかし、トヨタにせよホンダにせよ世界で上位にランクされる自動車メーカーとして大金を投資してきた啓蒙活動のひとつがドライヴァー育成プログラム。「日本人ドライヴァーが日本のコンストラクターにコンストラクターズ・タイトルをもたらす・・・」中嶋悟氏の時代から常に夢見られていた日本人モータースポーツ・ファンの強い願い。そして祈り・・・。「そういう存在がいないのなら自分たちで育てればいい・・・」こうしてスタートしたTDPも頂点にF1があったからこそ意義がありました。TDPでは新しい才能がたくさん芽吹き、日本の技術力ではなくドライヴァーが観客を沸かせる時代の到来を予感させてくれました。新しい世代の若武者たちは今までの世代のドライヴァーとは根本的に違っています。これに関してはまた長くなってしまうので今回は軽く触れておくに留めますが、体躯もさることながら、脳構造そのものも、ドライヴィング・センスも、何もかもが従来の標準的なレーシング・ドライヴァーとはまったく違っています。「CALTY 007」さんのコメントにもありましたが、ドライヴァーの才能や走りの本質を見ている人は見ています。しかしながら、やはり日本人のレース関係者は未だドライヴァーが持っているセンスを見極める目、見抜く目に遅れています。見極めていても活躍させるフィールドを用意して上げられない場合もあるほど。そんな彼らが本当に伸び伸びと成長できるフィールドを用意できたらもっと日本人ドライヴァーは勝てるのに・・・と思わずにはいられません。今の世代のドライヴァーたちの集中力を一気に高めるセンスや能力などは特筆すべき点です。中でも可夢偉は名刀と呼ぶに相応しい切れ味を持ったドライヴァーです。その名刀を自ら放棄してしまうトヨタとはいったいどういう企業なのか?おそらく理解に苦しむ方が多いと思いますがこれこそがトヨタであり、BIG3を撃墜しトップに君臨した世界に冠たる日本企業なのです。そして僕も、これを読んでいる皆さんもほとんどが日本人だと思います。これを読んでいる皆さんがトヨタ撤退に際して何を思い、考えたか僕には解りませんが、一言で言うなら憂いでしょうか。でも勘違いしないで下さい。撤退を残念だと思う憂いだけではありません。「やっぱり撤退か・・・」と思うと同時に日本人として日本企業のエゴを垣間見るにあたり恥ずかしさがこみ上げてきました。それがすべてと言っても過言ではありません。欧米だけでなく、いまや日本でもコントラクトは何よりも重要です。トヨタは間違いなく新コンコルド協定にサインしたはずではなかったのでしょうか?そしてそれは紛れもなく、2010年を含めて向こう3年間、2012年までF1に参戦しつづける義務を負い、F1の発展、モータースポーツの隆盛に寄与し、それらに携わる若手の育成義務も果たすべき責任を負う契約であったはずです。日本人はいつから約束を簡単に反故にする民族になりさがったのでしょうか?トヨタ撤退の第一報を受けて最初に感じたことはそのことでした。それを憂慮すればするほど可夢偉が気の毒に思えてなりません。いいえ可夢偉だけの問題ではありません。今まで日本にはピラミッドの頂点にF1がありました。それが我々日本人のささやかな誇りでしたがそれも失いました。可夢偉は間違いなくセンターポールに日の丸を揚げることができる能力を秘めたドライヴァーです。才能というあいまいな尺度だけで言うならルイス・ハミルトンやセバスチャン・ヴェッテルにもひけをとりません。自分のマシンには足りない部分をカヴァーしながらバトルするスキルはいやらしいほどの老練な狡猾ささえ魅せるときまであります。もっと具体的にいえば今季チャンピオンを獲得したジェンソンよりも可夢偉のほうが素質や才能ははるかに上です。マカオの第1ヒートをブッチギリで制したときの切れ味は今も健在。可夢偉の双肩に日本モータースポーツ界の隆盛は委ねられているといっても過言ではありません。P.S.発表されたHSV-010GTに関する質問に関しましては、まだ僕も実車を見ていないのでなんともいえませんが競争力は高そうです。DTMから打診されたコンポーネンツ共有化案なども時間があれば取り上げていこうと考えておりますが実際に検証できる時間があるかどうかは微妙ですのであまり期待しないようお願いいたします。(笑)
January 18, 2010
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トヨタにとって憂慮すべき最悪の事態は撤退してしまったことから始まるような気がしてなりません。採算の合わないマーケティングからの撤退は株主重視の大企業ならではの判断なのですが、F1という世界中が注目するイヴェントで宿敵ホンダを負かすことができなかったばかりか、世界中のあらゆるマーケットにおいてトヨタ・ブランドでもレクサス・ブランドでも直接ライヴァルとなるメルセデスに完敗を喫してしまったことが最大のデメリットです。成績ではBMWにも後塵を拝していたことが多かったのですが幸いにもBMWも撤退するのでBMWに対しては完敗というイメージを免れてはいます。ただこちらの動向も流動的。可夢偉を起用すると発表したときのプレスリリースではBMWの名前が残っていたというのでBMWは完全撤退ではないのかもしれません。いずれにせよ、BMWがこういった配慮を見せて撤退しているのに対し、新コンコルド協定を反故にして一方的に撤退するトヨタのイメージはさらに悪化するでしょう。撤退によって「トヨタ、メルセデスに完敗!」のイメージは全世界に波及しています。トヨタの株価が大きく落ちこまなかったのが不思議なくらいです。僕も小口ながらトヨタの一株主として言わせてもらうなら絶対にF1から撤退すべきではありませんでした。不必要な車種を整理し、生産性を高め、開発部門を強化し、あらゆるニーズに具体的かつ効果的なプレゼンが行えるセクションを立ち上げるなどして、レディ・オーダーメイド・パーソナル・カーの製造販売などパーソナル・ユース志向に振った新車開発などを行うことにより個性的なクルマの新境地を拓くのも面白かったかもしれません。パーソナル・ユースに振ってもなお効率よく生産を行える自動車メーカーであることをアピールすることで経済危機による純売上げダウン分の何%かは稼ぎ出せたはず。あとは徹底的な経費削減を断行すれば多くの人たちを切らなくても、F1を諦めなくても、予算を削減して続けることぐらいはできたでしょう。それをしなかったのは日本の自動車メーカー1位の奢りか?誇りか?いずれにせよトヨタは撤退によってトヨタが持っている「世界有数の技術力を持つ日本屈指の自動車メーカー」のイメージは崩壊の危機に瀕しています。そう思っていないのは日本に住んでいる日本人だけということを自覚せねばなりません。海外においてトヨタ・ブランド、レクサス・ブランドは今後厳しい戦いを強いられるのは必至です。ヨーロッパ市場でレクサスとメルセデスが競合するケースでレクサスは厳しい戦いを強いられるでしょう。モータースポーツの最高峰としてF1を徹底的に楽しむファンは少数ですが、F1というお金がかかるマーケティングの結果を自分のクルマ選びの指標にするかたは意外と多いのが現状。レクサスのハイブリッド技術はクリーン・ディーゼルなどというCO2削減だけに特化したまやかし的なエコ・ユニットとは一線を画すため、欧米でも高所得者層を中心にメルセデスやBMWよりも一部の方々には熱狂的な人気がある車種だっただけに今回のF1のマイナス・イメージを取り返すには相当の努力が必要になります。トヨタがこうむった大きなイメージ・ダウンはクルマにあまり詳しくない日本国外に住む外国人にとっては日本車すべてをトヨタと同じイメージでみることも考えられ、日本の自動車メーカー全体にとっても厳しい時代がやってくることまでありうるのです。敗北したまま撤退することで、今まで築き上げてきたトヨタの技術力への信頼は危ういものになってしまいました。少なくとも日本国内に住む我々とは違い、外国人の方々がもつトヨタへのイメージは明らかにマイナス方向へ転じています。来年の今頃、トヨタがリストラをせずに今季とほぼ同等の総決算を確保できるのかどうか怪しいものです。特に欧州においては、向こう十数年間にわたってトヨタF1のマイナス・イメージが付きまとうことが予想され、海外市場でこのイメージを払拭するのは決して簡単なことではないでしょう。しかもトヨタが得意なはずのハイブリッド技術で勝負したにもかかわらず、その経験値や個性を際立たせることなく終わってしまったのです。ホンダの撤退から1年。ホンダよりも1年頑張って撤退するにもかかわらず、トヨタの撤退イメージはホンダ撤退のイメージよりも悪化しているのは皮肉なものです。もちろんこれは新コンコルド協定に調印していながら反故にしたトヨタの姿勢に対する反発も含んでのことでしょう。つまり、トヨタは新コンコルド協定に調印したのですから、2010年以降も参戦できるようにティームの売却譲渡を絶対条件として退くべきだったのです。
January 4, 2010
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新春、初更新は昨年末にご近所、六本木ヒルズ周辺と東京ミッドタウンで撮りためたイルミネーションのお写真を一挙掲載します。今まで時間が取れずに公開できなかった写真がたくさんありますのでこの機会に。連載中の記事は帰国次第再開いたしますのでご了承ください。
January 1, 2010
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いつも応援してくださる皆様、今年も力強い応援ありがとうございました。また2010年も前向きにがんばっていきますので「Fastest Lap」をよろしくお願いいたします。P.S.こちらの富士山の写真は御殿場市にある某レーシング・ティームのファクトリーを訪れた際に撮影した富士山です。
December 31, 2009
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良いお年をお迎えください。
December 31, 2009
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2010年が皆様にとってよい年となりますことを心からお祈りいたします。
December 30, 2009
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またしてもこんな時間に更新です。HALくんからご質問いただいたR8ですが、インプレに関してはまだまだお時間を設けることができずにまとまっておりませんので、まずはスナップを掲載いたします。スナップはたくさんありますが、たくさんの写真を一度に載せることができなくなってしまったようなので、まずはこのへんで。こちらはR35GT-RスペックVノーマルR35同様、もう少しマイレージが出てこのマシンを僕なりに理解することができたらインプレッションを追記しようと思います。まもなく2010年。あっという間ですね。皆様も良いお年をお迎え下さい。A happy new year.
December 27, 2009
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撤退発表のとき首脳陣の目にも涙がありました。でも、その涙にほんの少しの良心と贖罪の念があったのなら、どうしてティームの譲渡ではなかったのか?ケルンをはじめとするヨーロッパに点在するトヨタF1のための施設は紛れもなくトヨタのプロパティなのでトヨタがどうしようと自由です。しかし、ホンダのように持参金を持たせて1年間走らせる方法もあったはずだし、買い手が見つかるまでティームに対して責任を持つべきでした。トヨタのF1撤退に際して僕がもっとも言いたいことはここです。「トヨタはフォーミュラ・コンストラクターではなく自動車メーカーとして撤退する」何回、この連載中にこの一文を書き続けたでしょうか。なにがなんでもホンダと同じ手法だけは取りたくない・・・という子供じみた最後の抵抗なのでしょうか?レーシング・コンストラクターは立ち上げた人間の意志に関わらず受け継いでいくべき財産です。ジョーダンもブラウンの前身になったBARも、かつてのミナルディもしかり。レーシング・コンストラクターは業務を完全に封鎖し解散してしまうのではなく、コンストラクターを継承してくれる新オーナーに設備や人員込みで売却するものです。レーシング・コンストラクターとはそういう存在です。トヨタは売却ではなく撤退を選びました。トヨタは1エンジン・サプライヤーではなく、モノコックもエンジンもすべてを設計製造するフェラーリに比肩するコンストラクターであるにもかかわらず、トヨタはコンストラクターとしての自覚がないまま撤退するのです。あくまでも一自動車メーカーとして。一方では売却ではないので再度チャレンジすることができるという考えがあるかもしれませんがそれはありえません。トヨタが何年後に再チャレンジを試みるかは解りませんが例え5年以内に復活しても今までのノウハウは役にたちませんし、設備も時代遅れになっていて最新鋭のものを一から揃える必要があります。ヴァージョンアップで対応できる設備など実はごく一部です。少なくともフォーミュラでコンペティティヴなマシンを作ろうとすれば当然のことです。今ある設備は量産車セクション、あるいはF1以外のレースカー関連施設にしか使えません。こういった一連の決断そのものが大企業的なもので、トヨタはレーシング・コンストラクターとしてではなく、世界何位かの自動車メーカーとして撤退するのだということがお解りいただけると思います。トヨタのF1撤退は韓国のヒュンダイが日本市場から撤退することとそれほど変わらない陳腐な手法なのです。確かに売却譲渡という言葉にいい響きはありません。しかし、そこで働いていたスタッフは今まで通りレース活動ができます。その努力を惜しまず様々な可能性を模索し手を尽くしたけれどもこの結果になったというのなら仕方ありません。ところがこのプレス・カンファレンスの内容は突然決まったことを発表したという感じではありませんし、F1界での情報では売却先を探していたという事実は聞いたことがありません。こういった状況から判断すれば、かなり以前からトヨタのトップマネジメントは売却なしで撤退という意思決定でコンセンサスを得ていた・・・と考えるのが自然です。売却ではなく単なる撤退。F1関連部署で働いていたスタッフは異動人事ないし解雇。自身のプロパティは自分たちで清算するという日本企業的な手法が見え見えで、この撤退のどこに花道や潔さがあるでしょうか?何度も言いますがトヨタは単なるエンジン・サプライヤーではありません。エンジンからモノコックまで、すべて自分たちで作り上げるコンストラクターなのだからメカニックをはじめとするスタッフやドライヴァーとのコントラクトを遵守してもらうことを条件に格安譲渡の可能性を模索することは設備の充実度からみても絶対にできたはず。自分たちがつむいできた情熱の足跡を受け継いでくれる真摯な新オーナーを探すことこそ本当の潔さではないでしょうか?トヨタ・ファンの方々もその事実を見失ってはなりません。ファンとしてトヨタの心無い弱腰撤退を看過してはいけません。可夢偉だけでなく、ケルンで頑張ってきたスタッフたちは大半が切り捨てられてしまいます。日本で横行した派遣切りがフェラーリとトヨタ2ティームしかないF1のフルコンストラクター・ティーム・スタッフの中でも実施されているのです。これはトヨタの愚行あるいは暴挙というほかありません。リストラすれば手っ取り早く赤字を軽減できますがメーカーがこれをしたら優秀なスタッフは間違いなく海外企業に流れてしまいます。優秀な頭脳の流出危機に関しては最近になって日本でも本格的に危惧されるようになりましたがこれも至極当然のことで、いままで省みられなかったのが不思議なくらいです。景気が好転してから優秀なスタッフを引っこ抜いてくればいい・・・と考えるのはF1の世界でも同じことで、特にフェラーリはその傾向が強いですが一度流出してしまった優秀な頭脳をもう一度集めることは不可能にも近いことです。景気が厳しいからといって真っ先にスタッフを解雇するような企業に未来はありません。ホンダもF1を撤退はしたものの、無償でロス・ブラウンに預け1年間活動できるだけの持参金まで持たせました。F1関連スタッフのリストラもなく、国内生産拠点の従業員のリストラに関しても日産やトヨタのように大幅な解雇は行わず最小限度にとどめています。~続く~
December 25, 2009
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Merry Christmas!!今回はMidtownのクリスマス。Hills周辺のライトアップ&イルミネーションに続き、今回はMidtownのクリスマスです。MidtownではCGIのメルセデスを中心にCO2を極力削減したクリーン・ディーゼル搭載車が展示されていました。CO2削減に特化したクリーン・ディーゼルを純粋にクリーンと呼んでいいものかどうかはかなり以前にこのブログでも取り上げているので今回はメインで取り上げるつもりはありません。この手のエンジンは排ガスから大幅にCO2を削減していますが所詮ディーゼルはディーゼル。排ガスに含まれるNOxと呼ばれる窒素系化合物の含有量はクリーンと呼べる範囲のものではありません。ガソリン・エンジン車に比べてディーゼル・エンジン車はNOx(窒素化合物)の排出量が多い点が問題となります。地球温暖化だけをみれば二酸化炭素(CO2)を核とする炭素系化合物の削減が焦点となりますが、窒素系化合物の排出も生態系に与える影響は無視できないのでCO2だけを削減したからといってクリーン・ディーゼルがクリーン・ユニットとは言えないのが現実です。現状の化合物排出バランスや省燃費性能も加味して判断すれば、まだガソリン車のほうが総合的に一歩リードしていることは否めず、ハイブリッド化したガソリン車であればなお環境適応度は高くなります。クルマに使用される燃焼系パワーユニットのエコ性能はCO2の排出量削減と燃費性能だけでは測れませんのでご注意ください。鍵となるのはリーンバーンを含めた省燃費性能や、煤などを多く排出しないための完全燃焼性能の追究がもっとも重要です。おっと・・・軽く触れて終わりにするつもりだったのに・・・。今回のメインはクリスマス。昔は僕も堅物?で必要の無いイルミネーションなんてCO2を撒き散らすだけ・・と非難していたかもしれません。でも、こういう荒んだ時代だからこそ、人間として地球上に生きるあらゆるしがらみから時には解放される瞬間があってもいいのではないかと思います。いつも解放されているような方には必要ないかもしれませんが。無駄遣いには違いませんが、こうして多くの人が集まり喜べるのならそれもまた人間の真実です。「無駄遣いだ」と否定的で反感を持って見るより、純粋に奇麗だとか「こういうのもたまには良いかな・・」と思ってみているほうが心は洗われます。重箱の隅をつつく理由を探しながらうがった見方をしてしまう現代人が多すぎるし、自分の見解や価値だけを押し付けようとする頑固者が多すぎます。まァ、これは僕自身の自嘲的な意味合いも含んでいます。つまらない論争は抜きにして純粋に今のこの景色と時間を楽しむ大らかさが欠如した結果が現代の荒んだ状況の根源なのだと思えてなりません。今回はヘヴィな内容にするつもりはないのでこの辺で・・。結論として僕はクリスマス・イルミネーション肯定者です。1年に1度ですからそれも良いでしょう。僕はメルセデスのイヴェントよりもこちらのHERMESのイヴェントのほうを楽しみました。HERMESのトナカイの馬車が目印です。シルクといえばHERMESは永遠の定番。僕も、妻ももちろん大好きですから六本木のフードマーケット「Precce」に買い物に出かけるたびにイヴェントに立ち寄っています。エルメス・シルクを堪能できるイヴェントですのでHERMES好きな方はぜひ足を運んでみてください。
December 24, 2009
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HALくんにコメントで書かれてしまいましたがアブダビで見せたジェンソンのオーヴァーテイクに可夢偉の非凡なスキルがぎっしり詰まっていました。ジェンソンをオーヴァーシュートさせることに成功したのは、やはり立ち上がりでイニシアティヴを握ったストレートの占有ラインにあります。ジェンソンはインサイドにいたものの、並んでいる状態ではラインが苦しいことを知っていたのでストレートエンドで“突っ張りすぎ”てオーヴァーシュートしてしまいました。ジェンソンを心理的にそこまで追い込めたから労せずして可夢偉はポジションアップを果たしましたが、彼は実際にオーヴァーテイクを仕掛けるまでのシークエンスが見事です。こういうシーンを見せられるたびに、可夢偉が“自分でセットアップした自分のマシンで戦う”姿が見たかったと思ってしまいます。ティモのために誂えられたマシンでのアタックではなく、可夢偉のために作られたマシンを彼がセットを決めて、心置きなく渾身のフルアタックを敢行する可夢偉が見たかった。彼の走りにはその価値があります。ザウバーから2010年へのエントリーが決まった今もトヨタのマシンとの相性と比べると如何ほどだろうと案じずにはいられません。しかしながら、ザウバーとフェラーリのパッケージングは初めての組み合わせではないので大きくはずしてしまうことなく、それなりのパフォーマンスを見せてくれるだろうと思っていますがこればかりは開けてみないとなんともいえません。エンジニアはすべてテレメトリーやオンボード・コンピューターで吸い上げられる「数値情報」に頼りすぎる傾向にあります。これは決して数値に頼るなといっているわけではありません。数値を見極め分析することがエンジニアのお仕事です。しかし、その数値にはドライヴァー個々の人格が宿っていることが多いのです。どんなに精巧で抜け目のないシミュレーターをプログラムしようとしても実現できない人格的数値が存在します。得てして仕事ができないエンジニアほど数値に表れる「人格」を無視する傾向にあります。そんな彼らを非難するつもりはありませんが、もう少し柔軟な頭を持っていただきたいと思います。こういうエンジニアばかりのティームの成績は推して知るべしです。さらに「数値情報」とカッコでくくったからにはそれなりに理由があります。物理や宇宙物理学にはすべてに法則が存在します。マシンの挙動もしかり。そこに人間の意志や知能が介入することで理論、数値だけでは説明できない兆候や現象が現出します。これを僕は理論愁訴とか数値愁訴と呼んでいます。エンジニアの方々がこれに直面したときに取る対応は様々。ドライヴァーが訴える症状や操縦特性を突き詰めるために真っ向勝負する方もいらっしゃれば、解析不明要因を排除してアヴェレージ・データをアナライズするかた、トラック・エンジニアやドライヴァーと詰めてデータとしては蓄積するもののセッティングや設計には反映させない方々等など様々。チーフ・エンジニアをはじめとして、データ・エンジニアやトラック・エンジニアにどういうかたがいらっしゃるかである意味ティーム・カラーが決まります。しかし、今日は可夢偉のお話。こちらはまたの機会に譲るとして可夢偉のセンシング・パフォーマンスとセッティング・スキルにはF1のアヴェレージ・ドライヴァー以上の能力が間違いなくあります。たらればの話はしたくはありませんが、トヨタが今季、可夢偉を乗せていたら中盤以降には何度か表彰台に届く走りを見せ、レースの流れ次第では何度かポディウムに乗った可能性さえ否定できません。もしこれが実現していたなら可夢偉はザウバー以上のティームのシートを獲得できたはず。ただし、終盤の2戦で見せた可夢偉のパフォーマンスはGP2で磨かれたセンスがちりばめられていたこともまた事実で、今季最初から可夢偉が乗っていたとしても序盤から結果を出せたかどうかは微妙です。確かなことは彼がジャパン・レヴェルの速いドライヴァーではなく、ワールド・アヴェレージのレーシング・ドライヴァーであるということです。~続く~
December 22, 2009
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メルセデスとマクラーレンとの関係は良好そうにアナウンスされていますが、実際にはロン・デニスの一件(スパイ事件)やマクラーレンが本腰を入れているロードゴーイング・スポーツのことなどで2社の間柄はかなりギクシャクしています。ホンダが投資して設備が整っているティームに、かつてはメルセデスを手玉に取ったフェラーリの名将ロス・ブラウンを一度に手できるのです。メルセデスではなくても「買い」であることは一目瞭然。手堅くいきたいメルセデスGPにとっては一発の速さもあり安定感も増してきたニコのほうが欲しいのは必然。ニコ自身は今でもトップ・コンテンダーと争える位置にいますがウィリアムズのマシンがそれに応えることが出来ていません。メルセデスGPのマシンを手に入れたニコがどんな走りを見せてくれるのか今から楽しみです。ジェンソンがドライヴァーのスキルと実力で勝ち取ったチャンピオンではないことは誰の目にも明らか。これに関して否定的な意見を呈するのは熱狂的なジェンソンのファンくらいでしょう。つまり、彼のチャンピオン経験者としての価値は微妙だということです。そんなジェンソンに大枚をはたくぐらいなら・・・と、若い世代のニコに白羽の矢が立ったのは十分に納得できます。ついでにいうとユーロF3時代にメルセデス・エンジンを使った可夢偉もその候補に挙がると嬉しいのですがその可能性は難しいでしょうね。チャンピオンに相応しい仕事といえば昨年はルイス・ハミルトンとフェリッペ・マッサでした。ルイスは毎年、チャンピオンを狙える仕事をしていますが、タイトル獲得は1度だけ。マシンに恵まれなければルイスでさえもこの有様。無論チャンピオン争いの行方はマシン性能一点だけで決定されるわけではありません。ドライヴァーの自滅や、ティームの杜撰なレース・メイキングのせいもあるでしょう。それでもマシンの基礎戦闘力(僕はこう呼んでいます)が高ければ労せずタイトルを取れるのもまた事実。マシンが良くなければタイトル獲得は難しいと前述しましたが、これが可夢偉の件で僕が書こうとしていることのもう一つのキーワードです。可夢偉がマシンに恵まれていたかどうかは皆さんがよくご存知のはず。ホームである日本の鈴鹿でも表彰台の獲得がやっとのトヨタF1。明らかに戦闘力の下回るマシンで彼は基礎戦闘力に関しては格上のフェラーリ&老獪なライコネンと互角以上に渡り合って見せました。かたや進化を諦めたフェラーリ。どうしても母国GPは押さえたいトヨタ。この図式だけを見れば可夢偉にもチャンスがありそうですが、もともとフェラーリは基礎戦闘力が高いので一筋縄にはいきませんし、ドライヴァー・サイドで対応できるマシン性能差を埋める方法が無尽蔵にあるわけではありません。母国で結果を出せなかったトヨタはブラジル、アブダビのフライアウェイ2戦を可夢偉に託しました。ここでの可夢偉のパフォーマンスは皆さんすでにご存知のはず。そのごく僅かしかないチャンスをものにするためにハングリーに、それでいてクレバーに攻める可夢偉は天晴れというほかありません。彼は一つ一つのコーナーで仕掛けるのではなくていくつものコーナーの先から布石を打ってコーナーワークでライヴァルを追い詰め、隙を突きながらポジションを上げました。やはりクライマックスはキミのオーヴァーテイク。可夢偉はキミをかわし、抜き返したキミを再度オーヴァーテイクしてチャンピオン経験者のキミの貫禄を粉砕しました。引導を渡したといっても良いでしょう。この可夢偉とのバトルで、キミの2010年の失業が決定したといっても過言ではありません。フェラーリをドライヴしていたのがフェルナンドであっても結果は同じだったでしょう。今季、ルノーはフェラーリよりも不甲斐ない戦いを続けていますのでトヨタ&可夢偉に抜かれたところで大きなトピックスとして取り上げてはいただけないだけのこと。来季、コース上に可夢偉と共にトヨタが残り、今季のマシンに相当する戦闘力をキープしていたなら、真紅のマシンを駆るフェルナンドを突付きまわし、コーナーの切り返しでスムースかつ大胆にノーズコーンを並べる可夢偉や、高速コーナーでアウトから並び併走しながら仕掛けていく冷静と情熱のはざまに漲る可夢偉の果敢な走りを見ることができたはず。僕はこれが一番残念でなりません。トヨタのF1撤退自体は「案外速かったな・・・」というレヴェルのものでしかありません。なぜなら、何度も言いますがそれはトヨタは自動車メーカーであって、決してレーシング・コンストラクターではないからです。~続く~
December 20, 2009
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今日はトヨタ撤退の連載記事は一休み。(笑)*上は雲がかかった日中撮影のヒルズ。下はナイト・イルミ点灯時のRoppongi Hills昨日、買い物がてら麻布十番のご近所六本木をお散歩いたしました。日曜なのでRoppongi HillsもMidtownも観光客で混みこみ・・・。毎年のことですがこの時期になるとヒルズのライトアップやけやき坂のイルミネーション目当ての観光客も年々増え続けています。そんな状況に調子付いたのかけやき坂のライトアップも毎年パワーアップしているような気がします。また、Roppongiけやき坂に居並ぶ多くのブティック群も年々ライトアップやイルミに工夫を凝らしちょっとしたライティングアートになっています。ここに掲載したイルミネーション・アート、ライトアップ・アートはほんの一部ですのでぜひ皆様も一度訪れてみてはいかがでしょうか?ちなみにこの周辺、この時期は地元の人間は辟易するほどのクルマ渋滞になります。この道路を生活道路にしている僕もこの時期は絶対にクルマ移動はしません。日ごろクルマなら15分程度で移動できる距離が1時間、2時間近くかかる日もあるほど。とくに土日の交通事情は最悪です。得てして地方からお見えになる方ほどナビを利用してクルマでいらっしゃる方が多いのか夕方17時ごろにはすぐに飽和状態になります。時間を読める観光をしたいのならぜひ東京メトロをお使いください。歩いてみているほうがいろんな発見もあります。かえってそのほうが地元通になれたりします。ただし、写真を見ればお解かりのように観光客で非常ににぎわっておりますので、そちらのほうは御覚悟ください。(笑)僕はといえば12月に入ってすぐに麻布十番専用の足カイエンを残してすべてのクルマは神奈川のはずれとオフィス兼自宅に移動。シーズンオフをゆっくりと自然の中で過ごす準備は整いました。年末年始は日本から脱出して温かい国で時間を気にしない生活をして来季の身の振り方を考えようと思っています。国内外からいろんなお誘いがありますが僕自身モータースポーツから一度は離れた身。今もっとも興味があるのはヨットレースとエアロスペースなのでモータースポーツの世界に踏みとどまるか否かは微妙なところです。
December 14, 2009
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12月8日の記事の続きになります。僕は以前から可夢偉というドライヴァーに大きな期待を寄せています。そのせいか、彼がインテルラゴスで披露した走りには高揚しました。彼の無難な走りを見て関係者のほとんどが琢磨と同レヴェルのドライヴァーと判断していましたが僕の判断はちょっと違っていました。琢磨は巧いし、トップ・コンテンダーと渡り合える資質を備えています。しかし、自身の実力だけを頼りにF1でチャンピオンを獲れる資質があるかといえば微妙なところです。★7co★さんの質問にもありましたが、今季のジェンソンがそうであるように、マシンに恵まれなければ現在のF1ではチャンピオンを獲れないのが現状です。僕が事あるごとに言っている「チャンピオンに相応しいドライヴァーがタイトルを獲れていない」はこの部分に起因します。ドライヴァーズ・チャンピオンシップとは名ばかりで、ドライヴァーの技量によってチャンピオンが決定することはごく稀。マシンの出来によって大きく左右されるコンストラクターズ・チャンピオンシップがドライヴァーズ・チャンピオンシップにも大きな影を落としています。どんなに優れたドライヴァーも良いマシンに乗れなければチャンピオンは不可能と言ってしまっていいからです。たとえばニコ。彼がF1にデヴュウする際、マクラーレンに空きシートさえあればルイスよりも早くGP2出身のチャンピオンになっていたでしょう。現在のF1ドライヴァーがすべて同じマシンに乗ってチャンピオンを争えばもっと明確な差が出るか、あるいはもっと均衡し僅差になるかのいずれかです。必ずしも拮抗するとは限らないのはドライヴァー個々のドライヴィング・スタイルと、マシンの設計思想に由来するイニシャル・パフォーマンスがマッチングしていることが関与してくるためで、合うドライヴァーと合わないドライヴァーの差は案外大きなものとなります。たとえば今季のフェラーリに乗ってチャンピオン争いをできるドライヴァーは多くても2~3人程度ですが、ブラウンGPのマシンでチャンピオン争いをしたら6~7人がチャンピオン候補になるでしょう。ただし、これはあくまでも平等にマシンを用意してもらえたら・・・の但し書きがつきます。ここで誤解が無いように申し上げておきますが、僕はマシンの力に頼ってタイトルを獲ることを全否定するつもりはありません。しかし、結果として上手くて速くて、技能的にも精神面でも、すべてにおいてチャンピオンに最も相応しいドライヴァーがタイトルを獲っていないという事実が存在しているのもまた事実です。例えば今季最もチャンピオンに相応しい走りや仕事ぶりを見せたのはセバスチャン・ヴェッテルとルイス・ハミルトンの2人だけです。次点を選ぶならマーク・ウェバー。ジェンソンははっきり言ってチャンピオンに相応しい仕事はほとんどしていません。「チャンピオンに相応しい走りや仕事」という視点に基づきジェンソンをランク付けするなら、僕がランキングするのはせいぜい6位ぐらいです。レーシング・ドライヴァーとして当たり前のようにいつもの仕事を普通にしていただけでチャンピオンを獲れました。もっとマシン性能が拮抗していてシーズンを通して高度な頭脳戦を強いられていたなら彼がタイトルを獲ることは不可能だったでしょう。シーズン後半、ライヴァルに追いつかれたときにはレース・マネジメント・スキルの低さから自身の戦闘力不足を露呈し、競争力の底上げのためにクオリファイング向上とスターティング・グリッドを上げるアタック力も見せられず、挙句にはまだ遙か彼方の初タイトルを前に緊張(??)し、手堅いというよりは不甲斐ない戦いを連発して低迷。これではとても切れるエース・ドライヴァーとは呼べず、タイトル・ホルダーであることをちらつかせ大幅なベースアップを要求しマクラーレンと交渉するジェンソンを引きとめようとしないのはブラウンGP(メルセデスGP)にとっては当たり前のこと。まして、来シーズン、ブラウンGPはメルセデス・ワークス。メルセデスも来シーズンからはフェラーリ同様モノコックからパワー・ユニットまで自前で作り上げるコンストラクターになるわけです。来季からさらにお金がかかると解っているのにマシン性能でタイトルが獲れたドライヴァーに大枚をはたくようなことはしません。マクラーレン・メルセデス時代はドライヴァーの出入り(契約)のタイミングの悪さからニコと契約できなかったメルセデスですが今度は自分のティームを持ったので気兼ねなくお気に入りのドライヴァーを乗せることが出来ます。~続く~
December 13, 2009
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こんな時間に仕事をしているときがあります。何しろ、仕事をする相手が海外におります関係で時差なるものがございます。そのため、この時間に起きて仕事をすることもたびたび・・。不公平ばかりではありません。相手が深夜に僕を待ってくれている時もあります。今もかなり眠いのですが、眠気覚まし?にブログを息抜き更新。先日のトヨタ撤退の続きもありますが今日は深夜ですので小休止。最終戦もてぎで撮ってきた写真を公開。公開するほどのものではありませんが、写真を見るとやっぱり僕はNSXが好きなんだな~と実感します。なぜって?ほとんどがNSXの写真ばかりだからです。(笑)P.S.先日R8をドライヴしました。時間があったらブログで紹介します。リア・ハッチからのぞくエンジンがいかしてました。(笑)
December 9, 2009
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スーパーGTから引退するNSXの記事からインターバルがあきました。リフレッシュするために海外へ脱出しておりましたが、スタッフが会社のPCで毎日僕のブログをチェックしています。政府や行政関係者から学閥関係者、メディア関連などなど、様々な方がいらっしゃってくれるのはまことにありがたいことです。感謝いたします。しかしながらログインされてお見えになる楽天ブログユーザーの方々には申し訳ありませんが、こちらから訪問するお時間などはなかなか作れませんのであらかじめご了承いただきたいと思います。さてNSX-GTのラストランからトヨタのF1撤退などに関して、皆さまから色々なご質問やコメントをたくさんいただきました。NSX-GTラストランの話題ならともかく、トヨタ撤退に関しましては、ホンダの時と同様、デリケートな部分を含んでいるのでスルーすべき・・・と判断していました。しかし、やはり難しい切り口に切り込んでいってこそ僕ですし「Fastest Lap」本来の姿であると思います。取り上げるタイミングに関しては十分考えました。取り上げるにしても騒然としている状態の時ではなくピークを過ぎて落ち着いてからにしようと考えておりました。NSX-GTラストランに見えたスーパーGTの近未来・・・そしてトヨタ撤退に見え隠れするフォーミュラ1の近未来・・・この2者は驚くほどの類似点を見せます。それは近似といってもいいかもしれません。僕は今シーズンが始まる前にホンダが急遽撤退を決めたときに僕自身のブログでチラッと次のシーズンはトヨタが撤退する可能性を示唆しました。大きく取り上げたわけではなく、記事の中にさらっと書いた程度です。でもそのときすでにトヨタがF1を続ける気がないことをうすうす感じとっていました。今回のトヨタF1の撤退はトヨタが最も目に見える形で打ちのめしたかったホンダが撤退してしまったことと無縁ではありません。新生富士でのF1開催の不手際を様々な方面から叩かれ、結局ホンダのホームコース鈴鹿と共に日本GP隔年開催という形で決着しトヨタにとってF1でホンダを叩く野望は消えうせたばかりか、未勝利のまま撤退を余儀なくされました。ホンダが持つF1で鍛え上げられたイメージを喉から手が出るほど欲しかったトヨタ。しかしながらそこへの道のりは半ばで夢破れて挫折。今更ながらミハエル・シューマッハーの僚友としてフェラーリの黄金期を担ったエディ・アーヴァインが言っていた言葉を思い出してしまいます。「ホンダは間違いなくレーシング・コンストラクターだけど、トヨタは自動車メーカーだから結果が出せるかどうかは微妙だよね・・」この言葉には僕もまったく同感でした。エディとは日本のF3000でコスモオイル・セルモからエントリーしていた頃からの知己なので、今でもサーキットで会うと近況報告したりしています。そうトヨタはホンダとはまったく違い、レーシング・コンストラクターとしてではなく、世界何位かの自動車メーカーとしてF1を撤退するのです。この言葉の真意に関しましては次回ご説明できると思いますのでそちらで・・・未勝利のまま撤退・・・・Fastest Lapによくおいでくださる方々にはこの言葉の響きに記憶があるのではないでしょうか?トヨタはいくつもある選択肢の中から最悪のシナリオを選択しました。何故なのか?その理由が解らない方が多いのではないかと思います。でも考えてみてください。トヨタという企業そのものはホンダと違い好きでF1をやっているわけではありません。あくまでもマーケティングです。現場に赴く若い技術者たちの多くはF1が好きでやっているでしょう。しかし、企業としてのトヨタのF1へのスタンスはあくまでも少々お金がかかるマーケティングというレヴェルです。この温度差が企業としてのトヨタの株主重視の判断と、初めて日本人として世界のトップドライヴァーと渡り合える可能性を秘めた逸材を埋もれさせることになるかもしれない可夢偉の悲劇を生みました。今季のチャンピオンに輝いたジェンソンにブラジルでさんざんたたかれた可夢偉が最終戦で魅せたパフォーマンスは琢磨の切れさえをも凌ぎます。研ぎ方しだいでは琢磨をも超える名刀になる可能性を秘めています。僕はそれが一番無念でなりません。可夢偉は日本人ドライヴァーで初めて世界を獲ることを見せてくれる可能性がありました。僕の言う「世界を獲る」はポディウムのセンターに立つということには止まりません。ワールドタイトルを獲れる可能性です。可夢偉はまだまだ荒削りな部分もありますが一番評価できるのはクレバーに攻めることができる部分です。レースに精通されておらず、あまり詳しくない方には限界ギリギリに見える切れたアタックを見せてくれるドライヴァーがもっとも上手く速く見えると思います。しかし、追い込みすぎるアタックには無駄がつき物です。その無駄をよく理解しているドライヴァーが可夢偉です。気持ちだけ先走らせて、マシンを走らせることができずにダメージを与えてしまうようなことをしないのが可夢偉です。気持ちをコントロールできるドライヴァーが速くて巧く、結果も残しています。彼がGP2で実力に違わぬ結果を残すことができなかったのはいくつかの不運が重なっているからです。可夢偉の場合は在籍していたティームが勝てるマシンを用意できなかったことのほかにステップ・アップ・フォーミュラが持つ車両特性のせいもありました。GP2のマシンは限りなくイコールに近く、仮にマシン・サイドで優劣が存在していてもFNのように十分なダウンフォースがあるマシンではないので容易にパッシングできるほどの差をマシン側で作り出すのは難しいのが現状。絶対に作れないわけではありませんが難しいことに変わりはありません。すなわち、ドライヴァーが自身のスタイル云々を言う前にがむしゃらに行かないと前には出られないのです。「それがレースだろ・・・」そうおっしゃる方がおおいでしょうね。確かに。しかしながら、現代のレースはそれだけで勝てるほど甘くはありません。速くて巧いだけで勝てる時代はとうの昔に終わっています。単細胞的、あるいは短絡的に攻めるだけのスタイルで走らない可夢偉はある意味GP2というカテゴリーそのものが大きな試練だったと思います。むしろ可夢偉のスタイルはF1にこそマッチしていて、GP2には合っていません。ただし、GP2とF1の異なる特性を掌握して早い段階でどちらのカテゴリーでも結果を出しているドライヴァーが一人だけいます。今更言うまでもありませんがルイス・ハミルトンです。彼以外のニコやティモ・グロック、ヘイキ・コバライネンなどはまだ結果を残しているとはいいにくいレヴェルです。可夢偉はGP2シリーズでこそパッとしなかったもののF1ではその非凡さを1戦目で知らしめました。可夢偉にとってGP2シリーズは本当にステップ・アップ・フォーミュラだったわけです。日本GPのプラクティスで走った彼を見て判断したジャーナリストや関係者の愚かさを嘲笑うかのように可夢偉の可夢偉らしい走りが披露されたブラジル。以前からこのブログで可夢偉というドライヴァーを高く評価する記事を書いてきた僕にとって、トヨタ撤退は無念でなりません。
December 7, 2009
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